語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【本】北朝鮮核危機を描く労作 ~『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』~

2018年01月13日 | 批評・思想
★船橋洋一『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン 朝鮮半島第二次核危機』(朝日新聞社、2006/朝日文庫(上下)、2011)

 北朝鮮の相次ぐ長距離ミサイル発射の実験で、朝鮮半島第三次核危機が到来している。2002年の小泉訪朝から06年の北朝鮮核実験までの第二次核危機を内外関係者への圧倒的な取材で描く本書は、問題の基本構図を明らかにする。
 リビアのカダフィ、イラクのフセインの末路を知る北朝鮮指導者は、核兵器の保有に自らの生存を懸ける。それを阻止したい米国は軍事行動のコストを懸念する。米国主導の朝鮮半島統一と有事の際の難民流入を恐れる台頭著しい中国は現状維持を至上命題とする。中国の台頭に脅威を感じるロシアは北朝鮮に一定の理解を示す。6者協議と米オバマ政権の「戦略的忍耐」が失敗に終わり、北朝鮮が現状維持をあからさまに破壊しつつある現在、危機はどうなるのか。

□若田部昌澄(早稲田大学政治経済学術院教授)「北朝鮮核危機を描く労作 ~名著未読・再読~」(「週刊ダイヤモンド」2017年1月13日号)
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