花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

そして、フランク・キャプラの素晴らしさ

2012年10月28日 | 諏訪商店街振興組合のこと
山田洋次監督が「寅次郎夕焼け小焼け」を撮った1976年。当時の映画界はテレビ産業に押されて苦しい時代に入っていました。
この時、出演していたのが宇野重吉さんで、山田監督にこう話したそうです。
井上篤夫著“素晴らしき哉、フランク・キャプラ”集英社新書より
昭和16年、昭和不況から戦争に入り日本も暗い時代を迎えていました。いつ徴兵されるかわからない不安を抱え、宇野さんは絶望から自ら命を絶とうと決心しました。
その前に映画の1本でも観ようかと思い立ち、街へ出かけたのです。
そこで観た映画がフランク・キャプラ監督の“スミス都へ行く”でした。
ガラガラの(反米運動の中でアメリカ映画は人気がなかった)客席で見ているうちになんだか体の中に活力が湧いてきて、もうちょっと生きてみようと自殺を止めたそうです。
曰く「山田君、映画は、一人の遠い外国にいる絶望した若者の命を救う力を持っているんだ。映画を作るっていうのはすごい仕事なんだ。君、勇気をもって映画をつづけなさい」

     
     
     “有りがたうさん”より
12月21日“昭和キネマの集い”で上映予定の“有りがたうさん”清水宏監督(昭和11年作品)を観た後、ロードムービーという共通点をもつキャプラ監督の“或る夜の出来事”(昭和9年公開)をDVDで観る機会ができました。ここで発見!どうやら清水監督はこの映画の影響を受けているらしいのです。
山田洋次→男はつらいよ→宇野重吉→フランク・キャプラ→或る夜の出来事→有りがたうさん といった繋がりができました。
“或る夜の出来事”は軽妙でテンポよくハッピーエンドの素晴らしい作品でした。当時、悪役専門のクラーク・ゲーブルがはみ出し記者を演じ、お嬢さん役のクローデット・コルベールとニューヨークへ向かうバスの旅で知り合います。
旅の途中さまざまなトラブルに出合い、二人は恋に落ちるというストーリーですが、大恐慌という暗い世相とは裏腹に人生に希望が湧いてくるような作品でした。
     “素晴らしき哉人生”より
この二作品を比べると、日本映画界の遅れがよくわかります。サイレントからトーキーに移ったばかりの映画界。“有りがたうさん”のセリフはぎこちないものでした。当時の映画を比較できた人は、アメリカにはかなわないと予想できたのではないかと想像されます。
それからというもの、すっかりキャプラ監督にハマっています。“素晴らしき哉人生!”“一日だけの淑女”“群衆”など、人との繋がりのありがたさ、人生の素晴らしさ、生きる望みを与えてくれる素晴らしい映画ばかりです。
年末にふさわしい作品“素晴らしき哉人生!”を是非皆さんと共に鑑賞したいものです。
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