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花の四日市スワマエ商店街

四日市の水谷仏具店です 譚

昭和時代のお正月 その2

2005年12月05日 | レモン色の町
昭和37年の年が明けた。元旦。誰も起きてこない。家の中も外も静かだ。
日までの騒がしさがまるで嘘のようだ。布団の中で年末に買ってもらった百連発のコルト銃をいじる。調子が悪い。どうやら壊れたようだ。ねじ回しで分解していたらいよいよ再起不能となってしまった。
は菜っ葉で炊いたシンプルな雑煮と、お重に入ったおせち料理だ。急いで食べて学校へ出かけた。昨日仕上げた学級新聞の新年号を配達する約束してあったからだ。
庭に新聞部員7名が集まる。分担してクラスの生徒宅に配達し、1時間後、再び校庭に集合した。配達先でお年玉をもらったやつがいた。皆で分けろと迫った、最後には懇願したが断られた。その友達と自転車の二人乗りをして帰る。途中、着物姿のお嬢さんに後ろからぶつかった。大して勢いもなかったのだが派手にこけた。横についていたお袋さんらしき人が、大きな声で怒鳴っていた。
末からお正月にかけて、諏訪公園には香具師の店が出て賑わっていた。見世物小屋の前ではおじさんがマイクで説明している。気のどくな生まれの娘さんだそうで、下半身がけだものみたいで、火を食べないと生きていけないという。どんな娘さんだろう。
じさんが一瞬だけ幕を開けた。なんと裸の娘さんの背中が見えた。その向こうには観客がボーっとした顔で舞台を眺めている。料金がタダのようなことを言うので、入ってみようとオイオらは友達の手を引いて中へ入った。
さんの下半身は布で隠されていた。初めに火のついたローソク1本を口の中へ入れてすばやく出した。次に10本のローソクに火をつけた。煙がもうもうと上がる。何をするのかと固唾を呑んでみていると、娘さんは大きく息を吸ってそのローソクの火を吹き消してしまった。だまされたような気持ちで、さっさと出口に向かうと、そこで料金を請求された。友達にさっきもらったお年玉を出させた。
球ゴマを売っていた。かね枠に入った金属製のこまをまわすと、鉛筆の先でバランスを取って回っていた。友達にお金を出してもらい二人分買った。それから、綿菓子の一番大きな露店をようやく探し出し、二人で買って食べた。今度は友達が自分から払うといった。
日後、友達の親から連絡が入って、内の息子が100円持って出たが全部使って帰った、何に使ったのかと聞いてきたらしい。
かあんにしっかり叱られた。
コメント (2)
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