新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

いのちいとほし

2008年07月22日 06時55分50秒 | 写真俳句・エッセー

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今生のいのちいとほし滴れる

 なぜ人を殺してはいけないのですか?

 数年前、一人の中学生が質問をした。

 大人社会が絶句し、答えらしい答えは出なかった。

 一昨日の早朝、中学3年生の15歳少女が、文化包丁で父親を刺殺した。

 未成年の親殺しというショッキングな出来事に、さすがの識者たちもコメントしにくそう。

 取り調べは、当局の手によって、慎重に行われているのだろうが、どのような結果が出るのか、世間の耳目を集めている。

 少女の心の裏側に、何が潜んでいたのだろうか。

 なぜ人を殺してはいけないのか?

 たび重なる加害事件や自殺に対し、なぜいけないことなのか、端的な回答はなされていないように思えてならない。

 ただひたすら、「いのちを大切にしましょう」という言葉を、空疎に重ねているだけだ。

 その言葉を否定することはできない。そのつもりもない。

 しかし、「なぜ殺してはいけないのか」の答えにはなっていない。

 蠅や蚊は殺していいが、鳩や白鳥を殺してはいけない。

 牛の肉を食べてもいいが、鯨を獲ってはいけない。

 こんな歳まで生きてきた私なのに、端的な言葉で説明できないこのもどかしさ。

 信仰心が薄いからなのだろうか。

「決して人は殺しません」と、人は神や仏の前でそんな誓いをした。

 だから殺してはいけないのか。

 ほかの大人たちは、十分に納得しているのだろうか。

 私は自分のいのちがいとおしい。妻や子や孫がいとおしい。

 根源は、人間の生命に対するいとおしさなのではないだろうか。

「なぜいとおしく思わなくてはいけないのですか?」 その答えを、私は持っていない。

 ひどく幼稚なことを言っている自分が情けない。

   今生のいのちいとほし滴れる  鵯 一平 

 「滴り(したたり)」は夏の季語。

 崖や岩の裂け目から滴り落ちている水滴のことで、涼感を誘うことから夏の季語としている。時を刻むように、ぽたりぽたりと落ちている滴りもある。

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コメント (18)
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