学生の頃、白いワンピースと白いパラソルに憬れた。
スカートの丈は今ほど短くなかったのだが、それでも足下に感じた開放感は、とても刺激的であった。
今やスカートの丈には、眼の毒となるものが多い。眼をそむけたくなる。蔑まれているようにすら思う。そんなことを言っているくせに、つい眼をやってしまう私自身も情けない。
当の本人たちの意図は、いずこにあるのだろうか。見た目なのか、涼しさなのか。
こんなことを言っているのは私だけで、世の男性たちは、大歓迎をしているのかもしれない。なにしろ昔から、「スカートの丈と挨拶は、短いほど喜ばれる」と言われていたのだから。
日傘の色も、白っぽいものから黒を基調とした濃い色のものに移っていた。紫外線カットの機能は、白より黒のほうが優れているらしい。
見た目の涼しさより、肌の保護を優先しているように思う。これはそれなりに合理的。私の好みとは別の問題だ。
夏の日の晴れた昼下がり。土手の上の一本道を、若い男女が歩いている。
男は重々しさを気取りながら、ゆっくりと歩いている。頬はすでに緩みっぱなし。内心の嬉しさは、隠そうにも隠せないようだ。
女は白いワンピースに白いパラソル。可愛らしいほど弾んでいて、男に近づいたり離れたり……。時には、パラソルがクルリと廻る。
これは遠い日の幻想。
先日の午後、銀座を歩いた。カンカン照りなのに、多くの人が行き来していた。
女性の活力には、真底から敬意を表したかった。
街行ける思ひそれぞれ黒日傘 鵯 一平
素養も見識もない私のフアッション談義、トンチンカンにして至極迷惑で不愉快だったかもしれません。
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