25メートル超の突風11回 羽越線特急転覆事故(河北新報)
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山形県庄内町で2005年12月に起きたJR羽越線の特急転覆事故を受け、脱線の主因とされる突風発生のメカニズムを解析するため昨年から庄内地方で調査している気象庁気象研究所(茨城県つくば市)は29日、強い突風を11回にわたり観測することに成功したと明らかにした。11月19日から仙台市青葉区の仙台国際センターで開かれる日本気象学会で発表する。
気象研は昨年9月、庄内平野の約20キロ四方に風速、風向などを測る地上気象観測装置を26基設置。積乱雲を高精度で観測できるドップラーレーダーも庄内空港ビル(酒田市)屋上とJR余目駅(庄内町)に取り付け、大規模な観測調査をスタートさせた。
調査結果によると、昨年10月から今年1月までの4カ月間に、家屋に被害をもたらす可能性がある25メートル以上の突風を11回観測。ドップラーレーダーで詳しく解析したところ、うち10回は竜巻である可能性もあることが分かった。
従来は観測体制が整わなかったため、突風は被害が出た場合などにしか数えられず、約100キロ四方の範囲で起きる国内平均は1年間に約0.4回だった。気象研の楠研一主任研究官は「交通機関に影響を及ぼす可能性がある突風が想定を超える頻度で発生していた」と語った。
いったん撤去されていた庄内空港ビルのドップラーレーダーは29日に再び設置され、30日から来年3月中旬まで2年目の観測が行われる。12月には酒田港付近の陸上から上空30キロまで達する観測気球を60個上げ、突風が起こりやすい大気の状態を調べるという。
楠主任研究官は「突風をあらかじめ探知するシステムの開発が目標。観測調査は今回で終了する予定だが、今後も続けられるよう地元行政に協力をお願いしたい」と話している。
2008年10月30日木曜日
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1年で0.4回しか観測できなかった突風が4ヶ月間で11回。なるほど、観測精度は劇的に向上している。
しかし、である。2005年12月に羽越線列車転覆事故が起こった際、JR東日本は記者会見し、「運転規則に基づいた強風での列車抑止が、事故以前の3年間だけで98回に達した」事実をみずから公表している。このことは、JR東日本が現地の強風について承知していながら十分な観測体制をとらず、また強風が観測されてもそれを生かすような安全対策がとられなかったことを意味しているのだ。
今回の強風観測実験の成果は多とすべきであり、気象研究所の関係者には頭が下がる思いだが、強風は、ただ観測するだけでは意味がない。観測結果を生かした安全対策がとられるよう、JR東日本の企業体質を変えさせることこそが真の安全対策であると当ブログは考える。
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山形県庄内町で2005年12月に起きたJR羽越線の特急転覆事故を受け、脱線の主因とされる突風発生のメカニズムを解析するため昨年から庄内地方で調査している気象庁気象研究所(茨城県つくば市)は29日、強い突風を11回にわたり観測することに成功したと明らかにした。11月19日から仙台市青葉区の仙台国際センターで開かれる日本気象学会で発表する。
気象研は昨年9月、庄内平野の約20キロ四方に風速、風向などを測る地上気象観測装置を26基設置。積乱雲を高精度で観測できるドップラーレーダーも庄内空港ビル(酒田市)屋上とJR余目駅(庄内町)に取り付け、大規模な観測調査をスタートさせた。
調査結果によると、昨年10月から今年1月までの4カ月間に、家屋に被害をもたらす可能性がある25メートル以上の突風を11回観測。ドップラーレーダーで詳しく解析したところ、うち10回は竜巻である可能性もあることが分かった。
従来は観測体制が整わなかったため、突風は被害が出た場合などにしか数えられず、約100キロ四方の範囲で起きる国内平均は1年間に約0.4回だった。気象研の楠研一主任研究官は「交通機関に影響を及ぼす可能性がある突風が想定を超える頻度で発生していた」と語った。
いったん撤去されていた庄内空港ビルのドップラーレーダーは29日に再び設置され、30日から来年3月中旬まで2年目の観測が行われる。12月には酒田港付近の陸上から上空30キロまで達する観測気球を60個上げ、突風が起こりやすい大気の状態を調べるという。
楠主任研究官は「突風をあらかじめ探知するシステムの開発が目標。観測調査は今回で終了する予定だが、今後も続けられるよう地元行政に協力をお願いしたい」と話している。
2008年10月30日木曜日
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1年で0.4回しか観測できなかった突風が4ヶ月間で11回。なるほど、観測精度は劇的に向上している。
しかし、である。2005年12月に羽越線列車転覆事故が起こった際、JR東日本は記者会見し、「運転規則に基づいた強風での列車抑止が、事故以前の3年間だけで98回に達した」事実をみずから公表している。このことは、JR東日本が現地の強風について承知していながら十分な観測体制をとらず、また強風が観測されてもそれを生かすような安全対策がとられなかったことを意味しているのだ。
今回の強風観測実験の成果は多とすべきであり、気象研究所の関係者には頭が下がる思いだが、強風は、ただ観測するだけでは意味がない。観測結果を生かした安全対策がとられるよう、JR東日本の企業体質を変えさせることこそが真の安全対策であると当ブログは考える。