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ツインドラムによる反復ビート路線に半分だけ帰還

2018-07-20 23:13:34 | 音盤ノート
Mathias Eick "Ravensburg" ECM, 2018.

  ジャズ。マティアス・アイクの新作。2月には発売されていたようだが、最近になって聴いた。前作"Midwest"から3年ぶりで、本人と打楽器のHelge Norbakken以外はメンバーを一新している。といっても、Andreas Ulvo (piano)とAudun Erlien (electric bass)とTorstein Lofthus (drums)は前々作の"Skala"からの復帰組。ツインドラムとエレべ部隊が還ってきたわけだ。ヴァイオリンのHåkon Aaseは初参加だが、その部分だけは"Midwest"路線の踏襲ということになる。

  この作品は、"Skala"と"Midwest"の良い部分を混ぜ合わせることを意図としたのだろう。だが、"Skala"を高く評価し"Midwest"を評価しない僕には、半分だけ"Skala"路線に戻ってきたそこそこの出来の作品という印象だ。反復パターンを守る厚めのバッキングが"Skala"の魅力だった。しかし、本作のバンドは曲によってリズムを刻むことに熱心ではなくなり、ツインドラムが意味をなさなくなる瞬間がある。また、マルチプレイヤーであるアイク本人は、トランペットに専念してヴィブラフォンもエレべも弾かない。アクセントとしてけっこう効果的だったのでもったいない。ただし、本人によるペドロ・アズナール風のスキャットは新機軸で、嘆き節なのに爽やかなのが面白い。御大のソロは哀愁漂う風情であり相変わらず魅力的である。

  というわけで、"Skala"ほど良くはないが、"Midwest"と"Door"よりは優れたアルバム、というところだろうか。アイクのソロならばJacob YoungのECM作品、サウンド面での幅の広さならばJaga Jazzistの作品を聴いたほうがいい。
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