サミュエル・ハンチントン『文明の衝突』鈴木主税訳, 集英社, 1998.
国際政治学。よく知られた書籍であるが、現在に至るまで未読だった。2017年に集英社から文庫化されたので読んでみた。文庫版には国際政治学者・猪口孝の解説が付いている。原書はThe clash of civilizations : And the remaking of world order (Simon & Schuster, 1996)である。
内容はこう。将来西欧の相対的地位が下がるにつれて、今ある八つの文明が群雄割拠する世界秩序が構築されることになる。具体的には米国の地位低下、さらに中国の経済大国化とイスラム人口の増加によって世界秩序維持が難しくなり、異なる文明間で戦争が起こりやすくなっているという。
日本については、米国と中国の間で揺れ動く独自の文明という位置づけである。本書が書かれた1990年代にはそう見えたかもしれないしそういう雰囲気もあったが、現在は尖閣諸島の問題などもあって中国に親近感をもつ日本人は減っている。この点は外しているところ。しかし、大局的には本書の予言はあたっていると言えるだろう。
個人的には、文庫版下巻におけるユーゴスラビアの内戦と南コーカサスの紛争の記述が、よく知らないこともあって興味深かった。同じような視点でまとめたもっと詳しい書籍があれば読みたいと思う。
国際政治学。よく知られた書籍であるが、現在に至るまで未読だった。2017年に集英社から文庫化されたので読んでみた。文庫版には国際政治学者・猪口孝の解説が付いている。原書はThe clash of civilizations : And the remaking of world order (Simon & Schuster, 1996)である。
内容はこう。将来西欧の相対的地位が下がるにつれて、今ある八つの文明が群雄割拠する世界秩序が構築されることになる。具体的には米国の地位低下、さらに中国の経済大国化とイスラム人口の増加によって世界秩序維持が難しくなり、異なる文明間で戦争が起こりやすくなっているという。
日本については、米国と中国の間で揺れ動く独自の文明という位置づけである。本書が書かれた1990年代にはそう見えたかもしれないしそういう雰囲気もあったが、現在は尖閣諸島の問題などもあって中国に親近感をもつ日本人は減っている。この点は外しているところ。しかし、大局的には本書の予言はあたっていると言えるだろう。
個人的には、文庫版下巻におけるユーゴスラビアの内戦と南コーカサスの紛争の記述が、よく知らないこともあって興味深かった。同じような視点でまとめたもっと詳しい書籍があれば読みたいと思う。