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「無知の枢軸」なる二曲目までの展開は素晴らしい

2012-01-18 09:53:59 | 音盤ノート
Nils Petter Molvaer "Np3" Emarcy, 2002.

  ジャズ・ミーツ・エレクトロニカ。ノルウェーのトランぺット奏者モルヴェルの三作目で、ECMからUniversal Music傘下のEmarcyに移籍しての第一弾。電子音響に凝ったアルバムで、シンセサイザーや打楽器音が電子的なだけでなく、ギターやトランペットもかなりエフェクトをかけて何の音だかわからないような状態になっている。(トランペットのソロは普通に吹いているが)。

  このアルバムは、爽やかに電子音の揺れを聴かせる短い一曲目"Tabula Rasa"から、サンプリング・ヴォイスを散りばめた重たい暗黒ファンクである二曲目"Axis of Ignorance"へと続く流れが素晴らしく、その後の期待を大いに高める。しかし後が続かず、冒頭に匹敵する曲に出会うことのないまま終わる。初めて聞いた時は、前作"Solid Ether"(参考)の印象が素晴らしすぎて、それと比較すると地味に思えた。今聴いてみると、これ以降のアルバムよりビートが効いており、アブストラクトでなく、入りやすいアルバムと言えるかもしれない。

  とはいえ、中盤以降は緊張感に欠けるという難点は変わらない。バンドサウンドに凝りすぎて、ソロにエネルギーが注がれていないという印象である。同じ問題は、次作"ER"(参考)も同様である。
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