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文字を読む脳内プロセスの解説と識字教育への適用について

2008-11-11 16:25:10 | 読書ノート
メアリアン・ウルフ『プルーストとイカ:読書は脳をどのように変えるのか』小松淳子訳, インターシフト, 2008.

 文字を読む際の脳の働き方について、専門家が一般向けにわかりやすく書いた書籍。文字といっても、漢字やカナへの言及はあるものの、基本はアルファベット、それも英語使用時を想定した説明が多い。脳は文字を読むように遺伝的にプログラムされているわけではないので、別の用途で作られた部位を繋ぎ合わせることで読字を可能にしているとのこと。アルファベットと漢字を読む時は使う脳の部位が異なるらしい。さらに読字障害についてなど、興味深いトピックが並ぶ。

 ただ、タイトルを見て分かるように、著者の文学趣味がやや冗長と感じられる部分もある(イカの話はあまり無いが)。最終章のインターネット検索批判も浅いもので終わっている(こういう議論をする場合はテレビやケータイ電話なども比較の枠に入れるべきだ)。一方で、読字障害の話は、僕も全然知らなかったので参考になった(読字障害は、普通の人と脳の配線が異なるために起こるらしい)。全体的な評価としては、読書に関心のある者には一読の価値があると言える。

 P.134に“ヴィクトリア・パーセル・ゲイツ”なる人による読み聞かせの研究について言及がある。「読み聞かせには効果がある」ということらしい。だが、名前だけの言及に留まり、なぜか参考文献リストに論文が挙げられていない。興味があるので探してみることにする。
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