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ギターバンド編成で無国籍化したMPBを演奏する

2019-07-16 20:53:35 | 音盤ノート
Pedro Martins "VOX" Heartcore Records, 2019.

  MPB。ペドロ・マルチンスは1993年生まれかつブラジル出身のギタリスト兼歌手で、カート・ローゼンウィンケルの"Caipi"およびアントニオ・ロウレイロの"Livre" に参加している。これはソロ二作目だとのことだが、一作目は未聴。なお、オリジナル盤は今年2月に発表されているが、日本盤はボートラ付きで7月に発売されている。秋に「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2019」なるイベントのために来日するそうで。

  バンドはマルチンス以下、ローゼンウィンケル(gt), ロウレイロ (dr), Frederico Heliodoro(bs)のカルテットで、ジャズよりはバディ・ホリー~ビートルズに近いロック的な編成となっている。ローゼンウィンケルはリズムギターだけでなく、けっこうソロでしゃしゃり出てきて、曲の緊張感を高めている。このほかゲストで一曲ずつブラッド・メルドーとクリス・ポッター、カイル・クレーンが参加している。"Caipi"で聴かせたマルチンスの高く柔らかいボーカルは全曲で堪能できる。ただし、リズム等アレンジはけっこう凝っているものの、ボーカルメロディーのバリエーションが少なくて、14曲通して聴くとちょっと一本調子に感じるところもある。この点、もうちょい工夫がほしいと感じるが、全体としては丁寧に作られた高密度な音楽と言えるだろう。

  MPBとはいえ、あまりブラジルっぽくないのは"Livre" と同様。ボーカルがミナス風というだけで、あとはジャズの影響を感じさせる無国籍ポップという表現が正確だろう。難解というわけではないのだけれども──track 3と12はとっつきやすいポップな曲である── 、一聴して全体の魅力がわかるという作品でもなく、つかみどころを探すために繰り返して聴くべき作品。
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