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マンドリンとピアノのデュオによる鬼才ジャズ音楽家の作品集

2016-11-04 22:02:45 | 音盤ノート
Hamilton de Holanda & Andre Mehmari "Gismontipascoal : A musica de egberto e hermeto" Microservice, 2011.

  ブラジル産ジャズ。10弦マンドリン奏者のアミルトン・ヂ・オランダと、ピアニストのアンドレ・メーマリによるデュオ。タイトルにあるように、エグベルト・ジスモンチまたはエルメート・パスコアールの作品集で、すでに国際的名声のあるブラジル人ジャズ音楽家の曲を、注目の若手(中堅?)が取り上げた企画ものである。

  収録は、ジスモンチ6曲、パスコアール6曲、オリジナル4曲となっている(ジスモンチとパスコアールがそれぞれ1曲ずつゲストで参加している)。14分に及ぶ最後の曲を除いて、1分~7分程度の短い曲が続く。ジスモンチの曲は、ピアノとマンドリンという小編成においても、原曲のアクロバティックな印象を失っていない。もともとそのように作曲されているのだろう。一方、パスコアールの曲は多彩な音色が特徴。それが二つの楽器に還元されてしまうと、メロディをなぞっているだけのようになってしまう。この問題に対しては演奏者二人の速いソロでスリル感を出してカバーしている。

  オリジナル曲の明るくて奇矯という印象が、この作品集では暖かくて美しいという印象に変わっている。クセが抜けて悪くないのだが、室内楽的なスケールにパワーダウンさせられたともいえる。ジスモンチとパスコアールの美的な面をクローズアップした演奏ということなんだろう。オリジナルを知らないとあまり面白くないかもしれない。
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