ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

惨敗?試練

2007-02-18 23:15:00 | スポーツ

今日、息子達が通っている土曜サッカースクールが他の2チーム(共に地域クラブチーム)をお招きして交流試合を行いました。試合は、

  1年生チーム     3試合(vs B-FC)  8人制 グラウンド半面
  2・3年生チーム   3試合(vs B-FC)  8人制 グラウンド半面
  4~6年生チーム   3試合(vs S-FC) 11人制 グラウンド全面

の計9試合。

試合前、うちのチームの子供達には「絶対に勝てよ!」と檄を飛ばしたのですが、4~6年生チームの対戦相手・S-FCの試合前のシュート練習を見てビックリ! めちゃくちゃ実践的でレベルが高いです。殆どの子が左右両足で弾丸ライナーのシュートをゴールネットに突き刺します。キーパーも当然決まっていて、しっかりしています。5分ほど練習を見た後、私が妻や他のお母さんに話した結果予想は・・・”1-7で負け”。

そして、実際の結果は・・・全9試合で8敗1分。得点も何と9試合で僅か1点(1・2年生チーム----幼稚園の子も混じってました----の試合は見ていないのですが、ほぼ間違いなし)で、結果としては惨敗でした。

長男(5年生)は最初の試合はFWのポジションで、まずまずの動きでボールにからんでいましたが、相手チームとの実力差は歴然。テクニック以前に、走力(脚力)と動きの機敏さが違います。長男のドリブル突破も10mも続きません。失点を重ねるに従ってチーム全体の元気がなくなり、結局、0-11で終了。
以降も、遅れてやってきた6年生がパワフルなプレーで多少湧かせてくれましたが、終始劣勢は如何ともしがたく、残り2試合も 0-9、0-10位(何点取られたかよく分からない・・・)で惨敗でした。長男も2・3試合目は動いてはいるものの、軽~くドリブルで抜かれたりでいい所なしでした。”1-7で負け”の予想すら甘かったです。ただ、真の実力差はそれほどあるとは思えず、メンタル面でのタフさの差が大きいと感じました。

唯一の引き分けは、次男(2年生)を含む2・3年生チームの2試合目。前日からの雨でグラウンドはぬかるんで悪コンディション。パスのボールに急ブレーキがかかったり、出ると思ったボールがライン際で止まったりと大変なゲームとなりました。しかし、3年生エースが自らGKを志願してくれて超ファインプレーを連発し、ゴールを死守。他のチビさんたちも必死のディフェンスで相手の猛攻を防ぎます。次男も小さく細い体で一生懸命走っていました。お父さん・お母さんからは、”戻れー!””ゴール前、カバー!””シュートを打たすな!””体を寄せて!”と必死の声援。そして、回数は少ないですが、相手ゴールにも何度か攻め寄せて遂にPKのチャンスをゲット。これをファウルで倒された”ゴンちゃん”ことN君が弾丸ライナーを見事に決めて初得点。みんな拍手喝采で讃えます。その後も一進一退の攻防が続いて観衆を沸かせましたが、1-1の引き分けとなりました。いやー、いい試合でした。
3試合目は相手もメンバーを変えて背の高い子(次男より20cm位高い)を投入してくるなど真剣モードで大敗でした。しかし、この2・3年生チームはチーム意識とガッツがあり、高学年になったときが楽しみです。自分たちで考えて試合前に円陣を組み、気勢を上げたのも良かったです(まあ、相手チームの真似ですが)。
一方、高学年の子は、この”チーム意識とガッツ”が乏しく、それが見ていても物足りなく、親たちはイライラしてストレスがたまります。ゲーム中殆ど声も聞こえないし、必死さとか”がむしゃらさ”がないのは何でやろ?----「長男のサッカー、2勝8敗?」参照。

土曜サッカースクールは週1回・2時間だけしか練習しないチームなので、週に何回も練習するチームと同列で比較することはできません。しかし、最近かなり力をつけてきて、親たちも”そこそこ戦えるのでは?”と期待していたので、ちょっとガッカリでした。
コーチの先生方の方針と思いますが、うちのチームは今の所GKも含めてポジションは決めていないし、広いコートで11人制で試合するのも初めてだったので、仕方ないかな?

試合後、コーチが”実力差があったのは仕方ないけど、抜かれたらもう一度ボールを追いかけること。必死で走ること。それと、もっと悔しがらないとあかん!”と話されていましたが、まさにその通りでした。うちのチームはおっとりした子が多く、まあ、長い目で見てやらないとダメなんでしょうね。

※惨敗でしたが、雰囲気写真くらい1枚撮っておけば良かったなあ。

 


近代土木遺産ウォーク関西

2007-02-17 19:39:00 | まち歩き

Kindaidoboku1 近代土木遺産ウォーク関西(JTBパブリッシング)

他の建築関連本を買いに梅田・紀伊國屋に行ったときに偶然見つけた本で、大人の遠足BOOKシリーズの1つです。

表紙に書かれている内容を書き出してみますと、

  ”時代を開いた技術と美を巡る”

  ダム、橋梁、トンネル、疎水、閘門、港、駅舎・・・
  南郷洗堰、大沙川隧道、足羽揚水ポンプ場、琵琶湖疎水、三栖閘門、
  五新線跡、安治川トンネル、旧天王浄水池、布引五本松ダム、
  神戸港突堤、龍之渡井 etc.

”時代を開いた技術と美を巡る”というキャッチコピーがいいですね。

1項目4~6ページの構成で、各種データ・説明文(コースガイドを含む)・マップなどが充実しており、オールカラーの写真も満載。キャッチコピーにふさわしい内容になっています。また、”みちくさ情報”として買う・食べる・喫茶・遊ぶといった観点でお店やスポットが紹介されているのも嬉しいです。

本文はあくまでも楽しく読みやすくまとめられていますが、所々にコラムとして”堰堤”などのやや詳細な技術的・歴史的解説文があるのも好ましいです。
さあ、この本を片手に大人の遠足に出かけましょう!
 ----家族連れのハイキングに良い場所もありますよ。

もうすぐ春ですねえ~♪ちょっと出かけてみませんか~♪

******************** Amazonより ********************
内容(「MARC」データベースより)
明治から昭和前期にかけて造られた近代土木遺産を主眼に、「歩き」を楽しむための案内書。滋賀県、福井県、京都府、大阪府、奈良県、兵庫県、和歌山県の34のルートを紹介する。データ:2006年10月現在。


第30回日本アカデミー賞発表

2007-02-16 23:55:00 | 映画

16日、第30回日本アカデミー賞の発表・授賞式があり、「フラガール」が好成績をおさめました。パチパチパチ!

主な結果は、

  最優秀作品賞「フラガール」
  最優秀監督賞=李相日(フラガール)
  最優秀主演男優賞=渡辺謙(明日の記憶)
  最優秀主演女優賞=中谷美紀(嫌われ松子の一生)
  最優秀助演男優賞=笹野高史(武士の一分
  最優秀助演女優賞=蒼井優(フラガール)

今年はキネマ旬報ベスト・テンの結果とほぼ同じでしたね----違いは、キネ旬では、監督賞が根岸吉太郎(雪に願うこと)、助演男優賞は笹野高史と香川照之の同時受賞という2点のみ。
キネ旬は主に映画評論家が選出、アカデミー賞はアカデミー会員(映画づくりに携わる同業者の方々と言って良いのでしょうか)が選出で、両者の結果が大幅に異なることも多々あるのですが、今年は俳優部門を始めとして主要部門が完全に近いくらい一致。私は「明日の記憶」と「嫌われ松子の一生」は観ていないのですが、渡辺謙・中谷美紀の両氏は入魂の演技だったようで順当な受賞と言えるでしょう。最優秀助演女優賞は「フラガール」から富司純子/蒼井優のお二人がエントリーされていたので、票が割れてしまうことを心配していたのですが、蒼井優さんが見事に受賞。よっしゃー!

今回、受賞された方は皆一様に驚きと喜び・感動が入り混じった感じで、スピーチは短めでしたが、気持ちのこもった良いものでした。


一瞬の風になれ 第一部(佐藤多佳子)

2007-02-13 23:58:00 | 12:さ行の作家

Issyunno1 一瞬の風になれ 第一部(講談社)
★★★★☆’:80~85点

本来、1~3を一気読みすべきでしょうが、図書館予約の関係でとりあえず1のみを読了。採点も全編を読み終えてから総合的に判断した方が良いのですが、読了直後の印象でこの点にしました。

Amazonでは本書を、”あさのあつこの「バッテリー」、森絵都の「DIVE!」と並び称される、極上の青春スポーツ小説”と紹介していますし、信頼度絶大の文藝評論家・北上次郎氏も確か”三大少年スポーツ小説”と称されていたと思います。また、エビノートさんのブログ・まったり読書日記では、「風が強く吹いている」・「Run!Run!Run!」と本書を読破すると“話題の陸上競技本、三冠制覇”(by藍色さん)となるそうです。面白いですね。

本作品が内容的にそれにふさわしい素晴らしい本であることに間違いはありません。しかし、超生意気&強気な天才ピッチャー(熱狂的ファンの方、失礼!)を主人公とする「バッテリー」、超マイナーな飛び込みという競技を舞台にした「DIVE!」、あるいは本書と同じくランニングを題材としながらも、なかなか個性的な「風が強く吹いている「Run!Run!Run!」と比べると、驚きや新鮮味といった点ではこの作品が一番少なかったかもしれません。キャラも、そうハチャメチャな人物がいないようで全体におとなし目です。90点をつけなかったのは、そのことも多少関係しているかも。

しかし、その分、一番ストレートで、オーソドックス&ピュアな青春スポーツ小説として理解しやすく支持されやすい作品かなという気がしました。ど真ん中の直球で勝負するのは作家にとっても度胸がいると思いますが、素晴らしい作品になっています。オーソドックス&ピュアな青春小説という点では、川上健一の「翼はいつまでも」と似たテイストも感じます。あれ?85点にはすべきかな?

さてさて、具体的な内容に関して、

短距離の練習方法(150m×3を3セットとか、実際のレースには無い300m走とか、(300m+200m+100m)×5セット など)になるほどなあーと思いました。ランニング仲間で元・短距離ランナーの240さんに以前、短距離の練習について教えて頂いたことがあるのですが、それとも似ていたと思います。

本作品で最高なのは何と言っても400mリレーの試合の描写!
これにはゾクゾクしました。私は陸上部の経験はないのですが、小学校6年生の時は学校代表でリレーを走ったこともあるので(レベルや規模が全然違ってお恥ずかしいですが・・・)、なんとなくの雰囲気も分かります。

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 とにかく、気がついたら連がいて・・・・・・
 気がついたら俺の手にはバトンがもうなくて。
 連が走っている。

 すげえ。速え。
 前のヤツとの差がぐんぐん詰まってる。
   (新二の初レース)
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 スタート。まるで火のついた花火を持っているみたいだった。
 早く、速く、速く、早く。
 渡した・・・という実感がないほど、そのバトンパスはスムーズだった。
 連が俺からバトンを吸い取っていったような感じがした。
 速い。
 やっぱり、あいつは速い。
 なんてキレイなんだ、走りが。

 「十回に一回」
 連は言った。
 「何?」
 「さっきのバトン」
 「ああ」
  (秋の新人戦地区予選)
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 「ハイッ」
 俺も叫んだ。連の左手がすっと水平に上がる。俺は右手を伸ばす。
 連の右手にバトンを押し込む。引っ張られる感覚で手を離す。
 バトンと共に連が消えていく。この瞬間が好きだ。

 あ、クソ、根岸とのバトンパスのところで遅れたか。
 とにかく、ネギ、頑張れっ。頑張れっ。頑張れっ。
 すっげえタイムが出るぞ、こりゃ。
 関東だ。おいおいおい。
 あっ・・・・・・。
 (新人戦県大会決勝)
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いやー、もう素晴らしいの一言です。緊張感、高揚感、興奮、感激、束の間の幸福感と絶望感などが短い文章に見事に凝縮されています。
やっぱり、リレーはトラック競技の花形ですね。必ずしも最速の4人を揃えたチームが勝つわけではない面白さ、バトンパスの緊張感、アンカーにバトンが渡るまでどのチームが勝っているのかなかなか分からないスリル。最高です。
そして今気づきました。新二のバトンパスがレースを重ねるごとに上手くなり、僅かですが余裕も生まれていってる!それを佐藤さんは、さりげなく、しかしキチンと描写されています。凄いです。

練習嫌いの天才スプリンター・一ノ瀬連。サッカーに見切りをつけた未来の大器・神谷新二(ユニークな顧問・”みっちゃん”こと三輪先生の折り紙つき)。400mが本職と言いつつ、4継にも抜擢された頑張り屋・根岸康行。心優しいヤツでもあります。

実力のある後輩のために予選を必死で走った3年生(岡林・島田)。クールな好漢、新キャプテンの守屋。みんな、輝いてるぞ。
女子部員の鳥沢圭子さん(元気娘)・谷口若菜さん(おとなしいが、芯はしっかり)、very good!です。
タイプの異なったライバル、鷲谷高校の仙波(巨漢の実力派ランナー、若菜が想いを寄せているため、新二とは恋敵?)、高梨(「バッテリー」の瑞垣とはまた異なったお喋りマシーン?)との勝負の行方はいかに。

やっぱり、素晴らしい作品です。部内恋愛禁止ですが、恋心ありのピュアな青春物語っていいですね。
2、3で果たしてどうなっていくのかな?
これは図書館の予約(推定:半年待ち)を待っているわけにはいきませんね。

◎参考ブログ:

  エビノートさんの”まったり読書日記”

*********************** Amazonより ***********************

  あさのあつこの『バッテリー』、森絵都の『DIVE!』と並び称される、極上の青春スポーツ小説。
   主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまでも速くなること。信じ合える仲間、強力なライバル、気になる異性。神奈川県の高校陸上部を舞台に、新二の新たな挑戦が始まった――。

   3部作の第1作に当たる本書では、新二がシーズン(春から秋)の1年目を終えるまでが描かれる。競技の初心者である新二の目を通じて、読み手も陸上のいろはが自然と身につく構成だ。見事なのは、競技中の描写。新二が走る100m、200m、400mなどを中心に、各競技のスピード感や躍動感が迫力を持って伝わってくる。特に、本書の山場とも言える4継(4人がバトンをつないで合計400mを走るリレー)では、手に汗握る大熱戦が展開される。
   丁寧な人物描写も、物語に温かみを与えている。生き生きと描かれる登場人物たち、彼らが胸に抱えるまっすぐな想い。その1つひとつが、小説全体に流れる爽やかさを生み出し、読み手の心を強く揺さぶるのだ。
   何かに、ひたむきに打ち込むこと。風のように疾走する新二や連を追ううちに、読者は、重たい現実を一瞬だけ忘れ、彼らと同じ風になることができるのだ。(小尾慶一)

出版社/著者からの内容紹介
「速くなる」
ただそれだけを目指して走る。
白い広い何もない、虚空に向かって…………。
春野台高校陸上部。とくに強豪でもないこの部に入部した2人のスプリンター。ひたすらに走る、そのことが次第に2人を変え、そして、部を変える。「おまえらがマジで競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説、誕生。


Run!Run!Run!(桂望実)

2007-02-12 00:01:00 | 11:か行の作家

Runrunrun1 Run!Run!Run!(文藝春秋)
★★★★:80点

不思議なテイストの小説でした。表紙のねじれたランニングシューズが作品の内容を暗示しているようで印象的です。桂望実さんは「県庁の星」(私は未読。映画も未見)という作品を書かれた方ですが、恐らくタッチはかなり違うと思われます。

************* Amazonより *************

内容(「BOOK」データベースより)
目標はオリンピックの金メダル。箱根駅伝は通過点、仲間なんか必要ないはずだった…。天才ランナーを揺さぶる血の秘密。

内容(「MARC」データベースより)
目標はオリンピックの金メダル。箱根駅伝は通過点。仲間なんか必要ないはずだった…。アスリートとして最高の資質を持つ主人公が知った事実とは? 箱根駅伝に懸ける仲間と走るうちに、閉じかけていた世界が開いていく。

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昨年12月21日付けの朝日新聞夕刊で、「読んだら・・・走り出したくなる!? 陸上テーマ 走るスポーツ小説」として、「風が強く吹いている」(三浦しをん)「一瞬の風になれ」(佐藤多佳子 ※先日”1”を読了。近々感想をアップ予定)と並んで本書も挙げられていました。
新聞では本書を、”オリンピックの金メダルを目標にする孤独な天才ランナーが登場する。”と紹介されていましたが、先の2冊と同列で論じるのは難しい作品です。「風が強く~」と「一瞬の~」が直球勝負とすると、桂望実さんはとてつもないクセ球できました。単純なスポーツ小説・ランニング小説と思っていると、とんでもない。かなりズシンときます。

内容そのものについては、Amazonのカスタマーレビューで”続asano19”さんが書かれていた文章の前半を引用させて頂きます。

【注意:以下、ネタバレあり】

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>長距離を走ることに関してズバ抜けた才能を持つ岡崎優。陸上という
>個人競技とその才能ゆえにS大学でも一匹狼を貫き、仲間との会話を
>避け飲み会などにも参加しない。周りの風当りは次第に強くなる。
>だが、実力は折り紙付きで、大学生にして専属サポートチームの
>“チーム岡崎”が発足する。
>そんななか兄が電車にひかれ死ぬ。兄の死により精神的に不安定に
>なった母の口から、兄弟ふたりの出生の秘密が語られる。
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走ることの凄さ・素晴らしさ、その裏返しの苦しさ・厳しさ、才能を持つ者と持たざる者の悲哀と対立、天才ランナーの孤独や驕り、陸上部での様々な人間の思いと思惑、そして仲間とは・・・。これらが独特の筆致で描かれており、ちょっと比類のない作品に仕上がっていると思いました。競馬場とそこでの兄との会話が物語の行く末を暗示して・・・。
決して好きと言える作品ではないのですが、全体の1/3を過ぎたあたりからはグイグイ引き込まれました。
登場人物では、陸上部の仲間、岩ちゃんこと岩本海人やコーチの小松が良い味です。岩ちゃんの「おう」が印象的。宮尾から岩ちゃんへのタスキリレーのシーンも良かったですね。

  「S大学、繰り上げスタートの準備をしてください」

  歓声が背後から聞こえてきた。
  勢い良く優が振り返ると、宮尾が走っていた-。走っていてくれた。
  岩本が叫んだ。「先輩、ここです。信じてましたよ」

  宮尾が転がるように走ってくる。
  岩本がストライプのたすき*を捨て、手を伸ばす。 
        注)*繰り上げスタート用のたすき
  岩本は助走も忘れ、両手を広げて待ち構えている。
  宮尾が手を伸ばして、倒れ込むように突っ込んでいった・・・

優が岩ちゃんの背中にかけた声、「自分のために走れよ。誰かのために走るな。自分のために走りきれ」。それは自分自身に向かってかけた声でもあった。単純そうな言葉であるが、それは優が強い影響下にあった父からの決別の時でもあった。そして、彼は人生の仲間を得た。
ラスト20ページほどで作品は思わぬ展開を見せる。それまでのタッチからすると多少甘い気もしましたが、救われた感じがします。しかし、エピローグは、家族の肖像というか、哀しさと厳しさと多少の明るさが共存した微妙な空気と共に終わりました。

◎参考ブログ:
   きももさんの”きもも活字中毒メモ”
   ゆかさんの”のんびり歩き。”
   なりあがれさんの”なりあがれ”
   umikawausoさんの”海瀬の読書感想文対策”
   カンパネラさんの”ラ☆カンパネラって何?”
   Rayさんの”Crescent Moon”
   面白い本が読みたくてさん(?)の”面白い本が読みたくて”
   エビノートさんの”まったり読書日記”
   ななさんの”今日はちょうどよい日和だから”
   ふじみやさんの”自転車操業”
   みみこさんの”ちょっとお話”