ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

小林研一郎 炎のタクト! 英雄交響曲

2009-02-01 21:04:00 | 音楽

Kobaken1_2 昨夜からの雨でグラウンドが使えないため、次男のサッカースクールがお休みとなった土曜日。午前中は自宅周り約8.5kmのランニング練習をこなし、午後からはザ・シンフォニーホールへ小林研一郎指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団のコンサートに出かけました。

シンフォニーホールでは2006年に金聖響/センチュリー響のモーツァルトシリーズ、2007年に金聖響/オーケストラ・アンサンブル金沢のブラームス・チクルスを聴きましたが、朝比奈さんが亡くなった後、大フィルをこのホールで聴いたことがなかったので、大フィル+シンフォニーホールの組み合わせは何と7年ぶりでした。

この日のプログラムは、

  ①メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調  吉田恭子(Vn)
  ②ベートーヴェン:交響曲 第3番「英雄」

の2曲で、やはりお目当ては小林研一郎さんの「英雄」です。コバケンさんの「英雄」って聞いたことがないなあと思っていたら、チラシやシンフォニーホールのホームページにあったように、このプログラムでの大フィルとの共演は初めてとのことでした。私はベートーヴェンの交響曲の中では「英雄」が一番好きなこともあり、この日のコンサートは期待度・大です。

***************************************************************************
ザ・シンフォニー特選コンサートVol.12
小林研一郎 炎のタクト!英雄交響曲

 世界中でエネルギッシュな活動を続ける日本が誇るマエストロ=コバケンこと小林研一郎さん。今回のザ・シンフォニー特選コンサートでは、再び大阪フィルハーモニー交響楽団との共演でザ・シンフォニーホールに登場です。
 プログラムは、吉田恭子さんをソリストにお迎えしてメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲とベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」。
 「英雄交響曲」は、従来の交響曲から管弦楽の規模や曲の構想が一挙に拡大したベートーヴェンの傑作シンフォニー。意外にもコバケンさんが大阪フィルとの長い共演歴の中で演奏されていない交響曲だったのです。プログラムをマエストロと打合せしていく中でコバケンさんご自身が今、大阪フィルと奏でたい音楽として挙げられたのがこの「英雄交響曲」です。熱い信頼関係で結ばれているコバケンさんと大阪フィルがザ・シンフォニーホールで初めての音楽を披露します!
 また、ソリストの吉田恭子さんは“研ぎ澄まされた感性や情感を、楽器を通して偽りなく表現できるヴァイオリニスト”と絶賛されている話題のミューズ。
 吉田恭子さんが贈るロマン派協奏曲の傑作、メンデルスゾーンのヴァイオリン・コンチェルトと、コバケンさんが新たに挑むベートーヴェンの「英雄交響曲」にご期待ください!***************************************************************************

今回も席はオケ全体がよく見渡せる2階席にしました(DD列15番)。

①は3つの楽章間で休みなく連続演奏でした。ソリスト・吉田さんは美しい方のようで(ステージまでの距離が遠くて顔がよくは見えず)ピンクのドレスをまとった演奏姿も華があります。序盤、強音の部分はもうちょっと大きな音が欲しいような気もしましたが、次第に調子が出てきたのか動きも大きくなり、美音を聞かせてくれました。全体としては緩楽章や密やかな弱音などがとても美しくて良かったです。演奏後、吉田さんを讃えようとコバケンさんは彼女一人を何度もステージ真ん中へ送り出しますが、吉田さんは恥ずかしそうに、困ったように「先生もいらしてくださいよ」といった感じでこれまた何度も手招きをされたのが微笑ましかったです。

そして、お目当ての②は圧巻でした。「英雄」は第一楽章の最初の2音で全体のテンポが決まると言われており、そこを聴いたときは意外と速めなのかなと予想したら、その後は楽章間あるいは1つの楽章の中でも緩急の差・強弱の差(ダイナミックレンジ?)が極めて大きく、これは実に私好みでした。かなりメリハリをつけた演奏&指揮は朝比奈さんの重厚(長大)や巨匠風ともちょっと違うように思いました。

①では心地よく眠気に誘われる感じもあったのですが、②は好きな箇所がどのように演奏されるんだろうかとか、おっとここはこんな風に演奏されたかとか、CDではここのティンパニの弱音に気づいていなかったなあなどと、私にしては珍しく(?)ずーっと集中して聴くことができました。コバケンさんと大フィルの渾身の演奏は素晴らしく、第二楽章後半の私が”泣き”と感じている箇所とか第四楽章の血湧き肉踊るような好きな箇所(音楽は素人なのでこんな表現しかできずスミマセン・・・)などには思わずジーン。

コバケンさんの指揮ぶりは、やや前傾気味の姿勢で動きは激しく、ときどき大きく振り下ろす左手が燕尾服のシッポ(?)をはね飛ばすのが印象的でした。小澤征爾さんもちょっとこんな感じでしたっけ?音を要求するときは、きちっとその楽器の方に身体を向けたり、遠くのトランペットには手を高く上げたりと、見ていても分かりやすかったです。なお、この日は2曲とも暗譜での指揮でした。

最初よく分からなかったのですが、コバケンさんは、ここぞというときにはうなり声をあげておられたようです。2階席でも聞こえるのだから、かなり大きなうなり声だったんでしょうね。「英雄」は第三楽章から第四楽章のみ連続で演奏し、それ以外は休みを入れて指揮台の下におりて汗をぬぐったりされていました。あの熱演は休みなしでは無理でしょうね。また、コンサートマスター(長原さんじゃなさそうだったし、どなただったのでしょうか?)の身体の動き(揺れ)、腕の動きも大きく、激しく、熱演ぶりがよく伝わってきました。これらはCDなどでは分からず実演ならではのものです。

演奏後、ブラボー!の声が幾つも飛び交い、ホール内はもの凄い拍手の渦に包み込まれました。拍手もただ音が大きいだけでなく、手の位置が高いことが感動をよく表していると思います。私ももちろん熱烈拍手です。コバケンさんはメンバーの中を歩いて回りながらオケの健闘を讃え、特に各パートのトップには最大の賛辞を贈られました。聴衆の拍手もずっーと続いており、トップ奏者にはその度に最大級の拍手が。これはどちらにとっても嬉しいですね。また、「さあみんな立って」と促されたオケがコバケンさんを拍手と笑顔で讃えていたのがとても印象的でした。コバケンさん+大フィル+ザ・シンフォニーホール+「英雄」の組み合わせが一期一会的な感動を生み出したようにも思いましたし、指揮者とオケの良い信頼関係が築かれているんでしょうね。私は「英雄」では、オーボエ・フルート・トランペット・ティンパニが特に良かったと思います。もちろん、弦がしっかりと支えていた訳ですが。MVPはやはりオーボエの方かな?そうそう、第三楽章のホルンのトリオは実演では今いちと感じることも多いのですが、この日は安定感あり&音も大きく美しくて良かったです。 

聴衆に対するお礼の言葉が述べられた後に演奏されたアンコール曲は、弦のみによる「ダニー・ボーイ」でした。出だしは低音が主体で、途中のヴァイオリンによる超弱音のひそやかさも素晴らしく、とびっきりのプレゼントをもらったような気持ちになりました。「ダニーボーイ」はしみじみとした味わいがある名曲で、イギリス映画「ブラス!」でもとても印象的なシーンで使われていましたね。

この日のコンサートはこれまでにザ・シンフォニーホールで聴いたものの中でも感動度はベスト級でした。クラシックっていいですね。そして生で聴くコンサートの何と素晴らしいこと。ここ数年、趣味の中でクラシック音楽の相対的な順位が下がっていたのですが、これからは機会を見つけてまたコンサートに行きたいものです。

◎参考ブログ:

  ushinabe1980さんの
  ”USHINABE SQUARE~クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味のブログ”
  響小僧さんの ”響き-ひびき-”