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ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

ブルノ・フィルのドヴォルザーク

2009-11-13 23:55:00 | 音楽

Bruno111月も中旬となり、まさにスポーツの秋、読書の秋、芸術の秋たけなわですね。

先日、ザ・シンフォニーホールで開かれたチェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに行ってきました。外国オーケストラのコンサートに行ったのは何年ぶりでしょうか。
10年ぶり? いや、15年ぶりか? ひょっとすると、それ以上の久方ぶりかもです。

実はザ・シンフォニーホールで聴いた初めてのコンサートが約20年前?のブルノ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートでした。

一昨年3月に妻とプラハ・ウィーン旅行に行き、そのとき訪れたのはプラハだけではありましたが(プラハからウィーンへ列車で移動した際、途中でブルノの街も通過はしました)、歴史ある美しい国・チェコには親近感がありますし、ブルノ・フィルという名前を目にしてとても懐かしい気持ちになって今回のチケットを購入しました。

今回の大阪でのプログラムは、

 ①スメタナ       交響詩「モルダウ」
 ②ドヴォルザーク   交響曲第8番
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 ③ドヴォルザーク   交響曲第9番「新世界より」

という、チェコのオケらしい民族色にあふれたものです。
指揮はレオシュ・スワロフスキー氏。この方の名前は初めて聞きました。
ちなみに、大昔に聴いたときのプログラムは、ペトル・ヴロンスキー指揮で

 ①スメタナ           「モルダウ」
 ②メンデルスゾーン  ヴァイオリン協奏曲
 **************************************************
 ③ドヴォルザーク   「新世界より」

でした。②が違うだけですね。
さて、20年ぶりに聴くブルノ・フィルの「新世界より」は如何に!?

そして・・・この日の演奏は期待通りの素晴らしいものでした。ダイナミックレンジが大きく、緩急の差も大で完全に私好みの演奏ぶり。お国ものということもあるのでしょうが、熱のこもった、それでいて情感と哀感が満ち満ちた演奏が感動的でした。ブルノ・フィル、凄い!

「モルダウ」は冒頭のフルートの音色が実に美しく、全体には、緩-急-緩のテンポが絶妙でした。1曲目から堂々の演奏です。
交響曲第8番・第9番は元々大好きな曲ですし、両曲&全楽章とも素晴らしかったのですが、あえて特に印象に残った楽章を挙げると、第8番では第2楽章(こんなに素敵な楽章でしたっけ?予想以上に良かったです!)と第3楽章(明るさと哀愁が入り混じった艶やかな弦)、第9番では第2楽章でしょうか。後者では今回、「家路」の別名で有名なイングリッシュ・ホルンの旋律よりも、その後の中間部(弦のさざ波に支えられた木管の寂寥感をたたえた旋律、コントラ・バスのピチカートに乗って奏でられるクラリネットの旋律・・・by宇野功芳)がとても印象的でした。ああ、いいなあ・・・とため息です。最後の弦のトップ8人→コンマス&チェロの二重奏のひそやかさも見事でした。

楽器演奏などの経験が全くない素人クラシックファンの私ですが、①~③ともメロディは頭に入っており、好きな個所もはっきりしているため、そこに近づいてメンバーが準備の態勢に入るとドキドキして「来い、来い、来い、来てくれよ・・・」と期待し(下品な表現ですみません)、思い通りの音が来ると、「来たーっ!」と心の中で叫んだり、逆に、「おー、ここでこういう表現をするのか、こんなテンポにするのか」と驚いたり、実にミーハーな楽しみ方をさせて頂きました。

全体では、定評のある弦の美しさはもちろんのこと、フルートとクラリネット、終始安定して朗々とした響きを聴かせてくれたホルン、ここぞというときの華やかなトランペット、ティンパニの強打も見事でした。

「新世界より」は、イシュトヴァン・ケルテス指揮のウィーン・フィルハーモニー盤('61)という超名盤があり、どうしてもこのCDと比較して不満を覚えることも多いのですが、今回の演奏はケルテス盤と似たような印象を持ちました。その意味でも大満足です(ただし、帰宅後にCDを聴いてみると、ケルテス盤の方が緩急の差は更に大きかったようです。うーん、やっぱり凄い)。

コンサートでは、管弦楽曲-協奏曲-交響曲というプログラムが割と多いのですが、協奏曲はどうしてもオケの編成を小さくしたり、音もやや控えめになってそれが物足りなく感じることも多く、派手好みの私としてはこの日のプログラムは最高でした。また、この日のコンサートは、プログラム・演奏・指揮ぶり・ファンサービス(開演前にホワイエでミニ・コンサートあり)など全てが素晴らしく、総合感銘度でこれまででベスト級の1つだと感じました。ただ、満員じゃなかったんですよねえ。8割くらいの入りだったでしょうか。それだけが残念でした。もちろん、この日のお客さんの多くは大感動だったと思うのですけれど。

アンコールはスラブ舞曲 第15番(作品72-7)。実は、終演後のホワイエに本日のアンコール曲として確かスラブ舞曲 第7番と書いてあったと思うのですが、これは作品72-7の7番と勘違いされたのですかねえ。

実はこのアンコールの演奏も凄かったです。ある意味、一番凄かったとも言えます。全体的に速いテンポで、コーダはまさに超特急。弦のめまぐるしい腕の動きは視覚的にももの凄く、超絶的演奏でした。ホール内を興奮の渦に巻き込んだ演奏が終わり、弾かれたように沸き起こった大拍手・大喝采が感動的でした。これぞ実演の醍醐味ですね。CDなどでは絶対に味わえない生の迫力と魅力を堪能しました。オケ・メンバーも聴衆の興奮ぶりを嬉しく感じてくれたんじゃないでしょうか。

終演後、この日の指揮者のレオシュ・スワロフスキー氏にサインを貰おうと、ホール裏手の楽屋口に回って待つこと約20分(20人くらいの人が列を作っていました)。オケメンバーが次々と着替えてホールを後にした最後にスワロフスキー氏が登場。プログラムにサインを頂いたのですが、実ににこやか&気さくな方で、片言の英語で素晴らしいひとときをありがとうございましたと言ったら、チェコ語で(?)モニョモニョと言われた後、”My pleasure(光栄ですorどういたしまして)”と言ってくださいました。

今回の席はA席(2F BB-18)9000円でしたが、その価値は十分ありましたね。
またこのような感動を求めてコンサートに行きたいものです。

◎参考ブログ:

   結月秋絵さんの”Allegro con brio”

Brno3


My Romance

2009-06-27 23:30:36 | 音楽

最近、寝るときや時間があるときによく聴いているCDが、スタンダード・ヴォーカル集のベスト盤の「My Romance」(5枚組)です。

販売元のテレビショッピングの「ショップマニフィカ」のサイトにある謳い文句を転記してみますと・・・、 

大人だからこそ、その価値がわかる名曲だけを集めたスタンダード・ヴォーカル集のベスト盤!

聴くだけでよみがえる青春を彩ったあの懐かしい日々・・・
キング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリーの愛をささやく甘い歌声を聴くと、いとしいあの人に会いたくなる・・・
青春の光と影を歌うフォーク・デュオ、サイモン&ガーファンクルの瑞々しい歌声に誘われて昔懐かしい友人と語らいたくなる・・・
今なお、その輝きが色あせない永遠の名曲全100曲をCD5枚組に収録しました。
ルイ・アームストロング、トニーベネット、プラターズ、フランク・シナトラなど、世界の一流アーティスト豪華71組による夢の競演。
ラヴ・バラードからJAZZヴォーカルまで大人の心をくすぐる贅沢なラインナップを凝縮。
日本を代表する5大メジャーレコード会社とのタイアップで実現した、通販限定企画商品です。

Myromance

時おり日本人歌手のジャズ・ヴォーカルCDなどを買ったりはしているのですが、常々ジャズ・ヴォーカルやスタンダード・ヴォーカルのベスト盤で良いものがあれば買いたいなと思っていました。クラシック音楽は好きですがオペラはちょっと敷居が高く、ジャズも興味はあるけれど素人同然ですので、入門編となるようなものを探していたものです。ベスト盤などから入るのは邪道という考え方もありますけれど。

たまたま見た深夜テレビでのCMでなかなか良さそうだなと思い、ネットで内容を確認して、ジャズ・ヴォーカルも含まれているこのCD集にしました。ジャズやスタンダードの廉価版CDやCD集は様々なものがあちこちで売られていますし、このCD集は5枚組で10,000円とそう安くはありません。ですが、音源はメーカーの協力による正規の音源だそうですし、サビ部分のみのピックアップ盤などではなく、きちんと1曲を最後まで歌っているのが良いです。ネットでもそれを評価している声が複数ありました。簡単な楽曲の説明と歌詞が書かれた小冊子もついており、この値段にまずは不満なしです。ただ、あえて言えば全曲で作曲者・作詞者を明示して欲しかったですね。

良いなあと感じている曲は以下のようなものなどです。
もちろん、殆どは以前から多少なりとも知っている曲ですが、まとめて聴くのもなかなか良いものです。まだ、全然知らなかった曲がお気に入りになるほどには聞き込んでいませんが。

ラヴ・ミー・テンダー/エルヴィス・プレスリー
好きにならずにいられない/エルヴィス・プレスリー
恋の日記/ニール・セダカ
帰らざる河/マリリン・モンロー
マイ・ウェイ/ポール・アンカ
ダニー・ボーイ/ハリー・ベラフォンテ
フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン/トニー・ベネット
サウンド・オブ・サイレンス/サイモン&ガーファンクル
ムーン・リヴァー/アンディ・ウィリアムス
ブルー・ヴェルヴェット/ボビー・ヴィントン
ミスター・ロンリー/ボビー・ヴィントン
遥かなるアラモ/ブラザース・フォア
スターダスト/ナット・キング・コール
クライ・ミー・ア・リヴァー/ジュリー・ロンドン
ゴールドフィンガー/シャーリー・バッシー
この素晴らしき世界/ルイ・アームストロング
バラ色の人生/ルイ・アームストロング
ラヴァーズ・コンチェルト/サラ・ヴォーン
サマータイム/サラ・ヴォーン
ラヴ・ミー・トゥナイト/トム・ジョーンズ
オンリー・ユー/プラターズ
煙が目にしみる/プラターズ
恋の面影/ダスティ・スプリングフィールド
スタンド・バイ・ミー/ベン・E. キング
帰ってくれたら嬉しいわ/ヘレン・メリル
イパネマの娘/アストラッド・ジルベルト & スタン・ゲッツ楽団


クライバー指揮/ベートーヴェン「7番」ほか(DVD)

2009-05-21 22:32:04 | 音楽

Kleiber1先日、Amazonで何気なくクラシックやジャズのCD/DVDを検索していたら、ふと目に止まったのがこのカルロス・クライバー指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のベートーヴェン「4番」「7番」のDVDでした。同じ組み合わせのソフトは今や風前の灯火である(? いや、実質的には既に火が消えている)レーザーディスク(LD)で所有しているのですが、LDソフトは引っ越しの際に箱に詰めたまま何年もクローゼットの奥深くに眠ったままで、ハードも一応AVラックには収まっているものの、これまた何年も電源すらオンしていませんでした。

LDのハードは壊れたらもう販売していないので、いずれソフトをDVDへダビングをしなければと思いつつも、自分でやるのは面倒くさく、ジャケットや解説も欲しかったので、今回、パッとDVDを購入してしまいました(DVDそのものは数年前から販売されていたようです)。

かつての感動の記憶を思い起こしながら再生してみると・・・メロディラインが美しい「4番」もなかなか素晴らしかったのですが、やはりなじみのある「7番」が圧倒的&感動的な名演でした。「7番」は同じクライバー指揮でもウィーン・フィルとのCDを持っていますが(こちらも名盤と言われています)、コンセルトヘボウとのDVDはCD以上のとてつもなく速いテンポに唖然。

なお、カルロス・クライバーその人についてはWikipediaの記事をご覧ください。

2004年に亡くなったクライバーには生前から熱狂的なファンが数多くいて、その華麗な指揮ぶりには定評がありましたが、DVDでそれを再認識しました。もちろん、プチ・クラシックファン程度の私はその実演を見聞きしたことはありません。テレビ映像などでもリアルタイムで見たのは1992年のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートだけでしょうか。こちらもLDを持っています。

「7番」の映像を見ると、華麗・流麗にして躍動感にあふれ、右手で軽く握ったタクトがしなやかに揺れて素晴らしい音楽が紡ぎ出される、その魔術のような指揮ぶりが圧巻でした。クライバーはときには激しく身振りも大きく、ときにはオケにまかせて自らは音楽を楽しむような感じで佇むなど変幻自在。指揮棒(腕)の振り方もオーソドックスな指揮法に合っているのか、感覚的に振っているのかよく分からない面もありますが、実に魅惑的な指揮ぶりで、オケと聴衆を惹きつけるのは間違いなし。よく見ると結構細かいテンポ・リズムの(揺れの)指示や楽器へのキュー出しなども行っているようでした。そして、終始にこやかな表情で自分でタン、タン、タン、タン、タンタカタッターといったように音を口ずさんでいたのも印象的でした。素晴らしいオケと音楽を作り上げる喜びに満ちあふれていたのでしょうね。オケメンバーは、とてつもなく速いテンポに食らいついていくのに必死のようでしたが。でも、クライバーにあの表情、あのタクトで音出しを指示されたらゾクゾクっとしたでしょうね。  

指揮者によってオケや音楽は変わるとはよく言われますが、このDVDでは、指揮者とオケが音楽を共に作り上げていく喜びに満ちあふれ、また、指揮者とオケが互いに互いを高め合ってこのような熱演になったような気がしました。”重厚長大な大伽藍のような”とも評された朝比奈隆さんとはある意味で対極的な指揮者であり、私が実演で見た日本人指揮者の中では小林研一郎さんとそのレパートリーの絞り込み方も含めて共通点があるのかなと思いました。得意な曲やテンポなどは全然違うとは思いますけれど。 

このDVDはクライバーの指揮ぶりを見るもので、通常のコンサートの映像、オケの映像としては物足りないと思いますが、今は亡きクライバーの生気にあふれる指揮ぶりを見ることができる超貴重なものだと思います。私にとってもお宝ですね。

Amazonにも熱烈なカスタマー・レビューが多数ありますので、そちらもご覧ください。


ブラームス・ピアノ協奏曲第2番(アシュケナージ)

2009-02-14 16:54:05 | 音楽

Brahmspf2 先日メヌエットさんと高村薫さんの力作「リヴィエラを撃て」の話を少ししたときに出てきたブラームスのピアノ協奏曲第2番。

「リヴィエラを撃て」は大感動作品でブログにも感想をアップしたのですが、細部のことは忘却の彼方で、ブラームス・ピアノ協奏曲第2番が印象的な使われ方をしたこともすっかり忘れていました。でも、「リヴィエラを撃て」の自分のブログ記事を見たら、ちゃんとこの曲のことを書いていましたね。

さて、先の会話の際に、メヌエットさんが”誰の演奏がもっとも作品のイメージに近いか(でしたっけ? 間違っていたらスミマセン)”を考えて出した結論がアシュケナージ盤と聞き、これが私の持っているCDと一致してビックリ!まあ、名盤の一つとして有名なCDだとは思いますけれど。

アシュケナージ盤は、ハイティンク指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1982年です。ただし、私が所有しているCDはジャケットの写真がアップしたものと少し異なっています。昔CDを買うときに色々参考にした志鳥栄八郎さんの名著「新版 不滅の名曲はこのCDで」で、ハイティンク/アシュケナージ(pf)盤の解説を抜き出してみますと、

アシュケナージのまろやかなピアノの音色は、歌謡的な性格をもったこの曲と、実によくあっている。ここでは、ピアノとオーケストラが一体となって、”ピアノ独奏部を持つ交響曲”といわれているこの曲にふさわしくシンフォニックな表現で、劇的でかつまた優美な音楽をつくりあげている。

とのことです。
私が好きなのは第2楽章、第4楽章、第1楽章の順かな?このCDは第3楽章のチェロ独奏部が特徴的でもあるようですが、最近聴いていないのでよく覚えていません。ただ、手元メモにもチェロのことが書いてありました。

また、手元のノートによりますと、このCDを最初に聴いたのは1993年の2月でした----よくメモっていたもんだ。どうも3月のコンサートのプログラムにこの曲があり、その予習として聴きだしたようです。また、1998年の5月にもコンサートの予習で聴いていたようで、朝比奈さんのブラームスチクルスかなあ。。。と思ってネットで調べると、1998年のコンサートはやはり朝比奈隆(指揮)/大フィルで、園田高弘さんのブラームス/ピアノ協奏曲第2番と、同じくブラームス/交響曲第3番の組み合わせでした。1993年の方はよく分からなかったのですが、これも朝比奈隆(指揮)/大フィル +園田高弘だったかもしれません。

さてと、今夜は久々に重厚にして雄大なこの曲を聴いてみようかな。

(2009-2-15追加)
古い話ばかりを書いていましたが、2007年12月の金聖響/オーケストラ・アンサンブル金沢のコンサートでもブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴いていました。このときのピアニストは清水和音さん。予習不足でのぞんだこのコンサート、やはり第2楽章は”元々好きな楽章”と書いていましたが、本番では第3楽章が印象的だったようでしたね。昨夜、アシュケナージのCDを聴きました。ただ、夜寝るときに聴いたので、夢うつつでした。


小林研一郎 炎のタクト! 英雄交響曲

2009-02-01 21:04:00 | 音楽

Kobaken1_2 昨夜からの雨でグラウンドが使えないため、次男のサッカースクールがお休みとなった土曜日。午前中は自宅周り約8.5kmのランニング練習をこなし、午後からはザ・シンフォニーホールへ小林研一郎指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団のコンサートに出かけました。

シンフォニーホールでは2006年に金聖響/センチュリー響のモーツァルトシリーズ、2007年に金聖響/オーケストラ・アンサンブル金沢のブラームス・チクルスを聴きましたが、朝比奈さんが亡くなった後、大フィルをこのホールで聴いたことがなかったので、大フィル+シンフォニーホールの組み合わせは何と7年ぶりでした。

この日のプログラムは、

  ①メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調  吉田恭子(Vn)
  ②ベートーヴェン:交響曲 第3番「英雄」

の2曲で、やはりお目当ては小林研一郎さんの「英雄」です。コバケンさんの「英雄」って聞いたことがないなあと思っていたら、チラシやシンフォニーホールのホームページにあったように、このプログラムでの大フィルとの共演は初めてとのことでした。私はベートーヴェンの交響曲の中では「英雄」が一番好きなこともあり、この日のコンサートは期待度・大です。

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ザ・シンフォニー特選コンサートVol.12
小林研一郎 炎のタクト!英雄交響曲

 世界中でエネルギッシュな活動を続ける日本が誇るマエストロ=コバケンこと小林研一郎さん。今回のザ・シンフォニー特選コンサートでは、再び大阪フィルハーモニー交響楽団との共演でザ・シンフォニーホールに登場です。
 プログラムは、吉田恭子さんをソリストにお迎えしてメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲とベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」。
 「英雄交響曲」は、従来の交響曲から管弦楽の規模や曲の構想が一挙に拡大したベートーヴェンの傑作シンフォニー。意外にもコバケンさんが大阪フィルとの長い共演歴の中で演奏されていない交響曲だったのです。プログラムをマエストロと打合せしていく中でコバケンさんご自身が今、大阪フィルと奏でたい音楽として挙げられたのがこの「英雄交響曲」です。熱い信頼関係で結ばれているコバケンさんと大阪フィルがザ・シンフォニーホールで初めての音楽を披露します!
 また、ソリストの吉田恭子さんは“研ぎ澄まされた感性や情感を、楽器を通して偽りなく表現できるヴァイオリニスト”と絶賛されている話題のミューズ。
 吉田恭子さんが贈るロマン派協奏曲の傑作、メンデルスゾーンのヴァイオリン・コンチェルトと、コバケンさんが新たに挑むベートーヴェンの「英雄交響曲」にご期待ください!***************************************************************************

今回も席はオケ全体がよく見渡せる2階席にしました(DD列15番)。

①は3つの楽章間で休みなく連続演奏でした。ソリスト・吉田さんは美しい方のようで(ステージまでの距離が遠くて顔がよくは見えず)ピンクのドレスをまとった演奏姿も華があります。序盤、強音の部分はもうちょっと大きな音が欲しいような気もしましたが、次第に調子が出てきたのか動きも大きくなり、美音を聞かせてくれました。全体としては緩楽章や密やかな弱音などがとても美しくて良かったです。演奏後、吉田さんを讃えようとコバケンさんは彼女一人を何度もステージ真ん中へ送り出しますが、吉田さんは恥ずかしそうに、困ったように「先生もいらしてくださいよ」といった感じでこれまた何度も手招きをされたのが微笑ましかったです。

そして、お目当ての②は圧巻でした。「英雄」は第一楽章の最初の2音で全体のテンポが決まると言われており、そこを聴いたときは意外と速めなのかなと予想したら、その後は楽章間あるいは1つの楽章の中でも緩急の差・強弱の差(ダイナミックレンジ?)が極めて大きく、これは実に私好みでした。かなりメリハリをつけた演奏&指揮は朝比奈さんの重厚(長大)や巨匠風ともちょっと違うように思いました。

①では心地よく眠気に誘われる感じもあったのですが、②は好きな箇所がどのように演奏されるんだろうかとか、おっとここはこんな風に演奏されたかとか、CDではここのティンパニの弱音に気づいていなかったなあなどと、私にしては珍しく(?)ずーっと集中して聴くことができました。コバケンさんと大フィルの渾身の演奏は素晴らしく、第二楽章後半の私が”泣き”と感じている箇所とか第四楽章の血湧き肉踊るような好きな箇所(音楽は素人なのでこんな表現しかできずスミマセン・・・)などには思わずジーン。

コバケンさんの指揮ぶりは、やや前傾気味の姿勢で動きは激しく、ときどき大きく振り下ろす左手が燕尾服のシッポ(?)をはね飛ばすのが印象的でした。小澤征爾さんもちょっとこんな感じでしたっけ?音を要求するときは、きちっとその楽器の方に身体を向けたり、遠くのトランペットには手を高く上げたりと、見ていても分かりやすかったです。なお、この日は2曲とも暗譜での指揮でした。

最初よく分からなかったのですが、コバケンさんは、ここぞというときにはうなり声をあげておられたようです。2階席でも聞こえるのだから、かなり大きなうなり声だったんでしょうね。「英雄」は第三楽章から第四楽章のみ連続で演奏し、それ以外は休みを入れて指揮台の下におりて汗をぬぐったりされていました。あの熱演は休みなしでは無理でしょうね。また、コンサートマスター(長原さんじゃなさそうだったし、どなただったのでしょうか?)の身体の動き(揺れ)、腕の動きも大きく、激しく、熱演ぶりがよく伝わってきました。これらはCDなどでは分からず実演ならではのものです。

演奏後、ブラボー!の声が幾つも飛び交い、ホール内はもの凄い拍手の渦に包み込まれました。拍手もただ音が大きいだけでなく、手の位置が高いことが感動をよく表していると思います。私ももちろん熱烈拍手です。コバケンさんはメンバーの中を歩いて回りながらオケの健闘を讃え、特に各パートのトップには最大の賛辞を贈られました。聴衆の拍手もずっーと続いており、トップ奏者にはその度に最大級の拍手が。これはどちらにとっても嬉しいですね。また、「さあみんな立って」と促されたオケがコバケンさんを拍手と笑顔で讃えていたのがとても印象的でした。コバケンさん+大フィル+ザ・シンフォニーホール+「英雄」の組み合わせが一期一会的な感動を生み出したようにも思いましたし、指揮者とオケの良い信頼関係が築かれているんでしょうね。私は「英雄」では、オーボエ・フルート・トランペット・ティンパニが特に良かったと思います。もちろん、弦がしっかりと支えていた訳ですが。MVPはやはりオーボエの方かな?そうそう、第三楽章のホルンのトリオは実演では今いちと感じることも多いのですが、この日は安定感あり&音も大きく美しくて良かったです。 

聴衆に対するお礼の言葉が述べられた後に演奏されたアンコール曲は、弦のみによる「ダニー・ボーイ」でした。出だしは低音が主体で、途中のヴァイオリンによる超弱音のひそやかさも素晴らしく、とびっきりのプレゼントをもらったような気持ちになりました。「ダニーボーイ」はしみじみとした味わいがある名曲で、イギリス映画「ブラス!」でもとても印象的なシーンで使われていましたね。

この日のコンサートはこれまでにザ・シンフォニーホールで聴いたものの中でも感動度はベスト級でした。クラシックっていいですね。そして生で聴くコンサートの何と素晴らしいこと。ここ数年、趣味の中でクラシック音楽の相対的な順位が下がっていたのですが、これからは機会を見つけてまたコンサートに行きたいものです。

◎参考ブログ:

  ushinabe1980さんの
  ”USHINABE SQUARE~クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味のブログ”
  響小僧さんの ”響き-ひびき-”