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ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

映画「フラガール」

2006-12-08 21:40:00 | 映画

Hulagirl1 映画「フラガール」
★★★★☆:90点

話題の映画「フラガール」を観てきました。映画館は現在、大阪ではただ1館の上映館らしい「シネリーブル梅田」で、20:30からのレイトショーだったので(これ以外の回は他の映画を上映)、1200円とリーズナブルでした。

***************** 【注意:以下、ネタバレあり】 *****************

実は途中までは、あれ?期待していたほどの出来ではないかなとも思ったのですが・・・、局面に大きな変化が生じ、次第に盛り上がってきて、ラストのダンスシーン(フラダンスやタヒチアンダンス)はゾクゾクするほどの素晴らしさでした。熱烈感動!

幕切れ直前、全員の決めポーズ。紀美子役の蒼井優のクローズアップ。はじけんばかりの笑顔に一筋の涙がこぼれ、泣き笑いのような表情になり、泣き崩れそうになるのを必死でこらえて笑顔を続ける。この表情が最高でした。また、紀美子が一人で踊っているシーンなどでは、彼女がまるで”ビーナス”に見えました。うーん、また一人惚れてしまったな・・・。紀美子に惚れたのか、蒼井優さんに惚れたのか。

紀美子の親友・早苗(徳永えり)には、”貧しいことは悲しく、つらいことだが、恥ずかしいことではない”ということを教えられました。早苗が着ているセーターやコートはあちこちすり切れてほころびが目立っていますが、彼女はそんなことなど気にしません。堂々としています。炭鉱の縮小で首切りにあった父親と共に夕張に行かざるを得なくなった早苗(幼い弟妹の面倒をみれるのは彼女だけ・・・)。仲間との別れのシーンでは、精一杯明るく気丈にふるまう彼女を、父親への体当たりの説得も失敗に終わり、ふてくされたように背を向けていたまどか先生(松雪泰子)が出発間際にしっかりと抱きしめる。生徒と先生の心の結びつきに不覚にも涙が。早苗に面と向かって別れの言葉が言えない紀美子は土手の上を走って車の荷台に乗った早苗を追いかける。二人に多くの言葉は必要ない。「じゃーなーーー!」、「じゃーなーーー!」明るく元気だけど、もの悲しいシーンでした。しかし、後になって早苗から届いた手紙とこころづくしのプレゼントが、変わらない心の絆を示してくれました。

意地っ張りで、芯が強くて、人には優しくて、ひたむきで、けなげで、頑張る女の子(女性)は素晴らしい。紀美子の兄役・豊川悦司の「女は強えーなー」というつぶやきには、感嘆・賛辞の気持ちがこめられていると思います。

一応、松雪泰子が主演女優、蒼井優が助演女優という位置づけのようですが、ダブル主演と言っても良いと思います。迫力の松雪泰子に若さの蒼井優。松雪泰子の、流れ流れて東北の田舎にきた酔っぱらい姿(酔わずにはいられない)、威勢の良いタンカ、よーしやってやろうじゃないかという心意気、生徒に見せる厳しさと、ふと見せる優しさが素晴らしかったです。終盤の涙々でグショグショになった顔のアップには、女優さんがよくそこまでさらけ出すなあと驚きました。

脇を固めるベテラン勢がこれまた素晴らしかったです。母親役の富司純子は今でも美しく、きりりとして、さすがの迫力・貫禄でした。実は炭鉱は女が支えていたんでしょうね。紀美子は彼女の血を受け継いでいるのがよく分かります。豊川悦司も口ベタで母親には頭が上がらないけれど、妹思いな感じがよく出ていました。岸辺一徳はどんな役をやってもうまいのですが、今回も見事でした。松雪泰子に向かって思わずきった東北弁丸出しのタンカとその後の土下座の対比が見事。

他の映画との関係では、観ている最中は「プリティ・リーグ」「ブラス!」(←私の大好きな映画)「ウォーター・ボーイズ」などを思い浮かべましたが、松雪泰子と蒼井優の関係が、「がんばっていきまっしょい!」の中嶋朋子と田中麗奈のそれに似通っているとも思いました。他のブログなどを見ていると、「リトル・ダンサー」との類似点について書かれているものもありました。なーるほど、炭鉱、裏切り、失業、踊り、家族愛・兄弟愛、友情、別れ、感動のラストなどシチュエーションが一番似ています。こちらも素晴らしい映画でした。でも、「フラガール」の方が見終わって、より元気になることができます。

参考ブログ:shimoさんのブログ”ランシモ”
        *時代背景に対する感想なども詳しいです。
                 アイリスさんのブログ”To be continued.”
                  *後半は10分に一度泣かれたみたいですね。

********** ストーリー(公式サイトより) **********

昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。
“求む、ハワイアンダンサー”の貼り紙を見せながらここから抜け出す最初で最後のチャンスだと、 早苗(徳永えり)は紀美子(蒼井優)を誘う。
男たちは、数世代前から炭坑夫として、女たちも選炭婦として、働いてきた。
だが今や石炭から石油へとエネルギー革命が押し寄せ、閉山が相次いでいる。
この危機を救うために炭鉱会社が構想したのが、レジャー施設「常磐ハワイアンセンター」だった。

紀美子の母・千代(富司純子)も兄・洋二朗(豊川悦司)も炭鉱で働いている。
父は落盤事故で亡くなった。母は「百年も続いたウヂの炭鉱は天皇陛下までご視察にいらしたヤマだぞ」と自慢し、炭鉱を閉じて“ハワイ”を作る話に大反対。
それでも紀美子と早苗はフラダンサーの説明会に出かけるが、ほかの娘たちは、初めて見るフラダンスの映像に、「ケツ振れねえ」「ヘソ丸見えでねえか」と、逃げ出してしまう。
残ったのは、紀美子と早苗、それに会社の庶務係で子持ちの初子(池津祥子)、そして父親に連れてこられた一際大柄な女の子、小百合(山崎静代~南海キャンディーズ・しずちゃん)だけだった。

そんな中、娘たちにフラダンスを仕込むために、ハワイアンセンターの吉本部長(岸部一徳)は東京から平山まどか先生(松雪泰子)を招く。本場ハワイでフラダンスを習い、SKD(松竹歌劇団)で踊っていたダンサーだ。最初は田舎町を軽蔑し、ど素人の娘たちに踊りを教える意欲もないまどか先生だったが、紀美子たちの熱心さに次第に真剣になっていく。
実はまどか自身が母親の借金を背負い、半ば自暴自棄になっていたが、ひたむきな娘たちと接するうちに夢を持つ大切さを思い出していた。そんな彼女の教えは、どんなに辛い時でも「スマイル」、笑顔をなくさないこと。
しかし、世間の風当たりは依然強く、さらに予期せぬ出来事が起こり・・・。
果たして常夏の楽園は誕生するのか?無事に笑顔でオープンの日は迎えられるのか?

PCは遂に明日、修理に出すことになりました。
  レスなどが遅れたらスミマセン。


亡国のイージス(映画)

2006-11-01 22:05:12 | 映画

Boukokuno1_1亡国のイージス(byTV放送)
★★★☆:70点(かなり甘めの採点)

先日の日曜洋画劇場で見ました。まあ楽しめたのですが、福井晴敏の原作を読んでいない人が果たして細部まで理解できたのか大いに疑問が残りました。

ノーカット・オリジナル版があるとして、TVでは全体の10~20%がカットされたのかなと思ったのですが、ひょっとしてあれがほぼオリジナルだったのでしょうか。長ければ良いというものではありませんが、場面転換などに唐突感があり、全体的にも説明不足・描き込み不足を感じました(人物の説明・描写を含む)。また、あの長くて熱ーい(厚いとも言う)福井晴敏の渾身の原作に比べると、どうしても薄っぺらさが目立ちました。ロケット弾の発射・迎撃シーンなど、そこそこ迫力&らしさはありましたが、あまり”戦争”という感じがしなかったのも残念。

重要なエピソードが幾つか抜けていたのも気になりましたね。

・如月行が受けた訓練シーンの凄まじさ(これで読者は彼がてっきり
 あの国の工作員だと思ってしまうのですが・・・)
・グッソーは実は・・・だったこと&日本は某国の手の上で踊らされて
 いただけだったこと

などなど。阪本順治が本作の監督にふさわしかったのかなという疑問もありますが、全体的には監督というよりも脚本のミスかな?

真田広之の仙石は原作のイメージとはかなり違う気もしましたが、この役作りは”あり”で、良かったです。いい役者さんです。ホ・ヨンファ役の中井貴一も良し。如月役の勝地涼 、顔立ちや雰囲気が「バッテリー」の原田巧役にピッタリと思いました。ちょっと年齢が上で実際に演じるには無理があるでしょうが。

映画を見たら原作の凄さが改めて分かり、再読したくなってきました。あの熱気が懐かしい。。。

◎参考ブログ:そらさんの”日だまりで読書”
         原作を読んだ人は皆さんほぼ同様の感想みたいですね。

now reading ・・・ 「幻夜」(東野圭吾) 面白い!


ダ・ヴィンチ・コード(映画)

2006-07-14 23:48:00 | 映画

Davinti1_1 ダ・ヴィンチ・コード(映画)
★★★★:80点

世界的大ベストセラーの原作も読まず、必要と言われた宗教的な予備知識の習得もせず、監督がロン・ハワードだとも知らず、どうもトム・ハンクスが出演しているらしいくらいの情報だけで観に行きました。結果は? 予想していたよりは面白く、途中で眠くなることもなく結構集中して&楽しんで見ることができました。また、細かい部分でよく分からない箇所はありましたが、結構説明的に作られていたこともあって、特に予習なしでも理解可能でした。これは妻も同じ感想でした。ジャン・レノは何故彼が起用されたのかよく分かりませんでしたが・・・。

原作からはかなり色んな要素がそぎ落とされているとは思いますが、それは映画ならば当然のこと。色んなエピソードがほどよくちりばめられ、まずはよくできた映画だと思いました。ただ、全体として説明的な作り方だったせいか(それで理解可能だったわけですが)、ミステリアスさ・スリル・サスペンス・謎解きの面では多少掘り下げ不足、余韻不足の感がありました。よって、感銘度の点では物足りず、見終わってから2週間経った今では内容をあまり覚えていません。そう考えると5点マイナスかな?惜しい!

****************** あらすじ ******************

閉館後のルーブル美術館。ダ・ヴィンチの有名な素描<ウィトルウィウス的人体図>を模して横たわる館長の死体が発見された。死体の周りに残された不可解な暗号。その中に自らの名前が含まれていたハーヴァード大学教授のラングドン(トム・ハンクス)と、館長の孫娘で暗号解読官のソフィー(オドレイ・トトゥ)は、暗号の謎をときはじめるが…。ダ・ヴィンチが自らの絵画に残した、歴史を揺るがす暗号とは?そして時代を超える重大な秘密とは・・・?!

*********************************************

<以下、ネタバレあり>

ラストに、ルーヴルのピラミッドに戻ってきたところはストーリー的にも映像的にも巧いなーと思いました。これは原作通りなのでしょうか?女性を表す形と男性を表す形が様々なところに使われている、「最後の晩餐」にも示されているといったところも、ほうーっと思っていました。ヒロインのソフィーは重要な鍵を握っている(重要な情報を知っている)だけでなく、当然、彼女が真の承継者なんだろうなとは想像していたので、これに関しては驚きは無し。ただし、彼女が姿を現すのを待ち続け、これからも彼女を守っていこうとする人々が静かに集まってきたシーンは味わいありでした。

聖書やキリスト教の教えを否定する内容として各国で上映禁止になっているそうですが、フィクション小説&映画としてはなかなかに刺激的ですね。


ナルニア国物語(映画)

2006-04-03 21:40:00 | 映画

Narunia2 ナルニア国物語 第一章ライオンと魔女(映画)
★★★☆:70点

昨日、家族4人で観てきました。私が子供と映画館に行ったのは実は初めてです。映像(特に獣や半人(神)半獣、城や王宮などの建築CG他)に見るべきものがありましたが、ストーリーや展開などはやや深みが乏しかったような気がしました。2時間20分くらいの映画だったと思いますが、若干冗長な部分と性急過ぎる部分があり、大事なところの描き込みも多少不足していたか・・・。ひょんなことからナルニア国に足を踏み入れてしまうシーンは、もっとミステリアスorファンタジックでも良かったかも。割とあっさりのような気がしました。映像は良かったのですが、これも更にもう一段の壮大さ壮麗さと迫力が欲しかったところ。白い魔女は強くてgood。でも、アスランをとり逃がしたのが運の尽き。

似ている面もある「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズとの比較では、感銘度の点で「リング」の方がはるかに上と評価します。あちらは長かったっけど凄かった・・・。大人向け作品と<どちらかと言うと>子供向け作品の差でしょうか。これは見方・解釈によるとも思いますけれど。

全体的に暗くおどろおどろしいシーンは少な目で戦闘シーンの画面も明るく、子供たちは途中眠ってしまうこともなく結構楽しんだようでした。色々と注文は付けましたが、採点は70点。

参考ブログ:にわちゃんのアレヤコレヤ 


博士の愛した数式(映画)

2006-02-21 22:57:00 | 映画

Hakaseno1_1 Hakaseno2_1









★★★★☆’:85点

一般の映画ファンの間ではあまり評価は高くないようですが(CinemaScape:5点満点で平均3.3など)、私は高得点をつけました。小川洋子さんの原作あってこその映画なのですが、原作を読んだ後よりも映画を観た後の方が印象的でした。これは映像と文章の違いによるところが大かもしれませんが。原作を読んだときは、数学・数式の美しさ、素晴らしさ、奥深さが(元)理科系の人間には若干物足りない気がしたのですが、映像で見ると、これくらいでちょうど良かったかなという気がしました。数式が主役なのではなく、これらをキーとした人と人の心のふれあいや愛情が主題であると思われるので。

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<あらすじ> ~CinemaScape -映画批評空間- より~

「君の靴のサイズはいくつだね」博士(寺尾聰)は家政婦に問う。「24です」家政婦(深津絵里)は笑って答える。「ほう、実に潔い数字だ。4の階乗だ」…博士と新しい家政婦の挨拶は、毎日こうだった。数学博士は10年前の事故でそれ以前の記憶はともかく、新しい事柄を80分しか記憶にとどめておけなくなったのだ。彼の隣の本宅に暮らす彼の義姉(浅丘ルリ子)はそんな彼を恥じるように、また哀れむように博士と隣り合って10年を過ごしてきた。だが、彼女の不安を裏切るように家政婦は博士の生活にとけ込み、また自分の息子(齋藤隆成)を連れてきて友人そのものの交際をしてゆく。そして息子の野球好きを知ったタイガースファンの博士は…。

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映画では、吉岡秀隆演じるルート先生の授業風景や博士の家にある黒板での説明シーンが非常に効果的でした。数式の美しさなどが非常にわかり易くなっていて very good!特に授業のシーンは脚本の勝利かな。ルートの生徒達への説明の仕方、マグネットボードの使い方等がいかにも教師らしく上手い。特に、例えば「・・・・を無理数と言います。(少し間をおいて)、・・・・無理数」と、少しうなずいて確かめるように、自らも納得するように語るその間合いが絶妙。板書もなかなかきれいでした。

深津絵里は明るく元気、純粋かつ素直そうで家政婦役を生き生きと演じていました。良い女優さんです。寺尾聡、さすがにうまい。映画「半落ち」のときと同様、目の表情が素晴らしかったです。吉岡秀隆。「ALWAYS 三丁目の夕日」では、そのオーバーアクションの演技(演出が悪かったとも言えるかな)に注文をつけましたが、本作は素晴らしい。博士と数学・数式への愛情・畏敬の念といったものがよく表現されていました。ルートの子役を演じた齋藤隆成クン。いやー、「北の国から」の純クン(吉岡秀隆)の小さいときに顔立ちがソックリで驚きました。浅丘ルリ子はちょっと不満。岸恵子さんとかが良かったなあ。

美しい景色をバックに、あまり大きな物語の起伏もなく淡々とした描写が続く非常に静かな映画は、特に若い人には受け入れられにくいか。私もどちらかといえばテンポと活気のある映画が好みなのですが、原作の内容から考えて見事な映画化だと思います。ラストの余韻も味わいあり。

義姉がすむ母屋の撮影には、登録文化財「豊門会館」が使われたそうです。博士が住む離れはセットだったのですが、外観・内観ともに洋風建築ファン好みの佇まいでした。

”愛情”や”信頼”などの本質以外のことばかりを書いてしまいました。まあ、そちらがより印象に残ったのでやむなしですね。そのままにしておきます。

なお、原作を読んだときにも感じたのですが、博士の記憶が80分しかもたないという設定には疑問あり。翌朝には前日の記憶がなくなっているといった単純な設定で良かったのでは?

◎参考ブログ:

   そらさんの”日だまりで読書”(2007-5-23追加)
   juraさんの”jura'file+++movie”(2007-5-23追加)