話題の映画「フラガール」を観てきました。映画館は現在、大阪ではただ1館の上映館らしい「シネリーブル梅田」で、20:30からのレイトショーだったので(これ以外の回は他の映画を上映)、1200円とリーズナブルでした。
***************** 【注意:以下、ネタバレあり】 *****************
実は途中までは、あれ?期待していたほどの出来ではないかなとも思ったのですが・・・、局面に大きな変化が生じ、次第に盛り上がってきて、ラストのダンスシーン(フラダンスやタヒチアンダンス)はゾクゾクするほどの素晴らしさでした。熱烈感動!
幕切れ直前、全員の決めポーズ。紀美子役の蒼井優のクローズアップ。はじけんばかりの笑顔に一筋の涙がこぼれ、泣き笑いのような表情になり、泣き崩れそうになるのを必死でこらえて笑顔を続ける。この表情が最高でした。また、紀美子が一人で踊っているシーンなどでは、彼女がまるで”ビーナス”に見えました。うーん、また一人惚れてしまったな・・・。紀美子に惚れたのか、蒼井優さんに惚れたのか。
紀美子の親友・早苗(徳永えり)には、”貧しいことは悲しく、つらいことだが、恥ずかしいことではない”ということを教えられました。早苗が着ているセーターやコートはあちこちすり切れてほころびが目立っていますが、彼女はそんなことなど気にしません。堂々としています。炭鉱の縮小で首切りにあった父親と共に夕張に行かざるを得なくなった早苗(幼い弟妹の面倒をみれるのは彼女だけ・・・)。仲間との別れのシーンでは、精一杯明るく気丈にふるまう彼女を、父親への体当たりの説得も失敗に終わり、ふてくされたように背を向けていたまどか先生(松雪泰子)が出発間際にしっかりと抱きしめる。生徒と先生の心の結びつきに不覚にも涙が。早苗に面と向かって別れの言葉が言えない紀美子は土手の上を走って車の荷台に乗った早苗を追いかける。二人に多くの言葉は必要ない。「じゃーなーーー!」、「じゃーなーーー!」明るく元気だけど、もの悲しいシーンでした。しかし、後になって早苗から届いた手紙とこころづくしのプレゼントが、変わらない心の絆を示してくれました。
意地っ張りで、芯が強くて、人には優しくて、ひたむきで、けなげで、頑張る女の子(女性)は素晴らしい。紀美子の兄役・豊川悦司の「女は強えーなー」というつぶやきには、感嘆・賛辞の気持ちがこめられていると思います。
一応、松雪泰子が主演女優、蒼井優が助演女優という位置づけのようですが、ダブル主演と言っても良いと思います。迫力の松雪泰子に若さの蒼井優。松雪泰子の、流れ流れて東北の田舎にきた酔っぱらい姿(酔わずにはいられない)、威勢の良いタンカ、よーしやってやろうじゃないかという心意気、生徒に見せる厳しさと、ふと見せる優しさが素晴らしかったです。終盤の涙々でグショグショになった顔のアップには、女優さんがよくそこまでさらけ出すなあと驚きました。
脇を固めるベテラン勢がこれまた素晴らしかったです。母親役の富司純子は今でも美しく、きりりとして、さすがの迫力・貫禄でした。実は炭鉱は女が支えていたんでしょうね。紀美子は彼女の血を受け継いでいるのがよく分かります。豊川悦司も口ベタで母親には頭が上がらないけれど、妹思いな感じがよく出ていました。岸辺一徳はどんな役をやってもうまいのですが、今回も見事でした。松雪泰子に向かって思わずきった東北弁丸出しのタンカとその後の土下座の対比が見事。
他の映画との関係では、観ている最中は「プリティ・リーグ」「ブラス!」(←私の大好きな映画)「ウォーター・ボーイズ」などを思い浮かべましたが、松雪泰子と蒼井優の関係が、「がんばっていきまっしょい!」の中嶋朋子と田中麗奈のそれに似通っているとも思いました。他のブログなどを見ていると、「リトル・ダンサー」との類似点について書かれているものもありました。なーるほど、炭鉱、裏切り、失業、踊り、家族愛・兄弟愛、友情、別れ、感動のラストなどシチュエーションが一番似ています。こちらも素晴らしい映画でした。でも、「フラガール」の方が見終わって、より元気になることができます。
参考ブログ:shimoさんのブログ”ランシモ”
*時代背景に対する感想なども詳しいです。
アイリスさんのブログ”To be continued.”
*後半は10分に一度泣かれたみたいですね。
********** ストーリー(公式サイトより) **********
昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。
“求む、ハワイアンダンサー”の貼り紙を見せながらここから抜け出す最初で最後のチャンスだと、 早苗(徳永えり)は紀美子(蒼井優)を誘う。
男たちは、数世代前から炭坑夫として、女たちも選炭婦として、働いてきた。
だが今や石炭から石油へとエネルギー革命が押し寄せ、閉山が相次いでいる。
この危機を救うために炭鉱会社が構想したのが、レジャー施設「常磐ハワイアンセンター」だった。
紀美子の母・千代(富司純子)も兄・洋二朗(豊川悦司)も炭鉱で働いている。
父は落盤事故で亡くなった。母は「百年も続いたウヂの炭鉱は天皇陛下までご視察にいらしたヤマだぞ」と自慢し、炭鉱を閉じて“ハワイ”を作る話に大反対。
それでも紀美子と早苗はフラダンサーの説明会に出かけるが、ほかの娘たちは、初めて見るフラダンスの映像に、「ケツ振れねえ」「ヘソ丸見えでねえか」と、逃げ出してしまう。
残ったのは、紀美子と早苗、それに会社の庶務係で子持ちの初子(池津祥子)、そして父親に連れてこられた一際大柄な女の子、小百合(山崎静代~南海キャンディーズ・しずちゃん)だけだった。
そんな中、娘たちにフラダンスを仕込むために、ハワイアンセンターの吉本部長(岸部一徳)は東京から平山まどか先生(松雪泰子)を招く。本場ハワイでフラダンスを習い、SKD(松竹歌劇団)で踊っていたダンサーだ。最初は田舎町を軽蔑し、ど素人の娘たちに踊りを教える意欲もないまどか先生だったが、紀美子たちの熱心さに次第に真剣になっていく。
実はまどか自身が母親の借金を背負い、半ば自暴自棄になっていたが、ひたむきな娘たちと接するうちに夢を持つ大切さを思い出していた。そんな彼女の教えは、どんなに辛い時でも「スマイル」、笑顔をなくさないこと。
しかし、世間の風当たりは依然強く、さらに予期せぬ出来事が起こり・・・。
果たして常夏の楽園は誕生するのか?無事に笑顔でオープンの日は迎えられるのか?
※PCは遂に明日、修理に出すことになりました。
レスなどが遅れたらスミマセン。