goo blog サービス終了のお知らせ 

ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

ALWAYS 三丁目の夕日(映画)

2006-02-07 00:50:00 | 映画

Always1_1Always2ALWAYS 三丁目の夕日
★★★★:80点

なかなか良い映画でした。世間では、”レトロ、懐かしい”、”今は既に失われてしまったものや古き良き時代が丁寧に描かれている”といった感想が多いようですね。映画館には年輩の夫婦の方も多かったようで、「そうそう、あんなんやったねえ・・・」といった声も時折聞こえてきました。それらの感想や意見になるほどと思った点と映画としては多少「ん?」と思った点がありました。これについては、後述。

とにもかくにも私が最高に驚き嬉しかったのが昭和30年代の東京の街を再現したCGでした。何せ大の建築ファン、それも近代洋風建築(明治時代~おおよそ第二次世界大戦前までに建てられた洋風建築)ファンなので、都電の走る街並み、東京タワー、上野駅、和光(服部時計店)、数々の看板建築など、スクリーンに次々と現れる映像にうっとり。細部までは分かりませんでしたが、建築ファンが見てもおかしな部分はなく、実によく作られていたと思いました。これだけでも見る価値あり!あー、あのような風景の中に立ってみたかったなあ・・・。

アクション巨編などは映画館の暗闇の中、大きなスクリーンで見るのが良いと思っていましたが、どちらかと言えば小ぶりなこの映画もぜひそうすべきですね。CGで作られた風景ですが、あのスケール感・奥行き感は家のテレビでは味わえないと思います。

世評では全般的に絶賛の嵐ですが、私の採点は、建物や街並みが素晴らしくテンポの良さと活気があった前半(とくに序盤)が90点。人情話がじっくりと描かれていたものの各エピソードが長めでスローダウンがちょっと不満&予定調和的になった後半が70点で、平均すると80点です。

参考にさせて頂いた”やまももさん”のブログ:ポンコツ山のタヌキの便り では、一応の評価はされていたものの、下記のような点には疑問も投げかけられていました。

”でも、原作が漫画だということを意識してなんでしょうか、鈴木一平君のお父さん(堤真一)や茶川竜之介さん(吉岡秀隆)のいわゆるマンガチックな描き方にはどうも馴染めませんでした。それから、どのエピソードもなんだかもう一つ物足りないものを感じました。”

古行淳之介君(須賀健太)、一平君のお母さん(薬師丸ひろ子)、六子ちゃん(掘北真希)、ヒロミさん(小雪)は良かったですね。私は一平の父(堤真一)のマンガチックな描き方はさほど気にはならず(妻に怒られてシュンとする姿も可愛いらしいし)、一番違和感があったのが茶川竜之介役の吉岡秀隆でした。一応、原作の雰囲気は知っているのですが、茶川先生役はもう少し初老の感じの役者さんの方が良かったなあ。吉岡秀隆は実年齢よりも若く見えちゃうし。彼のオーバーアクションは、何だかなーと思って観ていました。それと驚いたのが、各種の映画賞の主演男優賞に吉岡秀隆がノミネートされていることです。薬師丸ひろ子の助演女優賞は文句無しに賛成なのですが、主演男優賞ねえ・・・。子役は主演賞にノミネートしづらいということでそうなったのかな?でも、なんか違うんですよねえ。

”映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の問題点の一つに視点の散漫さがあるような気がしました。・・・原作の『夕焼けの詩』のなにが私の心を強く捉えるのだろうか・・・それは、子どもの目を通して見た大人たちの姿です。・・・鈴木一平君や古行淳之介君の目を通して描かれた夕日町三丁目の大人たちの世界を映像化したものをいま強く切望しています。”

なるほど、そうですか。私は原作をつまみ食い的にしか読んだことがないので、この点については考えが及びませんでした。原作をよく知っている人とそうでない人では捉え方に差があるようですね(これは当然ですが)。この映画はぜひもう一度観たいので、今度は色々な観点から眺めたいと思います。

80点止まりなのがちと残念ですし色々書きましたが、私は丁寧に作られた良質の映画だと思います。皆さん、ぜひ一度ご覧になることをオススメします。


いま、会いにいきます(建築編)

2005-07-26 22:01:49 | 映画
映画(DVD)「いま、会いにいきます」を観て、こういうブログを書く人は殆どいないと思いますが、建築ファンとして見た場合にも見所が多かったです。

ロケかセットか判別できなったのですが、印象に残ったのは、

  ・山道にある尖頭アーチ形断面のトンネル
  ・澪との再会と別れの重要な舞台となる工場跡(?)
     どのような設定の建物かはよく分からなかったのですが、煉瓦壁も
     見えていて味わいあり
  ・自宅や病院の建物
     窓ガラス(とくにすりガラス)やタイル、出窓部分などのデザイン

ロケであれば現地を見てみたいし、セットであれば美術の方のセンスに拍手。

特典映像も見た感じでは、工場跡はセットでしょうか。レトロでちょっと不思議感じが、ファンタジーやSF的な要素のある映画にはぴったりでした。日本映画では、大林宣彦作品や宮崎アニメを見るときにいつも街並みや建築的な点に注目しています。他にそういった映画はあるのかな?



いま、会いにいきます

2005-07-25 22:03:00 | 映画
imaaini-1いま、会いにいきます(DVD)
★★★★☆’(~★★★★☆):85点(~90点)

胸キュン、しみじみ、ホロリ、ハートウォーミングな映画。良かったです。
最近、結果としてファンタジー的要素を持つ日本の純愛映画(というのか・・・)をよく観ているのですが、その中では一番良かったです。竹内結子主演ということで「黄泉がえり」と似た感じもありましたが、この作品の方が不自然さが少なかったように思います。※「黄泉がえり」も結構気に入った映画でしたが。

あまり奇をてらったところのない真っ正直で静かな映画ですが、人の想いや心の絆の大切さを描くという作り手の意志の確かさが感じられ、脚本・演出・演技・映像ともに素晴らしいものでした。原作は未読なのですが、映画は原作に忠実だったのでしょうか。

==以下、完全にネタバレあり==

事故に遭ったときに自分の未来(運命)を知ってしまった澪。それは必ずしも幸せなだけではなかった・・・。しかし、それに目をそむけることなく、巧とやがて生まれてくる佑司に会いにいく道を選択する。

澪が再び去ってからのシーンが意外に長いなあと思っていたのですが、エピローグ風でありながら、実は時間は過去に遡って、澪の視点から二人の物語が再び綴られていく、この描き方に唸りました。そして、「いま、会いにいきます」という言葉の意味がわかった瞬間に、ああ、そういうことだったのか・・・と、ぐっと胸にせまるものがありました。
彼女が、やがて別れのときがくる息子のために書いた絵本が泣かせます。そして、12年分の予約をしたバースデイケーキ・・・。

  「澪を幸せにしてやれなくてごめん」
  「そんなことないよ。初めて会ったときからずっと幸福だったよ」

巧と澪のこの言葉も切なく重かったです。

今更書くのもおこがましいのですが、竹内結子は雰囲気のあるいい女優さんになりましたね。中村獅童の評価は微妙です。教師役のYOU、「かわいいじゃん!」の言葉と笑顔がgood。

TV版も好評のようですが、エピソードという贅肉を極力そぎ落とした映画の作り方にひかれます。
高校時代の澪役の女の子がどうしても竹内結子さんの顔に結びつかなかったのですが、映画の本質には関係ないし、まあ我慢しましょう。

P.S. 
建築が好きなので、映画でもそこに出てくる街並みや建物に気をひかれるのですが、この映画も見所が多かったです。
これについては別エントリーで。



インファナル・アフェア

2005-07-06 00:02:00 | 映画
infernalインファナル・アフェア(DVD)
★★★★☆’~★★★★☆:85点~90点

面白いとは聞いていましたが、非常に良かったです。
マフィアの新入りラウは警察へ、警官のヤンはマフィアの世界へ、互いに内部情報者として送り込まれる。二人とも才覚を発揮し大きな仕事をまかされるようにまでなっているが・・・。
重要な情報に近づくためには組織内で出世しなければならない。しかし、出世すればするほどボスとの距離も近くなり、信用と共に身の危険も増していく。この設定が出色。

麻薬取引き現場での張り込みシーンが素晴らしかった。本当に密売人はそこに姿を現すのか。実際のブツはどこに運ばれてくるのか?突入するタイミングは?無線周波数の変更。警察側・犯人側ともに頻繁に飛び交う情報。情報が漏れている!裏切り者は誰だ?突入中止。
頻繁に切り替わる画面。フル回転する頭。瞬時の判断と命令。めくるめくような映像が凄い緊張感を生み出していた。
古典的な○ー○○信号を使った秘密情報の伝達が見事。

ビルの屋上でのウォン警視とヤンの会話シーンも印象的。殺風景な屋上はヤンの荒涼とした心を表しているようでもあり、味わいあり。
ヤンにとってウォンは自分に困難な命令を与える上司である。しかし、潜入捜査官としての自分の存在を唯一知っているウォンは心の支えでもある。二人の間には上司・部下の関係を超えた友情のような感情も・・・。

ウォン警視とマフィアのボス・サムが実に良い味で抜群の存在感。もうひとつの主役コンビともいえよう。
アンディ・ラウ、トニー・レオンも共に素晴らしかったが、常により危険な状況にあり精神的にも不安定にならざるを得ないヤン(トニー・レオン)の表情が非常に印象的だった。

ぎりぎりの状況の中で生き残る方法を探る男たち。本来の世界に戻るのか、はたまた偽りの世界で生きていくのか。
互いの正体を知ってからの行動がさらに緊張感を呼ぶ。

ラスト近く、エレベータの中で起こった銃声が意味したものは。。。




解夏(映画・DVD)

2005-06-26 12:40:01 | 映画
gege解夏を見ました。★★★☆~★★★★’:70~75点

あえて言えば、難病(ベーチェット病)を題材にした純愛映画でしょうか。
つらいシーンはあるのですが、あまり深刻になりすぎず、淡々とした静かな描写が美しい長崎の風景と相まって印象的でした。同じ題材でも、アメリカ映画だったら異なった描き方をするだろうなと思いながら見ていました。
その意味で日本的な映画でしたね。

ストーリーは類型的とも言えるのですが、主人公の大沢たかおの脇を固める俳優が良かったです。彼の目となることを決意した陽子の大きな愛。石田ゆり子は理知的で頑固で愛くるしい陽子役にぴったりでした。
田辺誠一 :友として、べたつきのない明るい接し方が好ましい
渡辺えり子:ほどよい笑いを提供
松村達雄 :久々にお顔を拝見。枯れた味が見事。隆之にとってこれからの人生の師
        となるのか
富司純子 :母としてつらい立場にありながらも気丈にふるまう。そばに陽子がいて
        くれる嬉しさ

小学校の教諭として生徒たちから慕われていた隆之。
病気のために職を辞したのですが、教え子から来た手紙が胸を打ちます。
「先生、岡部が(?)いじめにあっているようです。先生、助けに来てください」
かなり進んだ病状。子供達のもとへ助けに行けないもどかしさ・悔しさ・・・。
このシーンは良かったですね。

徐々に進行する病気の恐怖と闘いながらも、生まれ故郷の景色を、愛する人々の顔を脳裏に焼き付けておこうとする隆之。そんな彼を何とか支えようとする周囲の人々。
隆之の人柄の良さもあるのでしょうが、人々の優しさが心にしみ入りました。
”人はみな一人では生きていけないものだから”(さだまさし ならぬ 中村雅俊)

■参考ブログ:jura'file+++movie
----------------------------------------------------------------------
映画の本質から外れますが、この映画は建築ファンとしても嬉しかったです。

実はこの日、「九州遺産」という本を購入。そこにあった活水学院の写真に目を見張ったのですが、その建物が夜に見た映画に出てくるとは!何という偶然。
隆之の実家の家も良かったですね。
外観全景は映らなかったのですが、下見板貼りの外壁。玄関脇の丸窓。室内には味わいのあるステンドグラスが間仕切り的に使われていました。
インテリアも含めて喫茶店のような感じだなあと思いましたが、実際の建物もそうだったのかな?
緑の多い庭も美しかったです。

長崎は行ったことがないのですが、素敵な街ですね。
長崎の街がこの映画をより印象づけてくれました。