タイムス教科書比較・憲法を批判



 
沖縄タイムス社は育鵬、自由社の教科書と他の会社の教科書を専門家や教員らに比較させた。第一回は憲法について琉球大法科大学院の高良哲美教授(憲法学)が比較している。
 高良氏は「25条の生存権などは衆議院の意見が取り入れられた。憲法制定までに多数の修正や加筆があり、事実に反する」と述べている。しかし、修正といっても、内容的には大日本帝国憲法の主旨は完全に無視されているし、大日本帝国憲法にこだわっている議員からみればほとんど無修正であったという見方もできる。
 また、多数の修正といっても、英語を日本語に訳したから、日本語として適切ではない表現が多く、適切な日本語に修正したり加筆したりしただけで、内容が修正されたとは言えない。

 「憲法改正を行って自衛権の保有を明確にするとともに、自衛隊わが国の軍隊として位置づけるべきだという主張がある」と、高良氏は憲法改正をして自衛隊を軍隊にすることに批判的に見ているが、高良氏が批判的であるのは、高良氏が自衛隊の軍隊化に反対であるからである。教科書問題で問われているのは、個人の政治思想ではなく、教科書の記述として適正であるかどうかである。つまり、育鵬、自由社の教科書が国指定の教科書として許容できる内容であるかどうかである。国民には軍隊に反対する者も居れば賛成する者もいる。
高良氏が軍隊に反対であるからといって軍隊に賛成する内容の教科書に駄目だしをするのはおかしい。

 憲法を改正するには国会議員三分の二が賛成をやり、国民投票で国民の過半数の賛成があった時に憲法は改正される。憲法を守り民主的な手続きで自衛隊を軍隊にすることに問題はない。それに日本は民主主義国家であり、自衛隊はシビリアンコントロールされている。国民に選ばれた国会議員の代表である首相が自衛隊の総司令官であり、防衛庁長官は首相の任命である。
 「憲法改正を行って自衛権の保有を明確にする」と主張してもなんら問題はない。

 30年以上、社会を教えた元教員は「憲法の授業で大切なのは、基本的人権の尊重などの三大原則。教師はそれを押さえた上で、沖縄では今も軍事優先の考えが人権を踏みにじり、憲法が十分に機能していない歴史を補強して教えることが大事」だと主張している。「沖縄では今も軍事優先の考えが人権を踏みにじり」とはどういうことだろう。憲法は日本国内のすべてに適用されるものではない。基本的には日本国内の日本人に対して適用される。
 治外法権とは日本国憲法が適用できない場所をさす。例えば大使館。アメリカ軍基地内は日本の憲法は適用されない。それにアメリカ軍人が勤務中の場合も日本国憲法は適用されない。そのことを沖縄では今も軍事優先の考えが人権を踏みにじり」と考えるのはまちがっている。

 社会の教師であるならば、憲法や人権について詳しい知識を持つべきである。元教員は本当に憲法や人権について勉強したのだろうか。一体、「沖縄では今も軍事優先の考え」とは具体的になにを指しているのだろうか。「軍事優先の考え」は沖縄だけにあり、日本本土にはないというのだろうか。もしそうであれば、沖縄だけ日本本土とは違う法律が適用されているということになる。こんなことはあり得ない。

国際大学にアメリカ軍ヘリコプターが墜落した時、アメリカ軍は沖縄の警察にヘリコプターの調査をさせなかった。そのことをアメリカ軍優先であると問題になったことがある。しかし、ヘリコプターには最新の設備が組み込まれ、それは軍事機密であり、機密が漏れないことを最優先するのは国家の常識だ。軍事優先はどこの国でも同じだ。元教師が、「沖縄では今も軍事優先の考えが人権を踏みにじり」と考えているなら彼は社会の教師として失格である。
元教師は社会の教師である前に革新系運動家である。
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