「死活問題」窮状訴えは真っ赤な嘘



書店発売のお知らせとお詫び
発売日
A4版「沖縄内なる民主主義」(600円税抜)は2月3日(火曜日)、県内書店で発売します。
お詫び
「かみつく」から「沖縄民主主義4」に改名しましたが、勝手ながら、さらに普及版としてA4版「沖縄内なる民主主義4」にしました。
狼魔人日記でネット発売
書店ではA4版「沖縄内なる民主主義」(600円税抜)のみの発売ですが、狼魔人日記ではA5版の「沖縄民主主義4」も600円で発売します。ご了承お願いします。


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「死活問題」窮状訴えは真っ赤な嘘

 米軍牧港補給基地(浦添市)の倉庫施設をトリイ通信施設に移すことが沖縄防衛局から通知された。移設先は読谷村の楚辺、大木、渡久地の三区にまたがる約二〇ヘクタールである。一帯には約六〇人の黙認耕作者が農業を営み、琉球新報は「生計」を立てていると報道している。
軍用地収入と黙認耕作地収入の実情を知っている人間には新聞報道の嘘がすぐわかる。
 黙認耕作地は設備設置が禁止されているので水道設備やビニールハウスなどを設置できない。そのために、さとうきびやさつま芋栽培がほとんどである。 

 移設先一帯の多くを占める楚辺区。施設内で黙認耕作者として農業を営むのは約五〇人で立ち退きが決まれば、最も影響を受ける区だ。同区の池原紀彦区長は一九五二年の施設移設に伴う強制立ち退きを振り返り、「度重なる土地接収に憤りを感じる」と怒りをあらわにする。死活問題だ。受け入れられない」と強調した。
                  琉球新報
 「移設されれば五〇〇坪の農地を失う」と話すのは施設内でサトウキビを耕作する池原国夫さん(七六)。一六年にわたって施設内でサトウキビを栽培してきた。池原さんは「農地を奪う基地移設には反対したい」と訴えた
                  琉球新報

 農業で生計を立てていると言うのは真っ赤な嘘である。私が子供の頃、つまり五五年以上も前から黙認耕作地内の農業で生計を立てている人はいなかった。軍作業や民間の仕事をしながら副収入として農業をやっている人がほとんどだった。農業では生活できないからである。

 二〇ヘクタールの畑を六〇人でやっているから、一人あたりの畑は0.33ヘクタールである。

 一ヘクタールあたりの収入はいくらになるかをWEBで探していたら二〇一一年一一月二五日に掲載している「TPP・さとうきび壊滅の嘘」という題名の私のブログに出会った。

TPP・さとうきび壊滅の嘘

 TPP参加反対のJAはTPPに参加すればさとうきびは壊滅すると具体的な数字を示しながら主張している。学者や知識人はJAが述べているさとうきびの被害額に対して誰一人として反論を
しない。変である。いざとなったときの学者や知識人の理論の脆弱さを見てしまう。

 新聞の記事を寄せ集めた情報を組み合わせればJAのさとうきび壊滅論が嘘であることがわかる。専門書を読む必要はないし、専門的な知識も必要ない。

 県内のさとうきび農家の約8割が工作面積が1ヘクタール未満である。さとうきびは3300平方メートルで必要経費を引いた年収が約40万円 (国の交付金を含む)であるという。耕地面積が1ヘクタール(10000平方メートル)の畑なら年収が120万円となる。1ヘクタールの畑ではとても生活はできない。
沖縄のさとうきびの農家の80パーセントは1ヘクタール未満である。ということは80パーセントのさとうきび農家が年収120万円以下である。さとうきび農家80パーセントの農家はさとうきび栽培だけでは生活はできない。さとうきび農家のほとんどが他の仕事をしなければならい。というより、さとうきび栽培は小遣い稼ぎであり本業は他の仕事であるということだ。会社勤めをしながらついでにさとうきび栽培をしているのがほとんどのさとうきび農家である。さとうきびは手間がかからない。一週間に一度くらい畑に行けばさとうきびは栽培できる。だから、仕事をしている人は片手間でさとうきび栽培をしている。
 80パーセントのさとうきび農家がさとうきび以外の仕事を本業としているから、TPPに参加して、さとうきびが壊滅的な打撃を受けても生活には困らないというのが現実である。

 もっと注目すべき問題がある。TPPに傘下してもさとうきび農家はほとんど打撃を受けないということだ。

「第2の尖閣になる」に書いてあるようにさとうきびは1トン約2万円で農家から買い取るが、2万円の内の1万6000円が交付金である。国が1万6000円払い、製糖工場はたった4000で買い取るのだ。実に5分の4が交付金なのだ。もしTPPに参加して外国から安価な砂糖が入ったとしても、国が交付金をわずか4000円増やせばさとうきびの原価は0円になる。JAはこの事実を言わないでさとうきび壊滅論を展開している。農家は2万円で買ってくれればTPPの影響はない。

 多和田さんは、「交付金がなければ、経費をどれだけ節減してもどうにもならん」とお手上げをしているが、アメリカや先進国は農家に援助をしているし、TPPに参加しても交付金は維持されるのは確実だ。多和田さんの心配は思い過ごしである。

 TPPに参加しても2万円の買い取り価格は同じなのだから、さとうきび栽培が壊滅的な影響を受けるということはない。国の交付金を1万6000円以上にすれば輸入砂糖と競争することは十分できる。
しかし、80パーセントの農家が1ヘクタール以下の耕作面積しかないから、交付金1万6000円を維持しても、さとうきび生産はTPPとは関係なく衰退していく。
 
 さとうきび生産で収益を大きくするには耕地面積を大きくして大農場経営にするか、下に掲載している「大東月桃加工事業」のように、黒砂糖を利用した加工事業を起こすことである。夏の暑さ対策として黒砂糖は有効であるということが広まったし、健康食としての黒砂糖が評価されるようになった。黒砂糖と落花生をまぶした菓子は昔から沖縄の名産である。黒砂糖を原料にした菓子つくりは将来性がある。「大東月桃加工事業」が島外の専門家を島に招いたように、黒砂糖を利用した加工の企業を起こし、専門家に協力を求めるのだ。
 
 JAのTPP参加はさとうきびの農業の壊滅は嘘である。しかし、JA体制のさとうきび産業は衰退する運命である。さとうきびの将来は黒糖のオリジナル商品をつくることである。これからは、国内だけでなく外国への輸出もめざすべきである。
       「TPP・さとうきび壊滅の嘘」

 サトウキビの一ヘクタールあたりの収入は一二〇万円である。
 トリイ通信基地の倉庫新設は二〇ヘクタールであり、農業をしている人は六〇人である。一人あたりの畑は0.33ヘクタールであるから収入は約三〇万円である。しかし、その中から肥料代、農機具代金などを引かなければならないから実質的な収入は二五万円そこそこである。さとうきびは一年一度の収穫だから二五万円の年収となる。月収にすれば二万円である。月収がたった二万円が死活問題というのはあり得ないことである。
「移設されれば五〇〇坪の農地を失う」と嘆いている池原国夫さん(七六)の収入は約二〇万円で必要経費を引くと一五、六万である。
 
 知花地区でも同じように施設を移設する問題が起こっている。地区内の耕作地は約五〇ヘクタールで数百人の耕作者が居る。一人当たりの耕作地はトリイ通信施設よりも小さい。死活問題とは程遠い。

 軍用地料と農業収入を明らかにしないから、「死活問題」だと言うるのである。明らかにすれば沖縄二紙の記事が大嘘であることが分かる。

 黙認耕作地にはもうひとつみなさんが知らないことがある。耕作者のほとんどが地主ではないことだ。私の友人も他人の黙認耕作地を借りて農業をしている。

戦後七〇年近く経過し、軍用地は財産分与などで会社員をしている人が地主になるケースが多く、地主になっても畑を放置する人間が多い。畑をやりたい人が無料でそのような畑を借りて農業をするようになった。有料ではなく無料である。
 トリイ通信施設にしろ知花地区にしろ、農耕者の多くは無料で畑を借りて農業をしている人たちである。立ち退きとは地主ではない彼らが無料で借りていた畑から立ち退くということである。彼らに立ち退き料や新しい畑を紹介する義務が防衛省にあるはずがない。

 トリイ通信施設では数年前に楚辺区のおよそ三〇ヘクタールを返還している。その一帯も黙認耕作地であったが、跡利用に困っている状態である。返還地が住宅地や商業地になるなら地主の収入は確保できるし村の収入も増えるだろう。読谷村の経済発展にもなる。しかし、国道五十八号線沿いにも返還地があり、そこに大きな商業地ができる予定である。サンエーの大規模店舗が来年にもオープンする予定だ。そうなると楚辺区の返還地は住宅地にも商業地にもなれないで、畑用地にならざるをえない。軍用地返還は経済面で難しい問題を抱えている。



トリイ通信施設は近いので写真を撮ってきた。トリイ通信施設は作る時に、楚辺区、渡久地区を総移転させ、大木区古堅区の土地も接収した。トリイ通信施設は広大だった。原因はアジアの情報を集めるために鉄塔のように高い電波塔を百基近く建てたからだ。しかし、現在は写真のように白いドームのような衛星通信の電波受信基一台あればいい。

トリイ通信施設にとってほとんどの土地が必要なくなっているというのが実情である。事実、半分近くの土地は返還されている。
 土地を返還されても、読谷村では住宅以外は畑をするしかない。


 
 遠くに渡久地の住宅が見える。手前は畑だ。返還された土地の三分の二は畑である。地主の収入が激減したのは明らかである。

 もし、嘉手納以南の倉庫などの移転がなければ、トリイ通信施設の軍用地のほとんどは返還されるだろう。読谷村にとって莫大な減収になる。倉庫施設の移転は経済面から考えれば受け入れざるを得ないというのが本当のところだ。

 私は基地経済に賛成しているわけではない。沖縄の厳しい現実を見れば、基地経済に代わる経済を育てながら、経済が悪化しないように少しずつ返還したほうがいいと思っている。
 中国は経済が発展すればするほど戦争ができない国になっていく。沖縄の米軍基地は中国の脅威が低下するに従って確実に縮小していくだろう。だから、基地経済に代わる経済を育てることが沖縄にとって深刻な問題である。経済問題を無視した基地返還論は沖縄を貧困にする理論である。

米軍基地賃貸料金は八〇〇億円である。沖縄の農業産出額も八〇〇億円である。米軍基地賃貸料金と農業産出額が同じであるのだ。軍用地料がどんなに莫大であるかが理解できると思う。しかも、農業も場合は肥料や設備、水道、電気料などの必要経費があるから軍用地料のほうが高い。

 基地経済全体では三〇〇〇億円は下らない。本当の深刻な問題は米軍基地がなくなった時に沖縄経済が悪化することである。

 沖縄二紙が沖縄の深刻な経済問題を隠して、基地返還がバラ色のように報道するのは県民を騙した欺瞞な行為である。
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