翁長知事の取り消しは一蹴される




第1章 日本・沖縄の米軍基地はアジアの民主主義国家の平和に貢献している 第2章 戦後沖縄の非合法共産党・米民政府 第3章 辺野古移設の真実 第4章 辺野古埋め立ての真実 第5章 辺野古の真実を捻じ曲げた者たち 第6章 辺野古の真実を捻じ曲げた沖縄タイムス・琉球新報 第7章 辺野古の真実を捻じ曲げた翁長知事 第8章 辺野古の真実を捻じ曲げた落合恵子 第9章 辺野古の真実を捻じ曲げた宮崎駿 第10章 自民党県連批判 

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翁長知事の敗北は確実である

二種類の自己決定権

 翁長知事は沖縄にあるべき自己決定権が日米政府に奪われたことを問題にしている。翁長知事は二種類の自己決定権をひとつの自己決定権であるようにごまかしている。
「戦争が終わったら、銃剣とブルドーザー。自己決定権も何もない。大きな権力の前で、今の基地が取られた」と述べているが、戦争に負けたのだから自己決定権を失ったのは当然である。翁長知事は「戦争が終わったら」と言っているが、それは正確な表現ではない。「沖縄は戦争に負けた」が正確な表現である。戦争に負けるということは自己決定権を失うことである。
 アフガン戦争で米軍に負けたタリバンは政権を失った。イラクのフセインも米軍に負けて政権を失った。政権を失うということは自己決定権を失うということである。イラクはISISに侵略された。侵略された地域にはイラクの自己決定権はない。自己決定権はISISにある。ISISは罪のない人々をISISの自己決定権で処刑し、女性を奴隷にした。もし、沖縄戦で勝ったのが米軍ではなくISISであったら、ISISの自己決定権が沖縄に適用されて、イラクやシリヤのように罪のない人が処刑され、女性は奴隷にされていただろう。
 日本が満州を植民地支配した時、沖縄から移民した農民には広々とした畑が用意されてあった。原住民の畑を日本軍が接収して沖縄の農民に与えたのだ。南方に多くの沖縄県民が移住した。南方でも満州と同じように日本軍が現地の原住民の自己決定権を奪い、土地を奪い、土地を自由に開拓していった。日本軍の自己決定権の恩恵を受けたのが沖縄からの移民者だった。
 戦争に勝つということは自己決定権を得ることであり、負けるということは自己決定権を失うことである。
 沖縄は戦争に負けた。だから、自己決定権を失った。当然のことである。翁長知事は自己決定権がないことを不満に思っているがそれは戦争に負けることがどういうことであるかを理解していない。戦争への無知から出た不満である。
注目すべき点がある。日本軍は原住民の土地を奪って沖縄の移民に与えたが、米軍は米軍基地建設のために土地を接収したが、土地の私有権は奪っていない。土地は借りたのである。だから、土地使用料を払った。米国は議会制民主主義国家である。沖縄を占領しても沖縄の人々の人権を奪うことはしなかった。マラリアやシラミなどを撲滅し沖縄の人々の健康を守り、民主化や経済発展に努力したのが米政府にシビリアンコントロールされた米軍だったのである。
 
 1952年に日本は独立国となる。そして、1972年に沖縄は日本の施政権下になる。沖縄米軍基地の自己決定権は日本政府と米政府にある。日本政府が米軍基地を撤去したいなら、日米安保条約と日米地位協定を破棄し、米軍基地撤去を決定すればいい。日本政府が米軍基地撤去を決定すれば米国は米軍基地を撤去しなければならない。米国が拒否することはできない。実際にフィリピンとイラクは独立国としての自己決定権によって米軍基地を撤去することを決定して、米軍基地を撤去した。日本政府もイラクやフィリピンと同じように米軍基地を自己決定権によって撤去させることができる。米軍基地が沖縄に存在し続けるのは日本政府が米軍基地存続を望んでいるからである。
 米軍を撤去させたイラクはISISに侵略されたし、フィリピンは中国に侵略された。日本政府が米軍基地を存続させているのはフィリピンのように中国に侵略されるのを防ぐためである。米軍を撤去させたイラクとフィリピンは侵略されるという愚かな選択をした。自分の愚かさを知ったイラクとフィリピンは米軍の価値を認め、再び米軍の駐留を認めた。日本政府が米軍基地の存続を認めたのは正しい選択であるのだ。
 
 米国が日本から米軍を撤去させたいなら米国の自己決定権で撤去させることができる。日米安保や日米地位協定を破棄することもできる。しかし、沖縄県には米軍を撤去させる自己決定権はない。日米安保や日米地位協定を破棄する自己決定権もない。日米政府に要求する権利はあるが決定する権利はない。
 国の自己決定権とは別に地方自治体の自己決定権がある。自治権である。普天間飛行場の辺野古移設は、辺野古に米軍の基地を新しく建設することである。建設に関しては県、名護市、辺野古区の自己決定権が適用される。政府が県、名護市、辺野古区の自己決定権を無視して勝手に建設することはできない。「沖縄の政治を根本的に考える時期にきた1」で説明した通り、県の自治体が建設に反対している間は国は辺野古飛行場を建設することはできない。
 県外移設ができない原因は自治体の自己決定権にある。沖縄だけでなく全国の都道府県そして市町村の自治体には普天間飛行場移設受け入れに対しては自己決定権がある。自己決定権によりすべての都道府県が普天間飛行場移設を拒否しているから県外移設はできないのである。全国の中で唯一辺野古だけは地元の辺野古が飛行場建設を容認し、島袋元市長の時にV字型滑走路を条件に建設に賛成し、仲井間前知事も賛成した。飛行場建設は行政の範疇であるから主張に決定権はある。議会にはない。

 翁長知事は既存の米軍基地削減に県には自己決定権がないことを巧みに利用して「「沖縄の自己選択権、人権、自由、平等を保障しない国が世界に自由や平等、民主主義を共有し、連帯できるのか。小さなものは翻弄してかまわないという国が、どうして世界に民主主義を言えるのか。日米安保体制の品格という意味でさびしいものがある」と沖縄の人権、自由、平等を国が保障していないことを主張し、その延長線上に辺野古飛行場移設を問題にして、辺野古移設に県の自己決定権がないと述べている。

「小さな沖縄が日米両政府の間で自己決定権のために闘うのは大変困難かもしれない。国連で私どもの状況を伝え、世界の人がこのことを一緒に考えてほしいと訴えた。政府は辺野古の工事を再開した。米国と日本の民主主義を皆さんの目で確認してほしい」
「民意で言えば、昨年の名護市長選は辺野古新基地建設反対の稲嶺さんが4千票差で勝ち、名護市議会も過半数は反対の議員だ。知事選は私が10万票差で当選した。衆院選は沖縄全4区とも反対派が当選した。
それを受けて基地問題はある。知事選では宜野湾市でも私が3千票勝った。衆院選でも辺野古反対の候補者が6千票勝っている。
民意は、宜野湾に基地があるのは絶対許されないが、自ら差し出したこともない基地は日本国民全体で引き受けるべきである。県民全体でノーと言っている中で、普天間の固定化は避けるということだ」
 
 翁長知事が主張している自己決定権とは国の防衛問題と関係する米軍基地削減の権利である。その権利を沖縄が持ち、沖縄に集中している米軍を本土に負担させるということである。地方自治体である沖縄県が米軍基地移設の決定権を持つことはできるはずがない。米軍基地削減の決定権がないことが沖縄に民主主義がないと翁長知事は主張しているが、翁長知事の主張は国は地方のいいなりになれという主張である。そんな民主主義はない。国全体に関する政治は中央政府がやり、地方は地方の政治をやる。そして、中央と地方のバランスを取りながら国全体の政治がなされていく。それが議会制民主主義国家日本である。
 翁長知事は米軍基地の削減権がないことを沖縄には自己決定権ない。だから、辺野古新基地建設反対の稲嶺氏が名護市長になり、県知事選では翁長氏が当選し、衆議院選では沖縄全4区で反対派が当選しても辺野古移設を止めることができないのは沖縄には自己決定権がなく民意が反映されないと主張している。
 翁長知事は間違っている。米軍基地の削減権は沖縄にはないが、辺野古移設に関しては沖縄に自己決定権がある。2010年に辺野古、名護市、県は自己決定権によってV字型飛行場にする条件で建設に賛成した。そして、民主党の菅首相が最終的に辺野古移設を決定した。県、名護市、辺野古区は辺野古飛行場建設を国と約束したのである。この約束は行政の継続の決まりによって次の首長は引き継がなければならない。政治的には辺野古移設反対を選挙公約することはできなかった。しかも、翁長知事は県外移設を主張し、革新は閉鎖撤去を主張しているから普天間飛行場の解決を放棄した辺野古移設反対の選挙公約であった。翁長知事のほうが政治家としてやってはいけないことをやったのである。
 翁長知事は民意を理由にして辺野古飛行場建設に反対し、国が建設を続行しているのは県の自己決定県を無視していると主張しているが、土地所有者、辺野古区、島袋前名護市長、仲井間前県知事の4者が賛成して国と約束をした。その約束を翁長知事が破ることは法的に許されないことである。。県に自己決定権がないのではなく、翁長知事が自己決定権の乱用をしているのである。


 残念なことにそのことを自民党県連は認識していない。だから、翁長知事を徹底して追い詰めることができない。
自民党県連の照屋守之議員は、自己決定権には権限と責任が伴うべきだ、との認識から「辺野古反対だけを言っても問題は解決しない。菅義偉官房長官との集中協議で、なぜ(辺野古移設を決めた)日米合意の破棄を要求しなかったのか」と詰め寄ったというが、それはおかしい。日米合意の破棄を求めることと、辺野古移設中止を要求することとは政治の次元が違う。辺野古移設問題は辺野古、名護市長、県知事が同意し政府が最終的に決定したのだから、日米合意は関係がない。翁長知事が前者が辺野古移設に合意したことを一方的に破棄しようとしていることが問題である。
翁長知事は、「行政としては法律的に取り消しできるようにやる」と宣言しているが、5年前に辺野古移設は政治的に決着した。そして、防衛局は政治決着をしたので埋め立て申請をした。県からは沖縄防衛局に4度にわたり計260問の質問があり、これに対しても防衛局は適正に回答を行ったのである。そして、2014年12月には埋め立てが承認された。

辺野古移設反対を選挙公約にして県知事に当選したことを根拠に辺野古移設を阻止するなら、それは政治の問題であるから2010年に辺野古移設が決まったことに対して異議を申し立てなければならないだろう。しかし、翁長知事は政治的な異議をするのではなく、埋め立て申請の取り消しをすることにした。
埋め立て申請の取り消しは政治問題ではない。公有水面埋立法という法律に関する問題である。飛行場を建設するためには辺野古崎沿岸を埋め立てなければならない。埋め立てには公有水面埋立法を守らなければならない。防衛局は埋め立て計画書を作成して県に提出し、県は埋め立て計画に公有水面埋立法に違反していないかを審査する。違反している箇所があればそれを指摘して防衛局に申請書を戻す。防衛局は県に指摘された箇所を訂正して再び県に提出する。県は違反している箇所や疑問がある場合はなんども防衛局に戻す。違反や疑問がなくなった時に申請を知事が承認するのである。
公有水面埋立法と基地建設は関係がない。埋め立てる目的が基地建設であろうと住宅地建設であろうと、工場建設であろうと審査方法は同じである。法律の問題であるから法律に従ってすべては処理していく。翁長知事は知事が組織した私設の第三者委員会の瑕疵があるという報告を根拠に取り消しを行おうとしているが、公有水面埋立法には申請を一度承認した知事が承認を取り消す権利を認めているかが問題になる。
翁長雄志知事は名護市辺野古の新基地建設の根拠となる辺野古沿岸の埋め立て承認を取り消しとする文書を、沖縄防衛局へ13日付に送付する方針を決めた。沖縄タイムスは防衛局が受理した時点で効力が発生し、辺野古沿岸での海上作業ができなくなると述べている。それは本当だろうか。裁判には一事不再理というのがある。ある刑事事件の裁判について、確定した判決がある場合には、その事件について再度、実体審理をすることは許さないとする刑事訴訟法上の原則である。
公有水面埋め立てで申請を審査した結果承認したのに、埋め立て工事の途中で知事の主張する瑕疵を理由に承認を取り消すことができるならば埋め立ては知事の勝手で止めることができることになる。それでは知事の独裁を許すことになる。知事が自分が見つけた瑕疵を理由に申請を取り消すことは一事不再理のようにできないと思う。
沖縄タイムスは、「防衛局が受理した時点で効力が発生し、辺野古沿岸での海上作業ができなくなる」と決めつけていて、防衛局は「行政不服審査法に基づき、取り消しの無効を求める審査請求と、その裁決が出るまで暫定的に取り消しの効力を止める執行停止の申し立てを公有水面埋立法を所管する国土交通大臣に提出するなど、対抗措置を講じるとみられる」と予想しているが、それは取り消しが法的に有効である場合である。

翁長知事が埋め立て申請に瑕疵があるのを根拠にしているのは翁長知事が勝手に集めた第三者委員会が瑕疵があると報告したからである。第三者委員会は翁長知事の私的な諮問委員会である。私的な諮問委員会の報告を根拠に申請取り消しをすることができるはずかない。
防衛局は県の指定した聴聞期日には出席しないで前の日の29日に回答に当たる「陳述書」を県に提出した。「陳述書」には政府の埋め立て新承認までの手続きには瑕疵はなかったと主張した後に「取り消しは違法行為」であると警告している。この警告に対して「取り消しは合法行為である」と翁長知事は反論していないし、沖縄二紙も反論していない。反論しない限り「取り消しは違法行為である」ことを認めたことになる。
 日本は法治主義であると常に主張している政府が「取り消しは違法行為」と通告したのは重い。政府が嘘をつくことはあり得ない。本気で取り消しは違法行為であると考えているだろう。

翁長知事が辺野古埋め立て承認を取り消すことは違法行為の可能性が高い。しかし、ほとんどのマスコミが翁長知事の取り消しは法的に有効であると思い込んでいる。だから、翁長知事からの承認取り消しの通知を受け取ったら、防衛省は当日中にも、取り消し無効を求める行政不服審査請求と、審査結果が出るまで暫定的に取り消しの効力を止める執行停止の申し立てを行うと報じている。いずれも行政不服審査法に基づく手続きで、埋め立て関連の法令を所管する国土交通相が審査する。不服審査の判断には数か月かかるが、執行停止は「2~3週間」(政府関係者)で結論が出る見通しであると報じているが、取り消しは違法行為であると通告した防衛局が知事の取り消しを受け付けるはずがない。

沖縄タイムスは防衛局は、「承認取り消しの通知を県職員が同日、防衛局へ直接提出する予定で、受理後に取り消しの効力が発生し、防衛局は埋め立ての根拠を失い、作業ができなくなる」と報じているが、防衛局は取り消しは「違法行為」と主張している。違法行為であるならば埋め立ての根拠は失わない。作業を中止することはないだろう。国土交通省に不服を申し立てる必要もない。知事に取り消しは違法行為である。違法行為を受け入れることはできないと通知すれば済むことである。
取り消しを撥ね付けられた翁長知事に残された道は裁判に訴えることである。知事は瑕疵があることを主張するだろうが、その前に知事に取り消す権利があるかどうかが問題になる。瑕疵があるかどうかの問題でも知事の敗北は確実であるし、いずれにしても翁長知事の勝ち目はゼロである。

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