TPP・さとうきび壊滅の嘘




 同じ日の同じ新聞に北大東島の農業について、さとうきび栽培と月桃加工事業の記事が掲載されていた。さとうきび農業の記事では、日本がTPP参加すれば北大東島の農業は壊滅的な打撃を受けて尖閣諸島のように無人島になると述べている。
一方、「大東月桃加工事業」では月桃を原料にした新しい事業が島の発展をさせると書いている。
  北大東島で農業の衰退の記事と発展の記事が同じ日に同じ新聞に掲載されているのは奇妙である。

TPP・さとうきび壊滅の嘘


 TPP参加反対のJAはTPPに参加すればさとうきびは壊滅すると具体的な数字を示しながら主張している。学者や知識人はJAが述べているさとうきびの被害額に対して誰一人として反論を
しない。変である。いざとなったときの学者や知識人の理論の脆弱さを見てしまう。

 新聞の記事を寄せ集めた情報を組み合わせればJAのさとうきび壊滅論が嘘であることがわかる。専門書を読む必要はないし、専門的な知識も必要ない。

 県内のさとうきび農家の約8割が工作面積が1ヘクタール未満である。さとうきびは3300平方メートルで必要経費を引いた年収が約40万円 (国の交付金を含む)であるという。耕地面積が1ヘクタール(10000平方メートル)の畑なら年収が120万円となる。1ヘクタールの畑ではとても生活はできない。
沖縄のさとうきびの農家の80パーセントは1ヘクタール未満である。ということは80パーセントのさとうきび農家が年収120万円以下である。さとうきび農家80パーセントの農家はさとうきび栽培だけでは生活はできない。さとうきび農家のほとんどが他の仕事をしなければならい。というより、さとうきび栽培は小遣い稼ぎであり本業は他の仕事であるということだ。会社勤めをしながらついでにさとうきび栽培をしているのがほとんどのさとうきび農家である。さとうきびは手間がかからない。一週間に一度くらい畑に行けばさとうきびは栽培できる。だから、仕事をしている人は片手間でさとうきび栽培をしている。
 80パーセントのさとうきび農家がさとうきび以外の仕事を本業としているから、TPPに参加して、さとうきびが壊滅的な打撃を受けても生活には困らないというのが現実である。

 もっと注目すべき問題がある。TPPに傘下してもさとうきび農家はほとんど打撃を受けないということだ。

「第2の尖閣になる」に書いてあるようにさとうきびは1トン約2万円で農家から買い取るが、2万円の内の1万6000円が交付金である。国が1万6000円払い、製糖工場はたった4000で買い取るのだ。実に5分の4が交付金なのだ。もしTPPに参加して外国から安価な砂糖が入ったとしても、国が交付金をわずか4000円増やせばさとうきびの原価は0円になる。JAはこの事実を言わないでさとうきび壊滅論を展開している。農家は2万円で買ってくれればTPPの影響はない。

 多和田さんは、「交付金がなければ、経費をどれだけ節減してもどうにもならん」とお手上げをしているが、アメリカや先進国は農家に援助をしているし、TPPに参加しても交付金は維持されるのは確実だ。多和田さんの心配は思い過ごしである。

 TPPに参加しても2万円の買い取り価格は同じなのだから、さとうきび栽培が壊滅的な影響を受けるということはない。国の交付金を1万6000円以上にすれば輸入砂糖と競争することは十分できる。
しかし、80パーセントの農家が1ヘクタール以下の耕作面積しかないから、交付金1万6000円を維持しても、さとうきび生産はTPPとは関係なく衰退していく。
 
 さとうきび生産で収益を大きくするには耕地面積を大きくして大農場経営にするか、下に掲載している「大東月桃加工事業」のように、黒砂糖を利用した加工事業を起こすことである。夏の暑さ対策として黒砂糖は有効であるということが広まったし、健康食としての黒砂糖が評価されるようになった。黒砂糖と落花生をまぶした菓子は昔から沖縄の名産である。黒砂糖を原料にした菓子つくりは将来性がある。「大東月桃加工事業」が島外の専門家を島に招いたように、黒砂糖を利用した加工の企業を起こし、専門家に協力を求めるのだ。
 
 JAのTPP参加はさとうきびの農業の壊滅は嘘である。しかし、JA体制のさとうきび産業は衰退する運命である。さとうきびの将来は黒糖のオリジナル商品をつくることである。これからは、国内だけでなく外国への輸出もめざすべきである。







コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 黒と白わずか... 公立と私立“場... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。