公立と私立“場外戦” 橋下教育改革

大阪ニュース

公立と私立“場外戦” 橋下教育改革


2011年11月25日
 私立高授業料の無償化枠拡大や、高校で公私「7対3」としていた生徒の受け入れ比率撤廃など、橋下徹前知事が先導した大阪府の教育改革をきっかけに、公私間の駆け引きが激しくなっている。募集定員を抑えるなど定員割れを防ぐ方策の応酬が表面化。「公私間の切磋琢磨(せっさたくま)による教育力向上」という本来の狙いから外れた“場外戦”が活発だ。

公私の主張


 府は本年度から「学校に切磋琢磨してもらい、生徒のニーズに応えてもらう」(橋下徹前知事)ため、独自の私立高授業料無償化枠の拡大や「7対3」枠撤廃を実施。その結果、私立希望者が急増し、公立は府立高132校(全日制)のうち42校が定員割れとなった。
 府教委は、募集定員を大幅に超える合格者を出した一部の私立高を批判。定員より400人以上多く合格させた学校もあり、「調査の結果、大きな問題はなかった」(府私学・大学課)ものの、入学者の急増による教育の質の確保に懸念を示す。
 私立側は、私立と公立の併願者が「どの程度私学に入ってくるか読めず、各校の経営の観点から定員を超える場合はある」事情などを強調。実際、計95校(全日制)の今春の入学者は、46校が定員を超えたが、48校が定員割れだ。
 また府教委は、私立の入試日程が公立よりも早いため「早く進路先を決めたい生徒が私学に流れた」と分析。日程調整について公私間の協議を求めるが、私立側の反発は強い。

異例の事態


 こうした背景の下、来春の募集定員をめぐって異例の事態が起きた。最終調整に向けた協議で、府教委は今春の実績を踏まえて数を減らし、私立側は前年並みで付き合わせた結果、府内進学予定者数を下回った。
 募集定員を発表する11月に入ってから、府教委が私立側に募集枠拡大を要請。私立側は「もっと早い段階で協議が必要」とくぎを刺し、「生徒が来れば受け入れられる収容可能人数」として後日各校の枠を提示することになった。
 どちらにとっても懸念材料となっているのが「定員割れ」だ。公立側にとっては、橋下前知事率いる大阪維新の会が府議会に提出している教育基本条例案で、3年連続定員割れの府立高は統廃合の検討対象になる点も影響。私立側が募集定員の大幅増に踏み切っていないのも「定員割れは避けたいという思いがある」(私学関係者)からだ。

ニーズをつかむ


 本来の狙いである「公私間の切磋琢磨」はどうなっているのか。
 中西正人教育長は17日の定例会見で「学校の特色づくりに向けて努力し、それを中学校に伝えることに力が入ってきた」と強調する。しかし、どれだけ来春の結果に反映されるかは不透明だ。
 ただ、教育内容や周知方法の改善によって入学者を増やすことは可能で、私立でもこれまで入学者減少の時代、公務員試験や人生設計を重視したコースを開設するなど、教育内容で生徒のニーズをつかみ、現在根強い人気を誇る学校もある。
 制度変更時の子どもたちが憂き目に遭わないためにも、各校が教育力向上に集中できる枠組みやルールづくりなどについて、公私間の早期の歩み寄りが求められている。
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