沖縄農業の根本問題は収入だ


 県は年間300人の就農を目標に06年から就農支援事業を実施しているが、低迷している。県は低迷の原因として、

1、収穫するまで収入がない。
2、営農に必要な規模の農地が確保しづらい。
3、研修制度の受け入れ態勢不足。

を挙げている。2の「営農に必要な規模の農地が確保しづらい」ことは決定的だ。農地が確保できないのに就農希望者を募ることはむしろ就農希望者を裏切ることになる。確実にしかも余裕のある「営農に必要な規模の農地が確保」しなければ就農支援事業にはならない。

 県は就農者の人数にこだわっている。毎年300人の専業農家育成を目指しているが、それは根本的に間違っている。専業農家育成を企画している人に聞きたい。「あなたはなぜ公務員になったのか」と、「なぜ沖縄県では公務員志望者が多いのか」と、県民の幸せのために頑張りたいからなどという表向きの理由は置いといて、公務員になる理由は安定した中流生活を送れる給料が保証されているからだ。公務員の給料が低ければ公務員なろうとは思わない。そうだよな。
 改めて専業農家育成を企画している人に聞きたい。「あなたは就農希望者に公務員並みの安定した中流生活ができる収入を保証できる企画を立てていますか」と。もし、毎年集まった300人の専業農業希望者に公務員なみの収入を保証するなら、専業農業者は増えるだろう。しかし、300人の人数にこだわった企画は逆に収入面の保証はしていないだろうと推測する。

 沖縄の農業問題は農業就業の人数ではない。一戸当たりの収入がどれだけであるかだ。農家が満足できる収入はいくらなのかを調べて、その収入を確保できる農業ができるようにならなければ農業人口は増えない。
 例えば500万の収入を設定すると、500万円の収入が確保できる農地と野菜の種類を決める。そして、500万円の収入が確保できる農地を探す。500万円の収入が保証できる農地が何人分確保できるか。それが問題だ。100人分確保できれば100人の就農希望者を募ればいい。沖縄農業の深刻な問題は農業就業者が年々減っていくことではない。農業で満足な収入を確保することができるかできないかだ。沖縄の農業問題を根本的に解決するには中流生活ができる専業農家を増やすことだ。

 県は毎年10億円の基金で就農支援システムを構築しようとしている。耕作放棄地だけでなく、兼業農家の農地を確保して、徹底して専業農家の農地を広くする努力をするべきだ。沖縄は土地が狭い。耕作放棄地が出てくるのを待っているくらいでは専業農家は増やせない。

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