新報は現実を直視せよ


政府が普天間ヘリコプター基地移設の2014年までの移設断念を発表した。すると当然のように移設断念に対する批判が新報社説から出た。冷静に観察すれば辺野古移設を断念することは、普天間基地移設の問題がゼロに戻ることであり、次の方針が決まるまで普天間基地は固定するしかない。ところが新報社説は「固定化圧力は姑息な手段」と言いたい放題である。

 沖縄の保守党は本土に復帰して米軍がいなくなれば沖縄は貧乏になり「いも・はだし」の生活になってしまうと主張した。一方革新系は、日本は祖国であり、祖国の元へ帰るのが第一であり、たとえ「いも・はだし」の生活をするようになっても日本人として祖国復帰をするのだと主張した。

 保守党が親米派であるのは米が沖縄に多くの冨を与え、戦後の沖縄は戦前では考えられないほどの飛躍的な経済発展をしたからであった。本土復帰前の主席公選は、保守の生活豊かさを選ぶか、革新の日本人としてのプライドを選ぶかの選挙だった。そして、革新主席候補が勝った。

 屋良革新候補は、「いも・はだし」の生活をしても日本人としてのプライドが大事であると主張したが、彼は元校長先生であり沖教祖の委員長だった。復帰前の教育はアメリカの法律と同じで、教育関係の費用は教育税から支払っていたので、復帰前の先生や公務員の給料は本土の先生に比べてとても安かった。祖国復帰をして日本の施政権になれば先生や公務員の給料があがるのは100%確実であり、彼らはそのことを知っていたから復帰運動に情熱を燃やすことができた。

「いも・はだし」の生活をするのは県民であって、屋良革新候補の出身母体である沖教祖や公務員は中流生活が保証されていたのだ。屋良革新候補は県民を騙していたのだ。復帰後は教師や公務員の給料が国家公務員なみに上昇したのはいうまでもない。しかし、社説ではこんなことは決して書かない。

 新報社説は、「いずれ到来したはずの移設断念は冷静に受け止めた方がいいが、危険性を放置して継続使用になだれ込むことは許されない」と述べている。しかし、辺野古移設を反対することは普天間基地の危険性を無視することであり、「危険性を放置して継続使用になだれ込むことは許されない」というのはかってな言いかただ。

 新報社説は普天間基地のみならず全ての米軍の沖縄基地の撤去を主張している。辺野古移設反対も沖縄からヘリコプター基地を撤去させることを目的としているので単純辺野古移設反対ではない。だから、「移設期間を延ばすなら危険性除去のためにまず閉鎖すべきである」と主張するのである。
 新報社説は沖縄に米軍基地は必要ないという考えであり、アジアに米軍はないほうがいいと考えている。だから、日本、韓国、フィリピン、台湾などの民主主義国家にとってアジアに米軍は必要であると考える日米政府を真っ向から対立する関係にある。

 日米政府が普天間基地のようなヘリコプター基地が沖縄には必要であると考えているのに、「閉鎖すべきである」と主張しても、問題は先に進まない。

「辺野古移設」を断念するということは、普天間基地移設をゼロ状態に戻すということになり、普天基地は最低でも10年は固定することになる。移設の延長は基地被害を受けている住民には深刻な問題である。特に普天間第二小学校の子供たちには基地被害を今後10以上も押し付けることになる。
宜野湾市は辺野古移設を政府が断念したら、急いで普天間第二小学校の移転をやるべきである。

 県も新報も普天間移設の費用を出さないし移設先を探すこともしない。ただ、言いたいことを言うだけである。こんな気楽な立場だから無責任な発言ができるのだ。

 新報社説は「県外移設」を沖縄県の民意というが、県の民意は国民の民意より優先されるものではない。普天間基地の受け入れをする県は本土にひとつもない。沖縄県の民意が県外移設であっても、国民の民意は県外移設にノーを突きつけている。新報社説はこの現実を真正面からとらえるべきである。

現実を直視しないから言いたい放題ができるにすぎない。
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