大田氏のあきれた理屈

元防衛事務次官の守屋昌氏が、軍用地主には年間900億円の借料支払われ、年間借料が350万円以上の軍用地主は6800人居て、米軍基地の従業員はおよそ9000人で457億円支払われている。基地があることで沖縄県に入る金額の合計は年間5829億円に上ると発言したことを引用した上で、大田氏は、
「この発言からも明らかなとおり、沖縄があらゆる意味でも自立できないでいるのも、ひとえに日米両軍によって首ねっこを押さえつけられているからにほかならない」と述べている。
かぜ、基地関係で年間5829億円もの莫大な金額が沖縄に入ってくるということが沖縄の首根っこを押さえることになるのだろうか。そして、なぜ5829億円のお金が沖縄に投入されることが沖縄の自立できない原因であるのか。太田氏は明らかであるというが全然明らかではない。

沖縄の経済が自立できるかできないかは沖縄の企業や農業、漁業などの生産力の問題であって、基地があったから沖縄の経済が自立できないというのはおかしい。戦前の沖縄の産業は製糖、味噌、酒、陶器くらいであって、紡績や機械製造業など近代産業はなかった。だから、戦後になって復興したのは製糖、味噌、酒、陶器類の産業であった。次第に鉄鋼、セメント、お菓子、建設業、機械工など戦後は様々な産業が登場したが、ほとんどは零細企業であり、沖縄の経済を飛躍的に発展させる企業はなかった。しかも、日本に復帰をしてからは本土の製品がどんどん沖縄に入ってきたために沖縄の零細企業は倒産していった。
沖縄には石油などの地下資源はない。それに赤土はやせていて農業には適していない。沖縄の生産業が発展するには日本のように加工貿易しかなかったが、沖縄には日本のような加工技術はなかった。沖縄の経済が発展しなかったのは基地とは関係ない。沖縄そのものに経済を発展させる原動力がなかったのが一番の原因だ。現在は国の指導で経済特区をつくり製造業を増やそうとしているが、牛歩の歩みだ。

戦後の沖縄はアメリカ軍基地のお陰で経済が発展したことは否定できない。その証拠に沖縄で発展したのは製造業ではなくてサービス業だった。沖縄の三次産業の発展はめざましいものがある。それは基地経済の影響だ。沖縄にアメリカ軍基地がなかったら沖縄のめざましい経済発展はなかった。

太田氏はアメリカ軍基地のない沖縄の自立した経済の方が沖縄の経済が発展するようなニュアンスであるが、それはあり得ない。経済学者は戦前の沖縄の経済力では県民は50万人から60万人くらいしか生きることができないと推計をしている。復帰する頃の沖縄の人口は120万人で戦前の限界人数の二倍である。それは沖縄の経済が目覚しく発展してきたかを示している。

沖縄の経済が自立するには観光業だけではなく、製造業をどんどん増やしていかなければならない。韓国、中国、台湾、ベトナムとの位置関係が扇の要である沖縄は、アジアから部品を集めて組み立てた製品を輸出する産業が発展できる可能性は高い。それにブラジルなどの中南米とアジア諸国との貿易の中継基地としても有望だ。

アメリカ軍基地がなくなれば沖縄の経済は発展するというまやかしの理屈はやめて、アメリカ軍基地とリンクさせないで沖縄の産業の発展にもっともっと真剣に取り組むべきだ。

戦前戦後の沖縄を見てきた大田氏は一体なにを見てきたのだろう。
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