無知の抵抗は敗北するだけだ





 琉球新報に文科省、大9条の会・沖縄うまんちゅの会、行政訴訟の記事が一緒に掲載された。

 今まで多くの団体が文科省に圧力をかけたが、文科省の方針は一貫している。八重山教科書問題は純粋に法律の問題であり、政治や思想の問題ではない。紋章は地区教育行政法と無償措置法を検討し、法律の専門家の意見を参考にしながら県教育庁に対応してきた。
 今回は「市町村は設置する小学校および中学校における一義的責任を負う」と市町村の責任論まで追及し照屋衆院議員に答弁した。答弁書は閣議決定したという。

 今回の答弁は県教育庁や竹富町にとって厳しいものである。教科書を無償配布されない責任は竹富町が東京書籍を採択したことにあり、その責任は竹富町が取るものであると、文科省は竹富町に三行半を突きつけたのだ。
 この厳しい答弁を県教育庁や竹富町が跳ね返すのは困難だろう。県教育庁は「一義的責任」は市町村ではなくて文科省にあると反論できないだろう。

 文科省は、八重山地区協議会のやり直しを断り、11月末日までに公民の冊数を報告するように件教育庁に要求した。そして、教科書無償配布の一義的責任は市町村にあると明言した。
 県や竹富町は文科省と交渉する時間はない。残されたのは竹富町が東京書籍か育鵬社の教科書のどちらを選ぶか選択である。東京書籍なら有償、育鵬社なら無償ということも決まっている。
竹富町と県教育庁は断崖絶壁に立っている気持ちだろう。

 竹富町と県教育庁が絶体絶命の窮地に追い詰められているのとは関係なく、9条の会、沖縄うまんちゅの会は、中川文科相の「竹富町は無償対象外」の答弁に対して、憲法26条を踏みにじるものであると抗議文を送った。今ごろになって抗議文を送るのは遅すぎる。それに憲法26条を踏みにじったのは竹富町と県教育庁である。

 小学生2人と保護者らが、石垣市教育委員会を相手に行政訴訟を今日那覇地裁に提起するという。育鵬社教科書問題はもう教科書問題ではなく、教科書を土俵にした革新系と右系の政治思想闘争である。そんな大人の争いに子供を巻き込むのはいただけない。

 八重山地区協議会が育鵬社の教科書を採択した過程を問題にすることはできても、石垣市教育委員会が育鵬社の教科書を採択した過程を問題にすることはできない。それは竹富町が八尾山地区協議会が採択した育鵬社の教科書ではない東京書籍の教科書を採択しても違法ではないことを文科省も認めている。
 石垣市の教育委員会は育鵬社や東京書籍だけでなくどの教科書を採択しても違法ではない。ただ、育鵬社の教科書以外の教科書を採択としたら有償になる。

 市町村の教育委員会が教科書を採択するのは地方教育行政法に従って採択しているのであり、無償措置法とは関係がない。無償措置法は八重山地区の学校に無償配布する教科書を採択する協議会である。
 石垣市、竹富町、与那国町のそれぞれの市町の教科書をそれぞれの教育委員会が採択するように定めているのは無償措置法ではなく地方教育行政法である。

 訴訟で、石垣市教育委員会が育鵬社の教科書を採択したことについて教科書無償措置法の視点から問題を問うと述べているが、がっかりさせられる。教科書無償措置法は石垣教育委員会の採択とは関係がないから問うことはできない。問うことができるのは地方教育行政法のほうからである。

 代理の弁護士は法律の専門家でありながら、地方教育行政法と無償措置法の違いを理解していない。八重山地区協議会の採択と石垣市教育委員会の採択の法的違いも理解していない。こんな程度の低い訴訟では勝ち目は100%ない。


 文科省は石垣市と与那国町には無償配布する理由も説明している。
ここまで詳しく説明しなければならないほど、竹富町や県教育庁は地方教育行政法と無償措置法を理解していないということだ。

 無知の抵抗は敗北するだけだ。
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