あきれる県の基地経済論

 県議会事務局は2010年9月10日に、県内の米軍基地がすべて返還された場合、跡地を商業や農業に活用することで得られる経済効果は年間9155億5千万円に上るという試算を発表した。
 経済効果は米軍基地から現在生じている経済効果の2.2倍になるという。そして、米軍基地があるために得られない過失利益は年間4948億8900万円と推計している。

 もし、県議会事務局の試算通りであるとするなら、アメリカ軍基地は基地被害を及ぼすだけでなく経済効果もマイナスであるということにある。

 しかし、この試算を根拠にしているのは、「すべてのアメリカ軍基地で那覇新都心なみに跡地利用が進んだ場合」である。記事を読んだ時、私は噴き出してしまった。

 那覇は沖縄の中心都市である。県庁があり、那覇空港、那覇港と経済発展する要素を独り占めしているのが那覇である。その那覇のベストな土地が新都心でなのだ。
 新都心にはマンションがどんどん建ち、スーパー、病院、保育園、喫茶店等々のサービス業もどんちどん展開している。

 沖縄で一番経済が発展しやすい場所が那覇新都心なのだ。こともあろうに、県議会事務局は沖縄のアメリカ軍基地跡地はすべて那覇新都心と同じように発展することを前提にして経済効果を試算したのだ。そのように試算すると経済効果は年間9155億5千万円に上るという。

 あきれた試算方法である。
 県議会事務局は恩納村や名護市ややんばるも基地が開放されれば、那覇新都心のようにどんどんマンションが建ち、スーパーや病院等のサービス業の建物も建ち、那覇新都心と同じように経済発展すると確信しているのだ。信じられない確信である。

 那覇新都心は住居とサービス業がほとんどである。恩納村や名護市ややんばるのような過疎地帯にマンションを建てて、誰が入居するというのだ。スーパー、病院、喫茶店などにどんなお客が来るのか。せいぜい、カラスやいのししがお客になるくらいだろう。

 那覇新都心の経済効果をすべての基地跡地にあてはめるのは根本的に間違っている。経済効果の試算をするなら、それぞれのアメリカ軍基地のある地域の経済状況を分析して、基地が開放された場合の経済効果を試算するべきである。

 そうすると嘉手納基地以北は過疎地域が多く、開放したら経済効果はマイナスとなることが明らかになるだろう。

 那覇新都心の経済効果についてはもうひとつ、見逃すことができない重要な経済問題がある。

 那覇新都心はマンション等の住居とサービス業が集中している。つまり、工業などの生産をする時に生じる経済効果ではない。マンションやサービス業は需要があって始めて成り立つ。だから、那覇新都心にマンションやサービス業が発展したとしても、県全体の経済が発展するわけではない。

 しかし、基地関係の経済は日本政府やアメリカ政府から莫大な金が沖縄県に入ってくる。それは貿易で輸出で得る金に匹敵するものだ。

 那覇新都心の経済は県内で金が移動するだけだが、基地経済は県に新たな金が投入されて、その金が県外からの商品を購入する効果をもたらしてくれる。那覇新都心の経済効果と基地経済の効果は違うのだ。経済的に沖縄を豊かにするのは基地経済なのだ。

 
 以上、県議会事務局の行った米軍基地返還の経済効果の試算はでたらめである。よくもこんなでたらめな試算を堂々と公表するものだ。あきれてしまう。

 残念なのは、沖縄の知識人は誰ひとりとして、、県議会事務局の行った米軍基地返還の経済効果の試算を批判しないことだ。
 
 沖縄にはまともな経済学者は一人もいないようだ。

 基地経済から脱するには、那覇新都心のような経済が発展することではなく、観光業や、うるま市の工業団地や名護市のIT特区、コールセンター等の企業や、新しい生産関連の企業の経済が発展することである。



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