TTP・異様なテンションの京大大学院准享受




 朝の報道番組「とくだね!」を見た。日刊ゲンダイに書いてあるように、京大大学院准教授の中野剛志氏は、「お前らこのくらいも知らないか」というえらぶった態度だった。すごい迫力というより、なぜこの程度の話でぶちきれるのかという感じだった。
 「アメリカは輸出倍増戦略を国是として掲げている。だから今、円高なんです。TPPで日本は輸出できません!アメリカが日本の市場を取るという話なんですよ」と中野剛志准教授はまくし立てた。
 
 でも、TPPは交渉が始まったばかりで、2012年6月までに大枠が合意するのであり、TPPがいつから始まるかまだ決まっていない。早くても2、3年後だろう。もっと遅いかもしれない。それなのに、中野剛志准教授は、「だから、今円高なんです」と明日からでもTPPが始まるような口ぶりだった。 中野剛志准教授はTPPが始まるころまでアメリカの陰謀で一ドル75円の円高がつづくと思っているのだろうか。思っているとしたらよっぽどの為替音痴である。

 為替相場というのはアメリカが完全に操作できるものではない。円高になっているのは、EUはギリシャの経済危機、アメリカは不景気、膨大な国債発行による国債の格下げ、長引くアフガン戦争など色々な要因が重なった結果であって、アメリカが輸出倍増戦略のためにアメリカが操作して円高にしたからではない。

 TPPは一気に実現するのではない。2、3年後にはじめたとしても、徐々にTPPを拡大していき、完全実施には10年以上もかかるという。中野准教授のアメリカ戦略論はでたらめである。

 中野准教授の剣幕でスタジオは凍りついた。凍りついた理由は、中野准教授が他の人の意見を無視し自分勝手な自論をまくしたてたからだ。それに椅子からずり落ちたりして態度も横柄だった。白けた意味でスタジオは凍りついたのだ。

 中野准教授は「自動車の関税はすでに2.5%、テレビは5%しかない」と言い、TPPやってもなんの効果もないと言った。この理屈はTTP反対派がミミにたこができるほど何度も話している。2.5%、テレビは5%をたいした利益ではないと考える中野准教授は経営を知らない。利益が2.5%、5%上がるということは莫大な儲けになる。関税率2.5%、5%をバカにするものじゃない。2.5%、5%の利益を生み出すのに企業は苦労しているのだ。

  中野准教授は「加えて円高で企業の6~8割の工場がアメリカにある」から関税を撤廃しても意味はないと言い切ったが、関税を撤廃すればアメリカに工場をつくる必要はない。中野准教授は円高のせいで工場はアメリカにあるといったが、いまでも全車両をアメリカで生産しているわけではない。まだまだ日本で製造してアメリカに輸出している。
 トヨタがリコール問題で失敗したのは部品をアメリカの工場に作らせた性もあった。日本の技術は世界一であり、完成度の高い製品をつくるには日本でつくった方がいいのだ。関税が撤廃すればアメリカから日本に移る工場も出てくるだろう。

 1ドル80円なら日本の輸出産業はやっていけると宣言している。いつまでも円高がつづくわけはないだろう。80円までたった5円である。EUのほうはギリシャの国債の問題が解決の方向に向かっていて、ユーロは高くなってきた。一ドル80円になったら、アメリカに工場を建てる必要はなくなる。日本に工場をつくる企業は増えるだろう。

 「アメリカの雇用が7万人増えたということは、韓国の雇用が7万人奪われたということです」と中野准教授は絶叫した。笑える話である。経済はそんな単純な法則で動くわけではない。アメリカの雇用が7万人増えたということは7万人分の需要が増えたということでもある。アメリカの需要が増えれば韓国の輸出が増える。輸出が増えれば新たな雇用が増える。 中野准教授はマイナスだけを主張してプラス面は言わない。そんな経済論は卑屈な経済論である。

 小泉首相時代に、中国が生産力を増し輸出をするようになれば、その分だけ日本の輸出は落ちると中国恐怖論を多くの政治家や学者は発言していた。しかし、小泉首相は中国の経済が発展すれば中国の需要は高まり、中国への輸出が増えるといって中国恐怖論を一蹴した。小泉首相の見識が正しかったことは現在の中国を見ればわかる。

  TPPで一番危惧されているのが農業である。しかし、一言で農業といっても、ほうれん草やギャベツなどの葉野菜やキューリや茄子などの野菜などもある。果たしてほうれん草やキューリなどもTPPになったら日本産は売れなくなるだろうか。年に数回収穫でき、鮮度が重視される野菜類はTPPの影響をほとんど受けないという学者もいる。むしろ日本野菜は安全でおいしいと有名だからTTPをきっかけにして輸出を増やせば日本の農業は発展するという見方もある。中国、シンガポールのように富裕層の多い国に日本の野菜が輸出されるようになっている。
 TPPに参加したら日本の農業は壊滅的な打撃を受けるというのは怪しい話である。

 日本の野菜は100円から数百円程度である。日本産でも安い。外国産がいくら安いといっても20円とか30円になるだろうか。それに外国産が20円とか30円だからといって食の安全に神経質な日本人がどんどん安い外国産買うだろうか。おそらく買わないだろう。むしろ安いのは農薬を大量に使っていると疑い買わないだろう。新鮮さが勝負である野菜類は外国産と五分以上に闘える。

 TPPに参加したら農産物が大被害を受けるというが、米以外の農産物で被害を受けるのは意外とすくない。TTP参加で壊滅的な打撃を受けるといわれているのが米である。日本の米は外国産に比べて非常に高い。ただ、米が高くなったのは自然のなりゆきではなく、政府が米を高くするために減反政策をしたからである。
米だけは生産を抑えるために生産効率も4割くらい故意に落としているらしい。少ない収穫にするために米の質も落ちているらしい。米を自由に生産し、収穫量を高めたら米粒を大きくしてもっとおいしい米がつくれるし、生産率も4割アップすると専門家は断言している。

 米を地産地消の発想ではなく、輸出拡大を目指した発想に転換して、外国に売れる米をどんどん作ることが日本の米産業を成功させる方法だ。
 そのような農業は現在の小規模農業、兼業農業から大規模農業、農業の企業化に転換しなければならない。日本の農業を企業化するととても困る団体がある。それはJAだ。

JAは小規模農家を相手に商売をして儲けている団体である。農業器具、肥料、金融を農家に売りつけて設け、生産物を中間搾取して儲けている。農業が大規模になり企業化すれば独自で農機具も肥料も販売もやるようになるからJAは必要がなくなる。

 TPPに参加した時に窮地に追いやられるのは農業ではなく、JAが窮地に追いやられる。だからJAは必死になってTTPに反対しているのだ。




 TPPに参加しているペルーのボサダ貿易副大臣は、関税撤廃で多数の例外品目が認められる可能性が高まっていると示唆し、日本が交渉に加われば米などを例外品目として要求できると述べている。
 多くの例外品目が認められる可能性をボサダ貿易副大臣が示唆した背景には、ペルーを含む複数の交渉参加国がFTAの規定以上に関税率などで妥協しない姿勢を示しているからである。

 中野准教授はTTP交渉に参加すればアメリカの言いなりになると主張しているが、TPPに参加している国々は、ペルーのボサダ貿易副大臣の発言に見られるように自国の利益のためにTPPに参加するのだ。決してアメリカの利益のために参加するわけではない。

 JAと医師団体がTPPに反対するのは、日本がTTPに参加すれば現在の利権が剥ぎ取られるからであって日本の利益が失われるからではない。日本で改革が遅れているのが農業と医療である。JAと医師団が利権によって得られる莫大な金を利用して多くの政治家を抱きこんで農業と医療の改革の足をひっぱっているからである。電機業界も同じだ。
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コメント
 
 
 
Unknown (通りすがり)
2011-10-31 00:19:04
日本の耐久消費財の輸出ってたしかかなり減ってると思うけど?それでどうして儲かるのかわからない
 
 
 
賛成派って (Unknown)
2011-11-03 08:06:11
反対派は具体性をもって反対しているが、賛成派のコメントを聞いていると、開国するだとか乗り遅れるだとか具体性の無いコメントが多い。反対派に対する反論の際も具体的な数値をだして反論してほしいがいつも期待はずれである。参加した際のメリットが具体的に学者でもださないのに、専門でもない方々で賛成を表明してる人は何を頼りに賛成しているのか疑問である。どう思われるか?
 
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