「違法の文科省見解」批判5・9月8日の協議を検証する

狼魔人日記

のブログに9月8日の会議録が掲載されていたので、転載した。9月8日の会議を検証する。
 
■八重山日報社 9月13日

「最も民主的な協議の場」
ちらつく ” 多数決 ” カード
育鵬社版に嫌悪感あらわ
< 逆転不採択の現場 ▼2▼ > 
 市教委、与那国町教委はすでに、採択地区協議会の答申に従った教科書採択を終了している。新たな「採択協議」は認められないと、玉津教育長が反論した。
玉津教育長     「(この場を)教科書無償措置法の協議会にするには、各教育委員会がお互いに合意しなくてはならない。(各教委で)3つに分かれて話し合いをしましょう。文科省のある課長補佐からの情報だが、協会を協議会に変える場合は、それぞれの教委が合意した上でないとできないという回答だ」
慶田盛教育長    「(教育委員が)全員集まっているから協議の場だ」

 強く協議入りを求める慶田盛教育長を、狩俣課長が再び「援護射撃」する。

狩俣課長      「ここに教育委員会の全委員がそろっている。最も民主的な協議の場だ。ここで話し合いをしていただきたいというのが県教委の希望だ」

 育鵬社版の採択に賛成した市教委の徳松節子委員が異議を挟む。

徳松委員      「私たち(市教委)は2時間近く議論を重ねて採択した。それが最終のものだと思っている。民主主義は多数決原理だと思うが、今回は多数決の原理を超えて、それぞれの主義主張が出た。こういうところで1つにまとめましょうということに対して、最初から大変無理があると思う」

 異論があるにもかかわらず、仲本委員長は、協議入りに固執する。

仲本委員長     「この場を13人の委員の責任と英知によって、協議の場とすることについて、採決にもっていきたい」

 早くも「多数決」のカードをちらつかせる仲本委員長。崎原教育長、玉津教育長が猛烈と抗議すると

崎原教育長     「竹富町のように、協議会では多数決で負けたから、帰って覆すという民主主義がどこにあるのか」玉津教育長「すでに8月31日で協議会の業務は終了している。今後、協議会を開くことには賛成できかねる。仮に協議会をやるのなら、これは各自、教育委員会に持ち帰って、13人の場を協議会にするかどうか、改めて話し合いをやるべきだ。県教委のご意見もうかがいたい」

 狩俣課長が「指導助言」に立つ

狩俣課長 「3教育委員会には協議をする責任と義務がある。ぜひ協議してほしい。全員が参加しているこ      の形が最も望ましい。もし協議ができないということであれば、県として招集しないといけな      くなる。そういう事態は避けたい」

 県教委による教育委員の「招集」まで持ち出し、協議入りを迫る狩俣課長。協議は休憩に入った。協議の再開後、議長役は竹盛委員長に交代する。委員が一人ひとり意見を述べる。




 逆転不採択の現場 の1が見つからなかったので、どのような経緯で、「採択地区協議会」を「答申」と呼ぶようになったかわからないが、恐らく狩俣課長が「採択地区協議会」を「答申」であると主張したからだろう。答申というのはたんなる報告であり拘束力がない。しかし、「採択地区協議会」は諮問会議のような「答申」をする組織ではない。無償措置法によって設置された協議会であり、八重山地区の無償給与する教科書を採択する協議会であり、8月23日の地区協議会で八重山地区の公民は育鵬社の教科書を無償給与することが決まった。それ以外の教科書は無償供与しないという拘束力が八重山地区採択協議会にはある。
  新たな「採択協議」は認められないという玉津教育長の反論は正論である。狩俣課長は  「3教育委員会には協議をする責任と義務がある」と発言しているが、狩俣課長が主張している根拠は無償措置法13条4項の「第1項の場合において、採択地区が2以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」という条例である。
 4項に「当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」をストレートに解釈して、同一教科書を決めるには全員協議でなければならないと狩俣課長は主張しているのだ。しかし、狩俣課長の主張は間違っている。
 島尻地区は15市町村である。全教育委員の協議会となると75人前後になる。75人の協議となると喧々諤々でなかなか同一の教科書は決まらないだろう。同一の教科書を採択するには全教育委員を集めて協議をするのではなく、統一の教科書を採択するための組織をつくったほうが有効である。
だから、「市町村の教育委員会」の代わりに地区採択協議会をつくり教科書を採択することになったのだ。地区協議会が採択したのは「市町村の教育委員会」が採択したということになるのである。このやり方が最適なやり方だから全国で地区採択協議会をつくったのである。

  狩俣課長は「もし協議ができないということであれば、県として招集しないといけなくなる」と述べているが、県が召集したとしても8月23日の八重山地区協議会の決定をひっくり返すことのできる組織はつくれない。
 無償給与の教科書採択において全員協議が地区協議会より上にあると考えるのは間違いである。
 




 
崎原教育長 「今回に限り、竹富町が協議会の答申を受け入れなかったことが疑問。復帰後、ずっと答申案       の通りやっている。文科省も静ひつな環境の中で、他人の 圧力に屈しない判断をしなさいと       いっている。(竹富町は)まともに判断したとは思えない。世間の圧力でそういう結果にな       った。外部の圧力ではなく、子どもたちの目線で判断してもらえるか聞きたい」
 
 育鵬社版教科書は、文科省の検定をパスした7社の教科書の1冊だ。与那国町の具志堅学子委員、石垣市の石垣朝子委員は、育鵬社版教科書を擁護する。

具志堅委員 「『この教科書は子どもたちに渡せない』というが、なぜ国も県も認めて、この地区に来たの       か。公正な目で見てほしい。私自信は、協議会の答申が民主主義だと思っている。それを重       視してほしい
石垣委員 「市教委で2時間余に及ぶ話し合いをし、結論が出た。一生懸命やって採択したものを、ノーと言      うことはできない」

 竹富町の内盛正聖委員が、育鵬社版に反対意見を述べる。

内盛委員 「文科省が認めているのに何の問題があるのか、1つだけ言う。育鵬社の公民に『私たちは両親      のもとに生まれ育ち、家族の一員として助け合いながら生活を営んでいます』とある。本当に      そうでしょうか。違いますよね。片親の家庭もある。さびしくなる子もいませんか
崎原教育長 「両親から生まれないで誰から生まれるのか。ばかなことを言うな」

 強引な論理に、崎原教育長が思わずあきれ声を上げる。内盛委員は別な角度から、育鵬社版が協議会で選定されたことに異論を訴える。

内盛委員 「どういう経緯で育鵬社の本が上がり、どういう議論があったのか、きょうまでに説明があって     も良かった。調査員の推薦がない本が議題に上がったのはどういう経緯なのか。説明してほし      い」 

 竹富町の大田綾子委員は、現場教員である協議会の調査員が育鵬社版を推薦しなかったことを指摘、育鵬社版の採択に反対する。

大田委員 「子どもたちに恥じることのない説明責任を持ちたいと常に思っている。調査員 の先生の調査      資料を大切にしたい。それが現場の先生に指導意欲、子どもたちに学ぶ意欲をつけることだと      信じて教科書を選んできた」

 協議会委員でもある大田委員はさらに、協議会での選定の内幕も明かす。

大田委員 「私は協議会で、歴史と地理について、かなりの時間とエネルギーをかけて発言 してきた。そ     の発言が公民の中にも生きてくると信じていた。しかし、それが覆されてしまった。公民が選ば     れたときは、ショックで血の気が引いて、身体が震えるほどだった」

 育鵬社版へ嫌悪感をあらわにする大田委員。批判は、他の委員からもなおも続く。

< 逆転不採択の現場 ▼3▼ >

竹富町の慶田盛教育長が育鵬社版を批判する。

慶田盛教育長 「教科書を現実に使用する学校の意向はどうか。この点は調査員の調査結               果だ。なぜ調査員に推薦されていない図書が上がってきたのか、 客観的              な説明がない」

地区小中校長会、八重山地区PTA連合会が育鵬社版に否定的な要請を行っていることを指摘。地域住民の声にも言及した。

慶田盛教育長 「地域住民の意見は沖縄タイムス、琉球新報に載って いる。育鵬社関係               の教科書を採択した市教委をどう思うか。タイムスは56%、琉球新報は6              3% が反対している。半数以上が反対している。こういう状況を踏まえても、            考えないといけないところがあるのではないか」

竹富町の石垣安信竹富町委員、与那国町の入慶田本委員長、石垣市の仲本委員長からも、育鵬社版の選定や、協議会の運営方法に対する批判が続出する。

石垣委員 「公民の教科書だけ、調査委員の推薦がなかったものが急に浮上して、育鵬               社が採用された。協議会の規約が突然変更され、現場の経験のある職員                が外されたことも疑問に思う」
入慶田本委員長 「竹富町が悪者扱いされているが、私はそうではないと 思う。原因を煮詰めていただい         て、協議してほしい」
仲本委員長 「現場の先生方、調査員が研究した図書が採択されていない。教科書を実際に使用する学校現       場の意見が十分に反映されているのか。PTAの要請にも十分に答えられたのか。住民の世論調       査が新聞で出ているが、もろもろの世論調査が十分に反映されているのか。
       この事実は無視できないと考えている」

石垣市の嵩田美代子委員も、ほぼ同様の論旨を展開する。        
 
嵩田委員 「なんと言っても調査員が上げてこなかった教科書を協議 会が採択したことが納得できない。      玉津教育長は責任と権限という言葉をしきりに発するが、調査員が上げたものを選ぶという前      提のもとの責任ではないか」

嵩田委員と竹盛洋一委員長は協議会の構成メンバーも疑問視する。

竹盛委員長 「協議会のメンバー8人の中に教育委員が6人いる。協議会は教育委員
       の諮問機関であり、構成からして非常におかしい」



多くの教育委員が「協議会」を諮問機関と誤解している。地区採択協議会は同一教科書を決定する機関であって諮問機関てはない。




嵩田委員 「3市町教育委員メンバーが自分たちで諮問して、自分たちで答申を受ける
      いう入口のところから、大変な迷路に入った。今一度、原点に立ち戻って協議しないと一本化     は諮れない」

「調査員の推薦がない教科書が選ばれた」という批判に玉津教育長が反論する。

玉津教育長 「推薦なしの教科書を採択したという話があったが、第2回の協議会で、6人の委員が集まっ       た中で私は『拘束性を持たない推薦制を考えておりますから、そのうちにシステムを提示しま      す』と申し上げている。協議会が自分の責任と権限で選ぶということをはっきり申し上げ、何      ら反論がなかった」育鵬社版を擁護する委員がさらに反論に出た。

徳松委員 「調査員の報告を尊重しなさいというが、報告書が、あるグループの反対意見とほとんど同じだ     とA新聞は書いてある。私は実際に分厚い調査報告を見た。八重山の調査員はマイナスの意見ばか     りで、どういうことか首をかしげていた。ある種の誘導があったのかと思うふしがある。調査員     といえども、それぞれ主義主張がある。その中でしか調査できない」


市教委の石垣委員は「協議会に教育委員が入っているのはおかしい」という批判に反論する。

石垣委員 「なぜ協議会の総会で(委員を入れ替える)提案があったときに議論しなかっ たのか。総会で      通ったんですよ」委員全員が発言したが、お互いが意見を言い合っただけで、中身のある議論      に発展しない。ここで竹盛委員長が提案する。

竹盛委員長 「きょう、この13人の教育委員がいらっしゃる中で(教科書)決めてほしい。ここで採択し      てはどうか」

ここで玉津教育長は、義家弘介参院議員が文科省幹部から取った文書を読み上げる。文書によると、この場を教科書採択に向けた協議の場とするなら、3市町教委の合意が必要だ、玉津教育長は、義家氏の名前を伏せた。ここで狩俣義務教育課長が発言する。 



この場を教科書採択に向けた協議の場とするなら、採択方法がまだ決まっていないこと
になる。ゼロからはじめるということになると石垣市、竹富町、与那国町はそれぞれ自治の
権利が優先する。もし、与那国町が賛成多数の採択に反対であるなら、採択に参加しないと
いう権利がある。三市町で同一の教科書を採択するのなら、三市町が採択方法に合意しない
限り成立しない。






狩俣課長「(文書は)私たちが確認しているところと若干異なるところあり、確認が必要だ」


狩俣課長はさらに、育鵬社版を選定した採択協議会の答申について説明する。


狩俣課長 「採択協議会で出されたのは答申だ、答申はあくまで答申。各教育委員会を拘束しない。文科省     からも、弁護士、行政法専門の大学教授にも確認している」



 狩俣課長の説明は間違っている。「採択協議会で出されたのは答申だ、答申はあくまで答
申」と自信たっぷりに主張しているが、採択協議会で出されたのは答申ではなく、八重山地
区の無償給与教科書の決定である。

 地区協議会の採択は「決定」であり強制力がある。
 9月8日を有効であると主張する根拠に8月23日の地区協議会で採択したのを「答申」であると決め付けたことにある。地区協議会で採択したのは「答申」ではない。「答申」であるとする狩俣課長の主張は間違っているのだから、9月8日の全員協議は無効である。





狩俣義務教育課長は、この場での採択協議入りを改めて迫る。


狩俣課長 「各教育委員会が異なる採択をした場合は、協議しないことは許されない。残るのは協議の形      態。委員長だけに一任してやるか、委員長と教育長でやるか。だいたい、こういったところだと     思う。答申と異なる採択であっても一本化していればいい。そのことを確認してほしい」


この場で協議しないという選択肢はないと断言する県教委。育鵬社版を擁護する少数派委員たちは追い詰められていく。

■八重山日報 9月15日
” 多数決 ”の是非で紛糾
石垣、与那国は拒否
「決定この場で」迫る県教委
< 逆転不採択の現場 ▼4▼ >
ー竹盛委員長が、教科書の一本化へさらに議事を進める。

竹盛委員長 「教育委員は基本的に合議で話をしようというのが基本だが、合議は難しい。ここで採択につ       いて決める、教科書を1つに絞ることを皆さんに諮ッていいか」

ー玉津教育長が反対する。

玉津教育長 「協議会は、あらかじめルールを定めて協議するのが無償措置法の基本だ。最低条件は、各教       委が合意することだ」

ーここで狩俣義務教育課長が玉津教育長に反論。協議は、県教委の事実上の「主導」が鮮明になってくる。
狩俣課長 「協議は、あらかじめルールを決める必要はない。ここでルールを決めて話し合えばいい」



 ひどい発言だ。三市町が同一の教科書を採択するのだから色々な問題が生じてくるのが
当然である。あらかじめ三市町が納得するルールをつくるべきである。そのルールが全国で
採用している地区採択協議会のルールである。すでにルールは存在している。練り上げた
ルールを無視して、たった数時間でルールをつくるのは横暴である。そのようなルールが公
式に認められるわけがない。




ー狩俣課長は、教科書採択に向けた具体的な協議の方法を提案する。

狩俣課長 「いろんな協議の仕方がある。教育委員長だけでやる方法、教育委員全員でやる方法。他教行法     で教科書は教育長の専権事項ではなく、教育委員に専決権があるので、どうしても協議には教育     委員会が入っていないといけないというという判断を持っている。教育長だけの協議は考えてい     ない」

ー教育長だけの協議だと、2対1で育鵬社版の採択が決まる。教育委員全員での協議、教育長と教育委員長の協議では、いずれも育鵬社版に反対する意見が多数だ。
狩俣課長は、なおも協議入りを迫る。

狩俣課長「教育委員会で協議した結果、協議しないことにしました、ということは有り得ない。そこは誤解がないようお願いしたい」
竹盛委員長 「ここは多数決で、協議の場とすることを決めたい」

ー崎原教育長が反対する。

崎原教育長 「法的拘束力もないのに、多数決で決めてどうするのか。世間受けを狙っているのか」
玉津教育長 「(3市町教育委員会に)分けてください。採択を変えるか変えないか確認して戻ってくる」

ーここで玉津教育長は、3市町が育鵬社を採択したあとで、竹富町だけは副読本として東京書籍を購入することを提案するが、竹富町の委員から「沖縄の教育を揺るがす問題だ。受け入れるわけにはいかない」(大田委員)と断られる。
議長役は仲本委員長に交代した。

仲本委員長 「堂々めぐりをしている状況だ。この場を協議の場として確認し、教科書を一本化したい、採       択は挙手でお願いしたい」

ーいきなり多数決を持ち出す仲本委員長。崎原教育長、玉津教育長が抗議する。

崎原教育長 「これは拘束力があるのか」
玉津教育長 「法的根拠は何か」

ーここで、狩俣課長が両教育長をけん制する。

狩俣課長 「協議は、しっかり最後までやってもらわないといけない。席を立つようなことがないようにお     願いしたい。協議の仕方を決めてほしい。3つの教育委員会に分かれるなら、どういう形で協議     するのか対案を出してほしい」

ーさらに狩俣課長は続ける。

狩俣教育長 「協議の方法は、この場で多数決で決めていただかないといけない。ちゃぶ台を返さないで決      めていただきたい」



この場で多数決で決めろというのは狩俣教育長の越権行為である。三市町は自治体であり
協議の方法を決めるのは三市町それぞれの三市町に権利があり、県には三市町に強制す
る権利はない。狩俣教育長はまるで独裁者である。



ー多数決での決着を容認する発言だった。ここで3市町教育員会は、協議入りするかどうかを話し合うために、別々に協議を開くことになり、休憩に入る。協議が再開し、3教育委員長が報告する。

入慶田本委員長 「(与那国町は)合意を前提に全員で決める」
仲本委員長 「(石垣市は)採択の意見は曲げない。協議の形態についてはまとまらなかった」
竹盛委員長 「(竹富町は)委員13人全員で(協議)という結果が出ている。全員で決めることでよろし      いですね」

ーここで、教科書採択に向けた協議入りに異議は出なかった。しかし条件として、与那国町教委は全会一致、市教委は育鵬社版を採択するという意見は曲げないということを明言した。この条件が無視されたことがのちに「協議は無効」だとする主張の根拠になる。


竹盛委員長「協議会の答申は育鵬社、竹富町は東京書籍。この2つについて、挙手して決めたい、よろしい     ですか」

ーいきなり多数決に持っていこうとする議事運営に対し、狩俣課長が止めに入る。

狩俣課長 「答申は生きているので、まず、答申の是非について確認した上で、もし答申通りいかないもの     であれば、2番手(の教科書)はどうするのか議論してほしい」

ーここで崎原教育長が「多数決」に異議を唱える。

崎原教育長 「与那国町は多数決でないと条件を言っている。ぼくたちは3人しかいないので、多数決した      ら負ける。だから合議にしてくださいとお願いしている」
竹盛委員長 「多数決は採択協議でもやられたことだ。今の状況では合議は無理だ」

ー「多数決」を認めるかどうかをめぐり、協議は紛糾してくる。

崎原教育長 「(与那国町教委の)人間が少ないと分かりながら、多数決に持っていこうとするのはどうい      う魂胆か。全体で多数決を取ると負ける。民主主義ではない」
玉津教育長 「石垣市も、採択は曲げないと言っている。私たちは多数決は受けない」

ー慶田盛教育長が反論する。

慶田盛教育長 「石垣だって多数決だった」
玉津教育長 「それは、そういう規約を作ってやっているからだ」

ーあらかじめ決められた規約などにもと基づき、多数決を取った採択協議会や市教委と、何のルールもないところから始まったこの日の協議を同一視できないと玉津教育長は訴える。



明らかに玉津教育長の主張が正しい。規約もつくらない、三市町の合意もないのに多数決で決めるのは違法行為だ。



           
■八重山日報社 9月16日

「協議には拘束力」県教委明言
育鵬社の採択疑問視
玉津氏「多数決はいけない」

< 逆転不採択の現場 ▼5▼ >

ーここで竹盛委員長が、県教委に指導助言を仰ぐ。

狩俣課長 「全体で協議することは決まったので一歩前進。あと3段ぐらい階段
       を上ってもらわないといけない」


ー協議の進行を求める狩俣課長。さらに、育鵬社版の採択を疑問視するような発言が飛び出す。


狩俣課長 「お願いしたいことは、文科相の通知には『地域において広く関係者の理解を求める』とある。      皆さんは絶対的な権限があって参加しているのではない。関係者の意向をくみ取って自分自身      の意見を出していただくということだ。学校現場、保 護者、地域の意向はこうだ、とそれぞれ      話をしてほしい」


ー校長会やPTA、地域住民から育鵬社版の採択に反対する意見が上がっていることを念頭に置いた発言だ、宮良学教育事務所長は、さらに踏み込む。


宮良教育事務所長 「校長会は調査員の意思を尊重してくれと言った。八P連も『つくる会』系の教科書採択         には反対。教育は保護者、学校、地域の信頼があって始めて成り立つ。校長会、八P連の         主張をどう各委員が判断したのか、そこを聞きたい」


ー玉津教育長が反論する。


玉津教育長 「教科書15種目のうち、2種目が調査員が推薦しなかった教科書が選定された。残り13種目       は、何らかの形で教員の専門性に基づく調査報告書と複数推薦制を参考にした結論が出てい       る。教員、校長先生の思いも、十分選定に生かされている。何ら問題はない」

狩俣課長 「今の考え方は誤認がある」


ー玉津教育長に再反論する狩俣課長。こうした県教委の姿勢の背景に、協議はさらに、育鵬社版に反対する委員に有利な情勢となっていく。仲本委員長は、再び新聞の世論調査を持ち出す。


仲本委員長 「沖縄タイムスの世論調査で育鵬社反対が56.2%。市、与那国町の教員が調査員推薦ではな       い教科書を採用したのに反対は61.3%。地域の実態も十分反映して尊重してほしい」


ー崎原、玉津両教育長が反論する。


崎原教育長 「マスメディアを含めて不採択運動に走っている。世論、世論というが、世論作りをしている      のは誰か。新聞が正論だと思ったら大変な間違いを犯す」

玉津教育長  「公務員にとって大事なのは法律だ。世論ではない。世論は参考として聞く             が、私たちは法に基づいてやることを確認しましょう」


ー協議はここで、「多数決」の是非に再び戻る。崎原教育長が、多数決に反対する意見を述べる。


崎原教育長 「合議制でやるなら協議に参加するが、委員が少ないと分かりながら多数決を押し付けるな        ら、脱法行為だ」

大田委員  「市教委、協議会でも最終的には多数決だ」

崎原教育長  「あれは、あれでいい。(傍聴人から大きな笑いが)条件が一緒だった。われ             われは3人しかいない。条件が違う」

ー崎原教育長の発言に大きな笑い声を上げる傍聴人。育鵬社版の不採択を求める団体のメンバーたちが会場に詰め掛ける。玉津教育長を罵倒する私語が多い。笑い声だけではなく、時おり拍手することもあり、傍聴マナーに問題がある。

玉津教育長 「合議制を希望している人がいる場合は多数決はできない」

ー入慶田本委員長が「できないということがあるか」と声を張り上げる。

玉津教育長 「3市町教委は独立した機関だ、その独立した組織が決めた結論を変える場合は、決めた本人       たちが決める」

慶田盛教育長 「何のためにこの会議を持っているのか」

崎原教育長  「条件が違うので、採決を取る意思決定方法はやめてください。そうでないと、             与那国に帰って協議事項を否決する(多数決なら)拘束力がないからだ」

ー多数決をめぐる議論がさらに白熱する。

玉津教育長 「協議会では、多数決という規約を決めてきた。きょうは合議でやるか、多数決でやるかを、       多数決で決めてはいけない。何でこれを、みんなで集まったから変えようという話になるの       か」

大田委員  「始めに確認してスタートしている」

慶田盛教育長 「採決の意見は曲げないと出席しているのに、どんな合議ができるのか」

ー狩俣課長が発言する。

狩俣課長 「採択が異なれば協議をしなければならない。そこを確認してください」

竹盛委員長 「多数決で諮るか、諮らないか決めたい」

大田委員  「多数決で諮ってください」

崎原教育長  「多数決を取るなら私は退席する。ルール違反だ」

玉津教育長 「私も退席する」

狩俣課長 「退席という選択はできるだけ避けてほしい」

崎原教育長 「人間の少ないほうが不利だ」

狩俣課長 「皆さんは協議する義務がある。そこから逃げないでください」




ひどいね。これは脅しだ。崎原教育長と玉津教育長の正論を完全無視している。協議は成り立っていないのに協議をする義務があるとはおかしい。




崎原教育長 「ここで決めたことには拘束力は何もない」

ー狩俣課長が明言する。

狩俣課長 「ここで話したことは拘束力がありますよ。先ほどの段階で、全体で協議するこ とを確認したので、それを踏まえて、無償化措置法13条4項で、そこで決めたこ とに拘束力がある。答申は拘束力はない。もう一度確認する。この違いは大事 だ」




 もし、無償措置法の協議会として成立しているならば拘束力はある。しかし、無償措置法の拘束力は、八重山地区採択協議会の拘束と同じで、採択した教科書のみ無償給与するという拘束力であって、市町の教育委員会が教科書を自由に採択するのを拘束力することはできない。竹富町が東京書籍の教科書を採択することは禁止できないが、無償給与はしないということと同じことである。
 ところが狩俣課長のいう「拘束力」は市町の教育委員会の採択する教科書を拘束するという意味が含まれている。無償措置法は地域教育行政法の権利を侵すことはできない。狩俣課長は無償措置法を理解していない。





ー育鵬社を選定した協議会の答申には拘束力はないが、この日の協議には拘束力があるー。県教委は、答申に従わなかった竹富町教委の意向を支持する姿勢を明確にした。
つづく

2011-11-10 19:40:17 | 八重山教科書採択問題

< 逆転不採択の現場 ▼6▼ >

ー「多数決を取るかどうか」を多数決で決めよう。竹盛委員長がそう 提案する。




呆れて口が塞がらない提案だ。村の行事や祭りごとを決めるような問題もではない。義務教育の無償給与する教科書を採択するという国家的な問題である。竹盛委員長は村も国も同じようなものだと思っているのだろうな。





竹盛委員長 「多数決で決めることを決したい人は手を挙げてください」

ー玉津、崎原両教育長は抗議し、委員や傍聴人の怒号が響く中、ついに退席する。挙手による採決が行われた。

竹盛委員長 「協議は多数決で決しました。不本意な結果ではあるが、委員のみなさんには             ご協力をお願いしたい」




ところが竹盛委員長の提案に乗った人が過半数も居た。こんなやり方が国に通用すると思っているからすごい。こんなやり方は民主主義が未発達な沖縄だけに通用するものだ。






ーここで狩俣課長が2教育長を説得するよう求める。

狩俣課長 「お2人が抜けている。ぜひ説得をしてほしい。地区のエゴで話をするものでは             ない」

慶田盛教育長 「石垣市の教育長は、採択の意志を曲げないと言ってきている。合議する               態度ではない」

具志堅委員 「(与那国町教委は)多数決はしないように、ということ(が条件) だった」

竹盛委員長 「もう期限切れが間近だ。八重山の子どもたちはどうなるのか。合議でやるべきだと思うが、      合議は有り得ないと確認はできていると思う。一刻も早い採択を私は願う」

ー2教育長を説得するために、協議は休憩に入った。再開後も2教育長は姿を見せない。

慶田盛教育長 「教育長が退席するのは責任の放棄だ」

入慶田本委員長 「冗談じゃない。子どもじゃあるまいし」

慶田盛教育長 「全体の話が大事だ。退席した人の話は大事じゃない。勘違いするなよ」

ー2教育長に怒号が響く。育鵬社版に反対する委員からは、なお2教育長を批判する声が相次ぐ。竹盛教育長が、県教委の指導助言を求める。

狩俣課長  「(2教育長に)もう開始しますよと話し、会議を再開することを確認して、それで           席に着かなければやむを得ないと思う。この皆さんであれば合意することは難しいですか。こ      こでも多数決になりますか」




合意することは難しい。しかし、合意しない限り協議は成立しない。だから、どのような方法であれば三市町が合意するのかを協議しなければならない。合意に達するまで協議する以外に方法はないのに、合意が難しいから多数決で決めるというやり方では三市町の自治権に関わることであり、多数決で三市町が同一の教科書を採択する方法を決めることはできない。
本当ひどい協議てある。





竹盛委員長 「もう1時間過ぎたが戻ってこない。県からの指導で、最後通告を出して出席             しない場合はそのままいくこということでよろしいですか」

ー異議はない。しかし玉津教育長のみ、席に戻ってきた。

玉津教育長  「この場は多数決で決する場ではない。何でだめかというと、協議の場でたとえある程度、       話が煮詰まっても、最終的には古巣である教育委員会に戻り、再度話し合いをしないといけ       ない。多数決で決することは反対だ。挙手はしない」




玉津教育長のほうが法的に正しい意見である。





竹盛委員長 「この件についてまた、教育委員会を開催すると、かなりの時間がかかる。今             日のこの場を協議の場にしたい」

大田委員  「各教育委員会で解決できなかったから、きょうの場がある。この 場で多数決で決めてほし       い」



「各教育委員会で解決できなかったから、きょうの場がある」のではない。竹富町が、地区協議会が決定した教科書を採択しなかったことが原因である。
 竹富町が教科書の無償給与を受けたいなら育鵬社の教科書を採択しなければならなかった。どうしても育鵬社の教科書がイヤで東京書籍の教科書を採択するのなら竹富町が教科書代金を負担しなければならなかっただけのことである。問題はシンプルである。

 問題が複雑にこじれているのは竹富町が無償給与の対象ではない東京書籍の教科書を選びながら、無償給与をやれと国に要求したからである。





ー多数決を求める圧力は、さらに強まる。

玉津教育長 「法的根拠もはっきりしない協議の場で、教科書無償措置法の決議を行うのは違法だという文      科省からの情報も入っている」

竹盛委員長 「今、違法な場という表現があった。県教委の皆さんもいらっしゃるが、違法な場か」

狩俣課長  「そうではありません。協議の場です」

      


いやいや、完全に違法な場だ。





ー県教委は改めて、協議に「お墨付き」を与えた。玉津教育長は、 さらに追いつめられていく。


玉津教育長 「まだ私たちは、育鵬社、東京書籍の教科書について一切議論が深まって               いない」

ー複数の委員が「何を言っているのか」玉津教育長を怒鳴りつける。しびれを切らしたのか、大田委員は「もう決を取ってください」と叫んだ。

竹盛委員長 「答申通り育鵬社とするか、別の教科書を選ぶべきか挙手で諮ってもいいですね」

玉津教育長 「多数決が決まっていない状態であれば参加する」

入慶田本委員長  「何様だと思っているのか。退席したのは責任の放棄じゃないのか」

竹盛委員長  「(育鵬社を選定した)答申について異議あり、別のものを選ぶべき という             委員の皆さんは挙手をお願いします」




地区協議会は無償措置法13条4項によって設置されたものであり、地区協議会の採択は法的根拠がある。もし、全員協議で地区協議会の採択を否決するのなら、全員協議で地区協議会の採択を否決する規約を三市町の合意でつくる必要がある。
9月の8日の協議は無法地帯と化している





ー育鵬社版に反対し、挙手したのは7人。挙手しなかったのは玉津氏、を含め4人にとどまった。竹盛委員長も育鵬社版に反対だが、議長のため採決には加わっていない。

大田委員 「私は東京書籍を推したい。調査員が推薦していることが第一」

仲本委員長 「調査員の意見を大事にする観点からは東書と帝国。今、現在使用されてい              るものは東書ということなので、東書でもいい」

石垣委員(竹富町教委) 「調査員の推薦があったということで、東京書籍を推したい」

慶田盛委員長  「育鵬社のものは、沖縄の基地に触れられていないし、今問題になっている原発を勧めて         いるように受け取られるところがある。(教科書採択は)多くの方々に理解される状況        でないといけない」

ー調査員が推薦し、現在使用されている教科書だから、という理由で、ほとんど議論もなく東京書籍に賛成意見が相次ぐ。竹盛委員長はここで「不採択」が決まったばかりの育鵬社の教科書について、委員の賛成意見を聞く。

竹盛  「答えにくいとは思うが、育鵬社を選定された委員の意見もお聞きしたい」

玉津 「誘導尋問はやめてください」

ーしかし、市教委の石垣委員は立ち上がり「私は育鵬社を選んだ」 と賛成理由を述べ始める。

石垣委員(石垣市教委) 「(育鵬社版の)調査員の報告に、天皇の写真が多いというのがあ った。これ            は主観だ。国家、日章旗がどのように扱われているか みると、他の教科書は左            側の片隅に、小さな字でしか扱っていな い。(育鵬社版の)普天間の写真が小            さいというのは、必要であ れば教材研究して大きい写真を出せばいい。公民             は、至らないと ころもあるが、現代社会の見方、ヨコ軸とタテ軸の問題(の記            述 で)育鵬社のものはいいと思った」

ーここで竹盛委員長が、採択を提案する。

竹盛委員長 「県からも指導を受けながら会を進めてきた。きょうこの場で採択することにな         った。東書を採択したいと思う委員は挙手をお願いします」

ー賛成多数で東京書籍版の採択が決まった。

竹盛委員長 「この協議会の場においては、賛成多数。合議ができなかったことは 心苦しいところもあっ      た。残念ながら与那国の教育長は戻られ なかったが、時間の問題で、不在のまま進めること      になった。教育委員全員で決まったことは有意義だったということで、閉めたい

ー入慶田本委員長が「全日程を終了したので閉会します」とあいさつをすると、育鵬社版に反対してきた傍聴人から繰り返し拍手が起こった。





 以上が9月8日の全員協議り実体である。子供の頃、不良にどんな正論を主張も通用しないで不良なりの「正論」で苛められたことを思い出した。

 県の役人ということで、地方の正当な主張を簡単に跳ね除け、強引に、自分が採択したい教科書を客観的には違法であるが自分にとっては「正当な方法」で決めていった。
  狩俣課長のやり方は独裁政治そのものである。
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黙々と点滅お前も孤独かい・八百五十九~八百六十一句)

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