「違法の文科省見解」批判1




 仲山忠克弁護士は平和・民主・革新の日本をめざす沖縄の会の代表世話人である。彼が八重山教科書問題の法解釈の指導者であることは間違いない。

 仲山忠克弁護士によって新聞に投稿された「違法の文科省見解」に今まで反育鵬社側が主張してきた法的根拠が詳しく述べられている。仲山忠克弁護士の主張を分析しながら批判していきたい。
 

「無償と有償の区別」批判



 仲山忠克弁護士は、文科省が竹富町は教科書無償給与の対象外であるとの見解を出したことに反論して、
 第一に、「採択地区協議会には強制力がなく、教科書の採択権限は地方教育行政の組織および運営に関する法律地方教育行政法23条6号によって市町村教育委員会にあるから、竹富町が東京書籍の教科書を採択したのは違法ではない」と述べ、第二に、「憲法26条2項には国家の義務として『義務教育は、これを無償とする』と定めているので、竹富町が八重山地区協議会が選択した育鵬社の教科書とは違う東京書籍の教科書を採択しても無償給与するべきである」と主張している。

 憲法26条2項には「義務教育は、これを無償とする」と書いてある。しかし、憲法26条2項ができた時に教科書が無性になったわけではない。教科書は1963年まで無償ではなかった。ということは日本国家は無償措置法ができるまで憲法違反をしていたことになる。現実には現実の困難があり、憲法の条文のすべてが実現したわけではない。
憲法26条2項、地方教育行政法は最初からあったが、無償措置法の1963年以降である。

無償措置法の第12条は「都道府県の教育委員会は、当該都道府県の区域について、市若しくは郡の区域又はこれらの区域をあわせた地域に、教科用図書採択地区(以下この章において「採択地区」という。)を設定しなければならない」と書かれている。
13条4には「第1項の場合において、採択地区が2以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」か書かれている。

  無償措置法には第13で採択地区を設定することと、採択地区が2以上の市町村をあわせた地域である場合は当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならないと規定している。
 
第12条と第13条の規定にしたがってつくられたのが地区協議会である。地区協議会は無償措置法によって作られた協議会であり、採択地区の無償給与する教科書を選択する目的でつくられた協議会である。
 八重山地区協議会は八重山地区に無償給与する教科書を選択するための協議会であり、八重山地区協議会にはそれ以外の目的はない。教科書を採択する年に協議会委員は採用され、市町村が地区協議会の教科書を採択したのを確認した後に協議会は解散する。

 憲法26条2項の精神で無償措置法ができ、無償措置法を実施する方法として八重山地区協議会が設置されたのである。無償措置法では無償給与する教科書は一種類にすると決めてある。来年度から使う公民の教科書は八重山地区協議会では育鵬社の教科書と決めた。だから、国が八重山地区に無償給与する教科書は育鵬社の教科書であり、竹富町が採択した東京書籍の教科書が無償給与の対象にならないのは当然である。

 仲山忠克弁護士は憲法26条2項を根拠にして武富町が採択した教科書を無償給与しないのは憲法違反だと主張している。憲法26条2項で教育の無償を宣言していたとしても、例外なく全ての教科書が無償になるわけではない。

 日本国憲法の第25条1項において「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定めている。生存権である。憲法25条の精神を実現する法律として生活保護法がある。
しかし、収入のない全ての人が自動的に生活保護を受けるわけではない。役所で生活保護してくれることを申し込み、役所が生活保護を受ける条件を満たすことを認めて初めて生活保護を受けることができる。つまり、生活保護法があったとしても申し込みをしない限り生活保護を受けることができない。
 年金や保険などでも、もらう権利があっても申し込みをし、ちゃんと手続きをしないと 年金や保険もらうことはできない。

 教科書の無償給与も同じである。教科書の無償給与を受ける権利は全ての生徒にある。しかし、無償給与を受ける手続きをしないと無償給与を受けることはできない。無償給与を受ける手続きは、地区協議会が選択した教科書を採択することである。
八重山ならば、地区協議会が育鵬社の教科書を採択したから、石垣市、竹富町、与那国町が育鵬社の教科書を採択すれば育鵬社の教科書が国から無償給与されることになる。竹富町が育鵬社の教科書を採択すれば正しい手続きをしたことになるから育鵬社の教科書が無償給与された。しかし、竹富町は東京書籍の教科書を採択した。東京書籍の教科書を採択したということは、教科書の無償給与の手続きをしなかったということになる。
 竹富町のやったことは、生活保護を受ける権利のある人間が生活保護を受ける書類を出さないことと同じことである。

 仲山忠克弁護士は、竹富町を無償給与の対象外にしたことを憲法26条2項に反していて許されないと文科省を非難しているが、憲法26条2項を尊重しなければならないのは文科省だけでなく竹富町の教育委員会も同じである。
 八重山地区協議会が無償給与する教科書を育鵬社の教科書と決めたのに、竹富町は憲法26条2項の精神をを尊重して育鵬社の教科書を採択するよりも、自分たちの政治思想を優先して育鵬社の教科書を採択しなかったのだ。憲法26条2項の精神に反したのは文科省ではなく竹富町である。

 「憲法14条の平等原則は合理的差別までは禁止されていないと解されているところ、文科省見解は、法的拘束力のない答申に従ったか否かを差別の根拠とし、また、各市町村教育委員会に等しく認められている採択権限につき、石垣市と与那国町については認め、竹富町については否認するという差別的な取り扱いをしているが、それらに合理性が存しないことは明白である」
と、仲山忠克弁護士は文科省を非難している。
文科省は東京書籍を採択したら無償給与をしないといっているだけで東京書籍の教科書を採択するなと忠告はしていない。だから、文科省は竹富町の採択権に対して差別はしていない。

 仲山忠克弁護士は、1963年の教科書無償措置法制定依頼、無償給与を適用しなかった自治体が存在しないことの理由を義務教育無償化の具体化であったと述べているが、それは違う。もし、竹富町のように地区協議会が選択した教科書を採択しなかったら、竹富町と同じように無償給与の対象外にしたはずである。今まで無償給与を適用しなかった自治体が存在しなかったのは、全ての自治体が地区協議会が選択した教科書を採択したからである。

   つづく
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八重山教科書問題の本命登場??




 中山忠克弁護士は反戦地主弁護団、代理署名裁判知事弁護団、那覇市情報公開訴訟那覇市長弁護人を歴任した政治畑の弁護士である。恐らく八重山教科書問題で県に助言をした人物ではないだろうか。
 中山忠克弁護士は文科省の見解は違法であると堂々と述べている。法律に専門である中山忠克弁護士の発言は重い。中山忠克弁護士が文科省の見解は違法であると述べれば多くの人は信じるかもしれない。しかし、文科省も専門の法律家が助言しているから違法な見解は言わないだろう。
 県の主張と中山忠克弁護士の主張は同じだ。昨日、石垣市教委を相手に東京書籍の無償給付を求める行政訴訟を那覇地裁に起こした。それに合わせた仲山弁護士の主張の新聞掲載ではないだろうか。

 仲山弁護士の主張は県の主張と同じだ。法律の専門家である仲山弁護士の主張に反論するのはおこがましいが、八重山教科書問題は育鵬社の採択を阻止するのを目的にした政治的な臭いのする問題だから、仲山氏が弁護士であっても、中立な立場で法律を解釈しないで育鵬社を採択するのは不当で東京書籍を採択するのが正当であると主張するために法を解釈するだろう。そこに矛盾が生じるだろう。

 中山忠克弁護士の主張にまず反論をしないで、中山忠克弁護士の主張は正しいとしてみよう。


「無償と有償の区別」



 中山忠克弁護士は採択地区協議会の答申には実質的に強制力はなく、市町村教育委員会の採択権を侵害しないから、文科省が石垣市と与那国町には教科書の無償化を認め、竹富町に認めないのは差別的であり間違っていると主張している。中山忠克弁護士の主張は地区協議会が選択した教科書とは別の教科書を採択しても憲法が保証しているから無償にしなければならないと主張している。
 しかし、竹富町の教育委員会が、八重山採択地区協議会で決めた育鵬社の教科書ではなく東京書籍の教科書を採択しても教科書を無償配布するのなら、八重山地区協議会は協議をした意味がない。

 中山忠克弁護士は採択地区協議会の答申に縛られないで、市町村の教育委員会は無償配布される教科書を自由に選ぶことができると主張している。地区協議会は無償措置法に従って無償配布する教科書を採択する協議会であるのだが、中山忠克弁護士の主張では地区協議会の選択に関係なく市町村の教育委員会は無償配布の教科書を採択することができるのだから地区協議会は必要のない組織ということになる。中山忠克弁護士は八重山地区協議会は必要ないと主張していることになる。

 教科書の無償配布問題は八重山だけではなく日本全体に共通する問題である。中山忠克弁護士は日本中で無償配布する教科書は市町村の教育委員会で採択すればいいというのだろうか。
もし、そうなれば育鵬社の教科書を採択する学校が増えるだろう。


「無償措置法を無視」



 中山忠克弁護士の主張の通りに市町村教育委員会が採択した教科書が例外なく無償配布されるのなら、地区協議会の存在とは関係なく教科書の無償措置の問題は全て解決である。

ところが中山忠克弁護士は、教科書無償措置法の13条4項の「採択地区が二以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは・・・・・当該採択地区内の市町村の教育委員会は協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」と規定しているのを根拠に、石垣市と与那国町が育鵬社、竹富町が東京書籍と教科書の種類が違ったから、3市町を同一の教科書にするために3市町村教育委員会による9月8日の協議会は無償措置法によって義務付けられているとしている。中山忠克弁護士は9月8日の協議会は有効であり、9月8日の協議会で採択した東京書籍を三市町で使用すべきであると主張している。

 中山忠克弁護士は「無償と有償の区別」で地区協議会が選択した教科書以外の教科書を市町村の教育委員会が採択しても教科書を無償配布するべきだと主張している。
 中山忠克弁護士の主張が正しく、9月8日の協議会で採択した東京書籍の教科書が無償配布の教科書になったとしよう。しかし、無償措置法には強制力はない。

 八重山地区協議会に任命された委員が教科書を選択しようと、全員協議が教科書を選択しようと、地区協議会には強制力はないから市町村の教育委員会は地区協議会が選択した以外の教科書を採択することができる。つまり、9月8日の全員協議で東京書籍の教科書を採択しても、石垣市が育鵬社の教科書を採択することはできる。それだけではない。中山忠克弁護士の主張では石垣市が育鵬社の教科書を採択しても無償配布される。
 9月8日の協議会が有効であろうが無効であろうが石垣市教育委員会が育鵬社の教科書を採択する妨げにはならない。
 であれば、9月8日の協議会で採択した東京書籍の教科書を無償配布の教科書と決めても、石垣市が採択した育鵬社の教科書も無償配布されることになる。

 しかし、中山忠克弁護士は教科書無償措置法の13条4項の問題があるから再び全員協議を開かなければならない。三市町の教育委員会が同一の教科書を採択するまで永遠に全員協議を開くことになる。
 中山忠克弁護士の「無償と有償の区別」と「無償措置法を無視」の主張を組み合わせると、三市町の採択した教科書が違っていても無償配布されるのに、三市町の教科書が統一になるまで永遠に全教育委員協議を開くことになる。滑稽な話である。

 中山忠克弁護士の主張は「無償と有償の区別」と「無償措置法を無視」の内容がかみ合わない。なぜなら、中山忠克弁護士は憲法、地域教育行政法、無償措置法を自分の都合に合わせて解釈している。だから矛盾が生じてくるのである。

 中山忠克弁護士は、「現に1963年の教科書無償措置法制定依頼、無償給与を適用しなかった自治体は存しない」と述べて、竹富町が無償給与されないのは憲法26条2項に反して許されないと主張しているが、「1963年の教科書無償措置法制定依頼、無償給与を適用しなかった自治体は存しない」のは、無償措置法を正確に理解していた市町村の教育委員は地区協議会で採択された教科書を市町村の教育委員会で採択してきたからである。
 

 竹富町の教育委員は憲法26条2項の精神がなく、無償措置法を理解していなかったから、1963年の教科書無償措置法制定依頼初めて地区協議会の選択した教科書を採択しなかったのだ。もしかすると竹富町が東京書籍の教科書を採択したのは中山忠克弁護士の指導なのか。とすると山忠克弁護士は・・・・・。

追記

 
 9月8日の全員協議で 狩俣課長は「ここで話したことは拘束力がありますよ。先ほどの段階で、全体で協議することを確認したので、それを踏まえて、無償化措置法13条4項で、そこで決めたことに拘束力がある。答申は拘束力はない。もう一度確認する。この違いは大事だ」
と述べているが、それは中山忠克弁護士の入れ知恵だろう。

 教科書無償措置法の13条4項に従ってつくられたのが地区採択協議会である。中山忠克弁護士は三市町の教科書が同一でなかったから教科書無償措置法の13条4項に従って9月8日の協議会を開いたと述べているが、8月23日も13条4項に従って協議会を開いたのだ。

 13条4項は地区の市町村の採択した教科書が違ったときに協議するものではなく、まだ教科書を市町村で採択する前に、市町村の教科書を一種類に統一するために協議をすることなのだ。
 だから、8月23日の地区協議会が13条4項に沿った協議会である。9月8日の全員協議は13条4項に沿った協議で統一した教科書を竹富町が守らなかったから開いた協議会であり、13条4項に沿った協議会ではない。

 無償措置法である限り拘束力はない。9月8日が無償化措置法によった協議会ならどのような決め方であっても拘束力はない。

 狩俣課長は嘘をついている。
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