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すべてのクラスに同じ教材を渡す理由

ある大手塾は、クラスが毎月の組み分けテストで細分化されます。

1つのクラスは15人から20人程度。

したがって1つの教場でクラスが15を超えるときもあるわけですが、このクラスに供給される教材はすべて同じです。

同じということは、当然のことながら基礎から始まって、練習、応用、発展とすべての問題が含まれています。したがって教材の厚さはそれなりにある。

で、授業はというと、当然、全部はやらない。

講師は、そのクラスのレベルに合わせて授業を進めます。基礎から始めてクラスの理解度が進んでいれば、どんどん先に進む。基礎は1問。あるいはやらずにすぐ練習とか。まあ、その辺はすべて講師の裁量に任せられます。

かつ宿題はなし。

つまり、テキストには膨大な問題があり、しかし、それぞれの理解度は違うから、あとは自分でていねいに復習をしなさい。指示はこれだけです。

しかし、これが結構家庭にとっては難題になる。すべてをやろうとすると、当然、時間はない。そこで

「全部やれないんですが?」

と相談すると、

「全部やる必要はありません。」

と即答される。では、どこをやればいいんでしょうか?

ということになると、それは子どもの理解度によって違うから、

「できないところをやってください。」

という話になる。だから親は子どもの勉強の進捗状況を管理しなければならなくなるし、家庭教師を雇いたくなる気持ちも良くわかります。

で、その塾で

「ではクラスレベルでプリントを変えるという案はないんでしょうか?」

と聞いてみたら、これも

「みんなに同じものを渡すというのが大原則です。」

と即答されました。

つまり、クラスレベルで与えるものを変えるということは、その後、がんばって自分で理解をする題材が上のクラスと下のクラスで不平等になる。それでは子どもたちが上に上がっていくチャンスがない。だから学校別までの間はすべてのクラスで同じ教材を渡すのだそうです。

なるほど、と思いました。

これもひとつのやり方でしょう。しかし、負担は当然、家庭や子どもたちに委ねられている。そこが負担だと感じられれば、この塾は合わないのです。しかし、考え方を変えれば極めて合理的ともいえます。

つまり、自分の子どもに合わせた学習方法をいくらでも試せるし、工夫もできる。親の関わり方によっては、うまく成績を伸ばすこともできるでしょう。

これを知らずに、実績だけで塾を選んで、子どもや塾任せにしてしまうと、子どもは大変苦労します。確かに自分でそつなくこなせる子も中にはいるかもしれないが、それは稀な存在。

本当に塾任せにしたいのであれば、違うシステムの塾にしなければいけないのです。ただ、当然、家庭の創意工夫の効果を出す場面は少なくなります。遠回りな勉強をしていても、塾任せだから文句は言えない。

で、これはお父さん、お母さんの考え方と家庭の事情に委ねられている面が大きいのです。

塾に合わせた学習方法を考えないと、子どもたちが遠回りをするだけですから、今の塾の勉強方法をまずは熟知した上で対策を考えてください。

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