はや、三月になった。
2月14日の「版築の基壇」で紹介した「東大寺・法華堂」では、毎年三月に法華会を行うことから、「三月堂」とも呼ばれている。
建物の正面は、南面にある(写真・立面図では右手にあたる)。
堂内には、多数の天平彫刻・佛像が安置されている。日光菩薩像、月光菩薩像が有名。ここでは私の好きな像を載せた。
堂内は、お堂にいるというよりも、美術館で佛像展示を観ているよう。大きさもまちまちの像がたくさん並び、堂の空間と像が、ぴったりこない。
それというのも、ここにある佛像群は、本来、この堂の佛像ではなく、各所に散逸していた佛像を集めたからだという。
註 「浄土寺・浄土堂」は、堂の空間と像が見事に一致している。
像のために空間があり、空間のために像がある。
註 羂索:不空羂索観音などの持つ索条:綱。
仏像の名などに用いられる佛教用語は難しい。
筆者はその点まったく無知である。
真夏の暑さの中、この堂に入ると、堂内はひんやりとしていていつもほっとする。そして冬は、足底からしんしんと冷えてくるが、それでもやはり長居したくなる。そのくらい素晴らしい。