「化粧」にこだわる-2・・・・化粧か素顔か

2007-03-03 03:08:15 | 設計法

 昨日の続き。

 「化粧」で表面・表情をつくるのは、比較的容易。また面白い。上はそのいくつかの例。

 一方で、何か違和感は常に感じていた。
 たとえば、一番上の写真に見える円柱。中に細い鉄骨がある。それが構造体。つまり、この柱は張りぼてのつくりもの。これでは舞台のセット、書割りではないか。構造体と空間の乖離。これでいいのだろうか。
 もっとも、今ではこういう設計が普通らしいが・・・。

 その頃から、構造がそのまま空間となる、空間を支える構造が空間構成要素の一部となる、それが建物づくりの本来の姿ではなかったか、とあらためて考えるようになった(「浄土寺・浄土堂」に惹かれるのは、まさにそれを具現しているからだ⇒10月20日、11月29、30日)。構造体の柱を、ときには横材も、表しのままとする日本の建物づくりの技術が新鮮に見え出した。

 また、日本の建物づくりは、仕事の進め方にも無理がないことにも気が付いた。
 たとえば、天井。ごく普通の竿縁天井、これをつくる場合、下向きの姿勢で仕事ができる。先ず竿を渡し、天井板を載せる。これで仕上がる。
 こういったことを、学び直す必要を感じ、その頃から後の設計は少しずつ変ってきた。

  註 いずれも竣工当時の写真
    相模女子大3号館    :「新建築1967年10月号」
    東京大学工学部11号館 :「新建築1969年9月号」
    北条小学校          :「近代建築1972年2月号」
    どの建物も最近訪れていないので、
    今どうなっているかは詳らかではない。

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