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大分間が空きましたが前回の続きです・・・。
Collar-rafter roofs with crown struts
一部補訂[0908、1010am)
collar-rafter roof の事例中、14件には
crown struts:
繋梁を支える束柱 があった。
この
束柱は、
crown post とは異なり、
繋梁だけを承け、
桁行方向の材:母屋桁は承けてはいない。
註
collar-rafter roof、
crown post については、(
前回記事「―35」参照)
一見すると、これらは、先に5章で触れた13世紀から14世紀初頭にかけての
CANTERBURY 地方の
crown struts roof に似ている。これらの事例は、最近になり、
SUSSEX、SURREY 地方の木造建築に見られる似たような形態の屋根も関係しているかもしれないと考えられるようになっている。この地域の事例には、14世紀あるいはそれ以前の建設と見なされる例もあり、それらは、ケント地域での
crown struts 誕生との関係を確かめるために、調査する価値があるからである。
この14事例のうち12事例では、
crown struts は open hall 形式の建物にあるが、そのうちで唯一
EAST PECKHAM の
OLD WELL HOUSE の事例は、
fig86b (下図)のように
open truss:
空間を横切る小屋組 の上にある例である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/96/5b546406fea14fd7c89a96ad88f42777.jpg)
多くの事例では、
open truss は取り壊されていて如何なる形状であったかは確認できない。しかし、5事例では、
crown strutsは、仕切り壁になっている小屋組にだけに見られる。
fig86c の
SHELDWICH の
OAST COTTAGE のように、桁行1間で、梁が仕切り壁内だけにあるからである(空中を飛ぶ
梁がない)。
第二の注目点は、
crown strutsを備えている
家屋の形式にある。と言うのも、
crown strutsは
WEALDEN 形式の家屋にはなく、
cross-wing にも見かけず、唯一
end-jetty 形式にあることである。その例が、
fig86a の
SMARDEN の
TOLHURST FARMHOUSE や
EASTLING の
PLANTATION HOUSE や、
end-jetty 形式 であったと思われるが、現在はきわめて部分しか遺っていないいくつかの事例である。たとえば、
EAST PECKHAM の
HALE STREET FARMHOUSE や
BUSH FARM COTTAGE などがその例である。
collar-rafter roofのこれらの様態から分るのは、それが15世紀よりもやや早くから現れるということである。
これは、SURRY のMEAD MANOR の1465年建設と考えられる厨房棟でも使われていることでも明らかだろう。同様に、
ROCKS,
EAST MALTING AND LARKFIELD は用途は不明ではあるが、1507~8年建設と考えられる(下掲の
fig90b参照)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/10/846f7d4b9ad6634aba2fe98757c9c67a.jpg)
しかし、
crown strutsの全てが15世紀後期以降の建設事例だけにに見られるというわけではない。たとえば、WALTHAM の HANDVILLE GREEN などでは、二個の尖頭アーチの出入口があるが、15世紀中期あるいはそれ以前建設と考えられている。
crown strutsが wealden 形式や cross wing では見られないというのは事実であるが、比較的大規模の建物にだけもちいられているように思われる。先に、
collar-rafter roof、の家屋の地上階の面積は平均62~68㎡であると書いたが、
crown strutsがあり、地上階の全容の分かっている open-hall 8事例の地上階面積は、80から123㎡ある。つまり、平均値を超えているのである。これらの事例は建物の幅(梁行のことか?)も平均より大きく、それゆえ、
crown strutsは、過大で補強斜材のない屋根の小屋組で用いられたと考えられてもおかしくない。この束柱が、構造上の役割を十分に果たしているとは言い難いが、しかし、他の役割が在ったとも言い得ない。それは、
crown post roof 形式の屋根一般の部材として実用上、あるいは装飾上の役割を担っていたのではなく、比較的格の低い
end-jetty 形式や
collar-rafter 形式の屋根を有する建物に限定的に用いられたと見なしてよいだろう。以上のように、13世紀あるいは14世紀初期の
crown strutsと大きな関係がありそうだ。この時期の
struts も構造的役割を有してはいるが、ケントの場合は、高級な石造家屋だけに事例が見られ、また
open tussres :間仕切り部ではなく宙を飛ぶ小屋組:にだけ用いられている。
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次回 Side-purlin roof に続く