旧越智家住宅(ハケ下の農家)
立川段丘の崖下(ハケ)に広がる水田地帯で、江戸時代後期より昭和に至るまで使用された越智家。
それをこの郷土の森に移築したもの。
昔懐かしい藁ぶき屋根の農家だ。
広い板の間に囲炉裏が切ってあり、奥の和室には箪笥、長火鉢等が置かれていた。
戦時中に疎開していた先の農家を思い出した。
関西と関東の違いはあるが似たような造りだ。
囲炉裏の周りで農家の人達と茶を飲んだりした。
今となっては懐かしい。
土間には臼杵と、藁を打つ木槌が置かれていた。
疎開中には学校から帰るとこの槌で藁を叩き、柔らかくしてから草鞋を編んだ。
明日、学校に履いて行くものだ。
中学2年だったが通学には靴が無く、下駄か草鞋履きだったが草鞋履きの方が多かった。
通学には歩くしか方法が無く、片道一時間半ほどかけて歩いて通学したものだ。
草鞋履きで砂利道を歩くのは足が結構痛く、辛いものがあった。
壁には草鞋が下げてあった。
懐かしかった。
物であふれる現代では考えられない時代だった。
戦時中に疎開した時の事をまざまざと思いだし、しばし縁側に腰を下ろしていた。