マレーシアGP予選終了

 きわどい予選結果である。だってそうだろう。Q1のタイムを見るとトップタイムがウェバーの1'37''81トップ1'38''151のアロンソまで、1秒以内に11台が犇(ひし)めいているのである。今年のピレリタイヤがそうさせている訳だが、それにしても近年稀に見る接戦であることは確かだ。裏を返せばほんの僅かなセッティング能力の違いが微妙なタイム差に表れると云う事でもある。

 そんな中での予選、小林可夢偉は同僚のセルジオ・ペレスに、Q1、Q2共にコンマ5秒以上の遅れを取っている。レースとなれば勿論可夢偉の方が速いのは周知の通りだが、エースドラーバーたる者、予選においても常にセカンドドライバーを凌駕するようでなければならない。私の友人が「可夢偉が予選では良さを出せないでいる」と云っていたが、郷秋<Gauche>はそうではないと思うのだ。予選で良さを出せないのではなく、今の可夢偉には予選で速く走る力がないのである。

 これは由々しき問題である。一流のドライバーになるためには、決勝レースの結果だけではなく、予選での一発の速さを見せつけることが求められる。かつて「教授」呼ばれたアラン・プロストが、予選では沈んでも、気が付けば表彰台に上がっているレース巧者であると、良く云われたものだけれど、彼が予選で沈んだと云うのは、せいぜい3列目辺りまでの話しである。常にポイント圏内フィニッシュを目標とする今年の小林であるならば、仮に予選Q2敗退となったとしても、せめて6列目確保は必須である。

 さて、マレーシアGP予選の結果概観。郷秋<Gauche>の読み通りセパンでもフロントローにマクラーレンの2台、2列目にメルセデスとレッドブルとは、シーズンを通してのスタンダードになりそうな並び順である。トップ4の次に来たのはライッコネンだが、トランスミッション交換によるペナルティで明日は10番グリッドからスタート。5グリッド降格のペナルティがあったからこその予選タイムであったとも云えるだろうか。決勝レースでも表彰台のすぐ下あたりまで上がって来ることは違いない。

 フェラーリはアロンソ9番手、マッサ12番手確保がやっとと云う厳しい状況。今シーズンの早い時期にシャーシの見直しを含めた大幅なアップデートがなされなければシーズン最後までこのペースが続きかねない危機的状況である。アロンソが当代きってのドライバーであることに異論を唱える人は少ないだろうけが、だとすればフェラーリで5連勝(コンストラクターズタイトルでは6連勝)した時のドライバー、云わずと知れたミヒャエル・シューマッハが、ドライバーとして優れているだけではなく、速いマシンと速いチームを作ることの出来るカリスマ的存在であったのかが知れようと云うものである。

注:初出時に、Q1タイム誤認に基づく既述がありましたので、訂正いたしました。


 例によって記事本文と何の関係もない今日の一枚は、20日に満開となっていたすみよしの森の枝垂れ梅。明日はどうだろうか・・・。

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