Samyangから24mm f/3.5 ティルト・シフトレンズが登場か?

 Nikon Rumorsに、こんな写真が掲載されていた。24mm f/3.5のティルト・シフトレンズのようである。この写真がPhotoshopedではなく本物なら、ティルト・シフトレンズは使ってみたいレンズの筆頭なのに、純正のPC-E NIKKOR 24mm f/3.5D EDが余りにも高価でこれまで手が出せなかった、郷秋<Gauche>を含めた多くのニコンユーザーには朗報であるが・・・

 残念ながら、Samyangが電子接点も備えた、つまりCPUを内蔵したレンズを作る技術力は多分、ない。上で紹介した写真を良く見て欲しい。PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D EDのレンズ先端にSamyang 14mm f/2.8 IF ED UMC Asphericalの前玉とビルトインされたフード部分をくっつけた、Photoshopedである。

 Nikon Rumorsに掲載された写真がPhotoshopedであると知った上でも、Samyangから24mm f/3.5 ティルト・シフトレンズが登場するとなれば、これはやはり魅力的と云わざるを得ない。だってそうだろう、純正ニッコールの高くても半分、上手くすれば1/3の価格でティルト・シフトレンズが手に入るのだから、もう「買い」以外の何ものでもない。

 郷秋<Gauche>は随分と長い事Samyang 7.5mm F3.5 Fish-Eye for M4/3を欲しいと思いながらも、国内に輸入代理店がないことからなかなか手に入らず、ようやく今年1月になって入手したのだが、その代理店がちょっと心配な感じの会社であったことはその折に書いた。しかしCP+2011のケンコーのブースにこのレンズが展示されており、確認したところケンコーが扱うことになったとのこと。

 ケンコーと云えばレンズのトキナーと三脚のスリックを傘下に持つ国内有数のカメラ用品商社だ。そのケンコーが今後Samyangのレンズを一手に取り扱うことになるのだとすれば、故障が心配なSamyangのティルト・シフトレンズも、少しは安心して購入できるようになるだろう。レンズの解像度などの光学性能は純正に敵わないとしても、半額以下の価格で入手が可能となれば、買わないではいられない郷秋<Gauche>であるぞ。って、先立つものがないと買うことができないと云う、当然の事実を理解できていない郷秋<Gauche>でもある(^^;。

注:ティルト・シフトレンズ(Tilt-Shift Lens)とは、ティルト機構、つまりレンズをマウント基部から傾けることのできる機構と、レンズをマウン基部から鏡胴ごと水平方向・垂直方向に移動可能なシフト機構を併せ持つレンズである。

 ティルト機構を使い光軸を傾けることによりピントの合う範囲を広くも狭くもコントロールすることが可能となる。数年前から流行っている「ジオラマ写真」は本来このティルト機構によりピントの合う範囲を非常に狭く設定して撮影したものであるが、近頃のミラーレスカメラの「ジオラマ写真」はカメラ内部で電子的に上下の「ボケ」を作る手法で「ジオラマ写真」風写真としている。ちなみに日本でのこの手の写真の元祖と云われる本城直季氏はSLR(一眼レフ)ではなく、蛇腹付きの大判(多分4×5)を使って撮影している

 シフト機構は、歪(ゆが)みを嫌いう建築物や商品などを記録しようとする場合に便利な機構である。長方体のビルを近くから見上げるようにして撮影すると、建物は上に行くに従ってすぼまって写るが、このシフト機構を使ってレンズを上方にずらして撮影すると建物の上部がすぼまらない、建物の形を正確に記録した写真を撮ることが出来る。

 大昔の、蛇腹の付いた4×5(「しのご」と読み、4インチ×5インチのシートフィルムを使うカメラのこと)などの場合にはティルトもシフトも自在に使う事が出来たが、金属や樹脂の鏡胴のレンズをカメラボディに直接装着するようになってからはPC-E NIKKOR 24mm f/3.5D EDのような特殊かつ高価なレンズを使わないとティルトやシフトが出来なくなってしまった。例えばカメラのカタログに掲載されるカメラそのものの写真のように、レンズ前端からボディの後端の隅々まで完璧にピントの合った写真は、ティルトを使って撮ったもののはずである。そうでなければ、奥行きのあるカメラの隅々までピントを合わせることは不可能である。

 例によって今日の記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、恩田の森で咲き始めた椿。これまでの同類の写真と比べ、バックのボケがやけに汚い(目障り、鬱陶しいい)と感じたあなたは正しい。実はこれまで6年間愛用してきたのとは別のレンズで撮影したものである。このレンズについては、また別の日に書きたいと思っている。

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