三脚が必須(D800ファーストインプレッション3)

 サードインプレッションではなくて、ファーストインプレッションの続きの続き、第三回目にして最終回である。

 昨日、D300では問題とならなかった(露呈しなかった)僅かな手ブレも判ってしまう程D800(取り分けEモデル)は高解像であると書いた。手ブレを起こさないための最も簡単な方法は、今ではVR(Vibration Reduction、ニコンの場合。キヤノンはIS(Image Stabilizerなどメーカーによって呼称は異なるが、レンズもしくはカメラボディ本体に組み込まれた手振れを補正する機構)付のレンズを使うことだが、これとても完璧ではなく、古典的ながら(しっかりした)三脚を使用するのが最も確実な方法であるのは事実。

 Nikon(ニコン)ではD800とD800EのためにTechnical Guide(Click here)を用意しているのだが、その中で静止物、つまり風景や草花、「物」を取る時には三脚を使うことを推奨している。更に完璧を期すならば、ピントと露出をセットした後に「ミラーアップ」して撮影すると云うのが一眼レフの上級テクニックであったのは昔の話で、デジタル時代の今は「静止画ライブビューモード」での撮影が推奨されている(Technical Guide p.6)。

 D800のカタログにも掲載されている、シャッタースピード1秒で撮影されたフランス国会図書館内部の写真で解説されているのだが、ライブビューモードを使用していなかった時の作例の一部を拡大した画像を見ると、建物内部の柱や並んでいる書籍のエッジが確かに甘くなっている。一つ一つの撮像素子(画素)がこれまで以上に小さくなっていることから、μm単位の微細なブレまで記録されてしまうと云う事なのだろう。

 三脚を使ってライブビューモードで撮影すればまずは完璧と云う事なのだが、そう云う撮影スタイルが可能なシチュエーションと云うのは限られるが、フィルムを使うカメラで云えば「四の五」(「しのご」と読むみ、4インチ×5インチのシートフィルムを使うカメラのこと)やブローニーと呼ばれるロールフィルムを使う6×9、6×7、6×6、6×4.5等「中判」と呼ばれるカメラと同じ撮影スタイルがD800には求められると云う事だな。

 でも、これは郷秋<Gauche>には実に難しい。だってそうだろう。郷秋<Gauche>のスタイルは、毎週末近所の里山を、時に藪漕ぎをしながら10km程歩きながら200カット程撮影して来ると云うもの。肩にかけたカメラの他に広角ズームレンズとマクロレンズと一脚、更には飲み物と昼食、超小型とは云え湯沸し用コンロを加えると総重量6~7kg程を自力で担ぎながら、歩きながらの撮影である。一脚に替えて三脚持参となると総重量は10kgに近くなることだろう。無理である。

 そうは云ってもD800を使い続ける、D800の性能を使い切るためには、何がしかの対策が必要になることは云うまでもない。まずは一脚の利用促進と、手ブレを起こさない撮影スタイル(ポーズ)の徹底。多額の費用がかかるのですぐには無理としても、VR付の広角レンズとマクロレンズの導入は今後の課題となるな。やれやれ。

 なお、先にご紹介したD800とD800EのためのTechnical Guideは、静止物及びポートレート撮影時のテクニックを判り易く説明している。また、高い解像感を得るためのテクニック、モアレと偽色、回折現象と云った、ちょっと判りにくい部分についても解説されているので、D800/D800Eユーザー及び予備軍のみならず、写真を趣味とするすべてのデジタルカメラユーザーに一読される事をお勧めする。(Click here


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、小さな石仏を収めるためにコンクリートブロック数個で作られた小さな祠。いつも花が絶えない祠の前に更に枝垂れ梅が、文字通り花が添えていました。

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