福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

反対咬合第1期治療、その後

2023-05-04 | 歯並び、矯正の話

3年前ほどに、反対咬合の第1期治療を開始した1例です。



生え変わり遅めで、まだ乳歯永久歯が半々くらいの歯列。
噛み合わせは優先して治しましょうと言ってますが、思春期成長直前で下顎のズレがありますので、このタイミングです。



奥歯の前後的噛み合わせもズレていますので、第1期治療でできるだけ下顎の位置を改善したいところです。





上の歯並びの幅と前方への拡大を行いましたが、定期的な来院と調整がままならず、1年半ほどで妥協的に第1期治療終了しました。



リンガルアーチという保定装置で後戻りを防止しつつ、思春期成長の経過観察です。
噛み合わせが浅いので、多分第2期治療が必要と予測しています。
その後、1年半ほど来院が途絶え、久しぶりに再来院が最近です。



ここ1年半で、思春期成長期で、身長が20cm近く伸びたそう。
下顎の成長もシンクロする時期ですが、歯並び噛み合わせとも安定してます。
リンガルアーチは問題なく外れてもいませんでしたが、撤去して終了しました。



上下左右前後的にも下顎の位置は問題なく歯並び噛み合わせとも安定。多分、第2期治療は不要でしょう。
結果オーライ的でホッとしましたが、正直言って途中経過がどうだったか知りたい例でした。
さらに、下顎成長が終了したとは断言できないので、今後の経過観察も重要です。
虫歯歯肉炎の予防も含め、定期的に今後の来院をお願いしたいですね。



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早期矯正治療は噛み合わせの改善を優先

2023-04-28 | 歯並び、矯正の話

矯正治療では、歯並びと噛み合わせ両方が良好な状況になるのが基本です。
歯並びが気になるという患者さんが圧倒的に多いと思いますが、歯並びのみ綺麗にしても噛み合わせを考えていないと、必ず後戻りします。



反対咬合で早期治療が望ましい例を紹介します。
4歳の患者さんで、乳歯列です。
奥歯を噛み合わせると、しっかり下顎が前にズレます。



同時に、自分でここまで下顎を後ろにできます。
小児では下顎の関節部分が出来上がっていないため、結構下顎が前後左右に動きやすい状態です。
機能的に下顎が前方誘導されていると判断されます。




同時に歯のレベルでは、上の前歯が内側傾斜しています。
上の歯並びが、放物線型でなくスクエアですね。



下顎を後ろにした状態だと、上下奥歯は噛み合いませんが前後関係が改善します。
マウスピース装置(プレオルソ)などで、この時期にかみ合わせを改善しておくと、その後に有益に繋がります。
因みに同じ反対咬合でも、かみ合わせが浅く機能的要素が小さい場合は、少なくとも永久前歯が生え揃う8歳頃までは治療せずに経過観察です。



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遅めの第1期矯正治療の理由

2023-04-26 | 歯並び、矯正の話

上の歯並びが気になる患者さんです。現在11歳で、もう少しで永久歯列になる年齢です。



上の前歯付近のデコボコが目立ちます。
主としてデコボコの左右差で、上下真ん中が不一致です。



上の歯列は、全て生え変わったばかり。
暫くすると、後ろに第2大臼歯(12歳臼歯)が新たに生えてきます。



上の歯並びが下と比べてデコボコの患者さんでは、上の歯並びが相対的に小さい、反対咬合系の骨格&噛み合わせの場合が多々あります。
この患者さんもそうです。
思春期成長期に下顎の前下方の成長がありますので、全体的治療を考えると成長が落ち着いて10代半ばまで待つことが普通です。
ただし、この患者さんで上の歯並びを数年間そのままにしておくと、第2大臼歯の影響もあってデコボコ度が悪化します。
第2期治療は多分ありますが、あえてこの時期に上のみの歯並びを改善する計画としました。
歯並びは良くなりますが、反対咬合系の影響で、若干上の前歯が前傾した噛み合わせになるのは想定内です。



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噛み合わせ改善は、早期が望ましい

2023-04-12 | 歯並び、矯正の話

小学校半ばほどの患者さんで、噛みあわせが深く、上の前歯が出っ張ってばらけている患者さんです。



成長期前でまだ顎関節が完成していませんので、成長期の下顎成長を利用した下顎前方誘導は可能です。




犬歯や小臼歯部が次々と生え変わる時期です。
噛み合わせが深い故、下顎が後方に誘導されている奥歯の噛み合わせです。
この時期にマウスピース装置(プレオルソ)が効果的な典型例です。
装置使用で噛みあわせが上がる効果がありますので、上の前歯の内側移動も可能となります。
プレオルソはきちんと毎日するのはもちろん必要ですが、ワイヤー装置と比べて効果の個人差はあります。
しかしながら、永久歯になってからの全体矯正が不要になる可能性もあるので、この時期プレオルソを適用しないのはもったいないと思います。



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先天欠如歯例の矯正治療計画

2023-04-08 | 歯並び、矯正の話

どこかの永久歯に先天的欠如がある患者さんは珍しくありません。
統計的割合から言って、当院でも毎日数人が来院していることになります。
小児青少年の患者さんがほとんどなので、どのような永久歯列を育成するか将来計画を立てねばならない訳です。
欠損部位や歯並び噛み合わせの問題の有無によって、経過観察そして治療介入すべき時期は様々です。





10代半ばの患者さんですが、向かって左上の側切歯が先天欠如です。
先天欠如側に前歯が寄って、上下真ん中が不一致で、顎のズレでなく歯のズレです。
さらに前歯間のスペースも審美的に気になるところです。



実際はこの写真以上に出っ歯感があって、上下前歯は噛み合っていません。
奥歯の噛み合わせも、左右対称でしっかり出っ歯系で、ある種安定しています。
このような患者さんで、欠如がない場合は、通常上の左右第1小臼歯抜歯症例となります。
この患者さんでは向かって右上第1小臼歯抜歯で、出っ歯とスペース、上下真ん中の不一致は改善できます。
もちろん途中で再評価はしましたが、この時期まで何もせずに経過観察が適切な患者さんの1例です。


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矯正治療映えする1例

2023-04-06 | 歯並び、矯正の話

新年度、高校生になる女子の患者さん。
矯正治療前はなかなかの歯並びデコボコ。








骨格系を反映する奥歯の前後的噛み合わせはニュートラルなので、上下左右の第1小臼歯抜歯例です。
もともとかみ合わせが深く、抜歯例ではそのまま歯並び改善しようとすると、さらにかみ合わせが深くなります。
下の歯並びを整える途上で、上下真ん中は一致しているものの、左右の非対称性が明らかになりました。
上記の要素があったため、若干治療期間が長くなり2年かかりました。







このような患者さんは、治療し映えがある例と言えます。
矯正治療は所詮歯を移動するだけですが、ビフォーアフターで別人レベルになります。
治療期間が長かったので、装置撤去後に初期虫歯が出来ていないか心配でしたが、視診では問題なしでした。
今後メンテナンスのなかで、歯間虫歯のX線診査も必要と思います。まさに歯間虫歯が発生しやすい年齢です。
抜歯非抜歯に関わらず、2次元に歯並びを直すのはシンプルですが、噛み合わせとシンクロした歯並びをつくりあげて初めて終了となるので、それなりの期間が必要ということになります。




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第1期矯正治療の有効性

2023-04-03 | 歯並び、矯正の話

小児矯正では、乳歯の時期や乳歯永久歯が混在した混合歯列での第1期(早期)矯正治療が考えられます。
最終的には全て永久歯になって、顎の成長も落ち着いた時期に良好になっている状況を想定します。
患者さんの現状から、どの時期にどのように介入したら、将来安定した歯並び噛み合わせになるか、大まかに計画を立てます。
場合によってはまだしっかり診断できないので、情報が増えて将来予測ができるまで、介入せずに様子をみます。



小学校中程の患者さんで、混合歯列の後半になります。
上の側切歯が、矮小歯と呼ばれる細くて小さい形態です。
下の前歯が見えないくらい噛み合わせが深く、出っ歯系です。



またまた先天欠如歯がある患者さんで、下の向かって右側の側切歯が欠如です。



下の歯数が少ないので、若干歯並びが小さくなって、相対的に上の前歯の出た感じが強くなっています。
もともと骨格的にも出っ歯系と言えますが、下顎成長期前に噛み合わせを浅くして、下顎を前方に誘導できれば、その先の治療に有効と判断しました。
いつも口が開いており、下唇が上下前歯間に入り込みやすく、放置するとかみあわせの悪化が考えられます。
第1期治療で、1年〜1年半ほどマウスピース(プレオルソ)矯正を行います。
その後多分、仕上げの全体的矯正が必要ですが、第1期治療で随分重症度が緩和するでしょうから、次のステップが楽になります。
この患者さんは、第2期矯正治療前提で第1期を始める1例です。


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第2大臼歯の異所萌出

2023-03-29 | 歯並び、矯正の話

第2大臼歯はまたの呼び名が12歳臼歯で、乳歯が全て生え変わって以降に新たに増える奥歯です。
奥に出てくるので、時々親知らずが出てきた〜と勘違いされますが、親知らずは出てくるとすれば、さらに後ろで18歳頃になります。
第2大臼歯が良好な位置に出てこない異所萌出は、上では外側に傾斜して出てきて、下と噛み合わない挟状咬合が殆どです。
下は前傾して手前の第1大臼歯に引っかかるようになり、そのまま充分に出てこないパターンが典型です。
下の親知らずも同様なパターンはよくあります。



中学生の患者さんで、いずれは全体的矯正治療が必要ですが、下左右の第2大臼歯が一応出てはいますが前傾したままです。
奥の第3大臼歯(親知らず)は形成途中ですが、数年間そのままにしておくと、奥から押して第2大臼歯の前傾度は悪化します。
その時点でも第2大臼歯を起こす治療は可能ですが、その前に親知らずを抜かないと、歯の移動はできません。
小臼歯より後ろの歯に装置を付けて部分矯正を開始していますが、数か月で改善すると予測しています。
それから全体矯正開始です。

こちらは別の中学生の患者さんです。
下両側の第2大臼歯が同様の症状です。

  

部分的X線写真ですが、1年ほど経過観察して状況は改善しないので、部分矯正治療をお勧めしました。
一般的に、全体的矯正は第2大臼歯が出てきて以降と説明していますが、出てくる前に治療を始めると、第2大臼歯がすんなり出てこない例があったりします。
特に下ではより厄介になりますので、結局治療期間が長引く可能性があるためです。



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混合歯列期のパノラマX線写真

2023-03-23 | 歯並び、矯正の話

小学生の時期で歯並びかみ合わせの相談があった時、この時期は乳歯永久歯が混在する混合歯列期です。
もちろん見た目の問題は、小児矯正を行なっている歯科医師として分かりますが、今後すべて永久歯になるまで問題がないかを診査することも、それ以上に重要です。
パノラマX線撮影と言って、口腔全体を1枚の写真で診査できる撮影法があります。
このX線写真で、現在と近未来の問題の有無を判別できる、大きな助けになります。



この患者さんは10歳で、前歯が生え変わって以降、犬歯や小臼歯が生え変わる時期がスタートしています。
噛み合わせが深く出っ歯系が気になるとの相談です。
通常はそろそろマウスピース矯正(プレオルソ)が適する時期です。
上のパノラマをチェックすると、下の第2小臼歯の形成が遅いこと、上の犬歯や第2小臼歯の方向や位置が良くないことが分かります。
このような問題の中で優先順位を決めて、矯正治療スタートのタイミングを検討します。
まずは上の犬歯&第1小臼歯の萌出誘導、それからマウスピース矯正、その後上下の第2小臼歯のマネジメントいう順になるかと思います。
このような問題がなければ、生え変わりもスムーズにいきますので、シンプルに適時のマウスピース矯正のみでOKということになります。



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歯並びかみ合わせと骨格

2023-03-21 | 歯並び、矯正の話

矯正治療の対象は、歯並びデコボコ(叢生)、出っ歯(上顎前突)、受け口(反対咬合)などが主で、歯並びと噛み合わせの問題が関連していることが殆どです。
早期治療は噛み合わせの改善が主ですが、個人の成長パターン改善は難しく、矯正治療の限界を感じます。



この患者さんは次年度は高校生になり、もちろん永久歯は全部生えていて、女子なので顎の発育もほぼ終了です。
永久歯の前歯が出て来る時期の初診で、前歯は全くかみ合っておらず、上の歯並びの幅が小さいため下顎をずらして奥歯が噛んでいる状況でした。
上の歯並びを拡大して上下のズレの改善後、ハビットブレーカーという舌が前に突出しないような装置を使い、上下前歯間の隙間もほぼ改善しました。
この患者さんは基本的に反対咬合系で、舌の通常の位置が低く、滑舌とか前歯の噛み方に問題があります。
舌の位置の改善のためのトレーニングもありますが、現実的にはなかなか改善するのは困難です。
初期治療が終了して7年弱成長の経過観察で、やっと全体的矯正が開始できます。



上と下の歯並びの大きさのアンバランスとデコボコ度が一致します。
反対咬合系の多くはかみ合わせが浅く、顔貌も面長で、それに一致しています。



上下前歯の中央は一致していませんが、これは上の歯のズレで、顎のズレはありません。
第1期のかみ合わせ治療が、功を奏しています。
上の歯並びは小さいものの、奥歯の前後的噛み合わせはそこまでズレていません。
もちろん抜歯矯正になりますが、上記の要素は、今後の治療にずいぶん助かります。
成長期の下顎の下前への伸びがより大きかったり左右の非対称が大きいと、歯の移動のみでは難しくなり、外科的に下顎を小さくする処置も必要になります。



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