平安夢柔話

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その時歴史が動いた 黒田如水特集

2007-03-02 16:08:53 | 歴史雑記帳
 2月28日午後10時からのNHK「その時歴史が動いた」は、私の大好きな武将、黒田如水が特集されました。「これは見るしかない!」と思い、テレビの前に座って 43分間、しっかり観ました。せっかくなのでちょこっとレポートしますね。

 番組のタイトルは、「天下は我が掌中にあり~黒田如水・もうひとつの関ヶ原~」 関ヶ原第三の男の秘策[というもので、主に関ヶ原合戦当時の如水の動向が取り上げられていました。そして、「その時」は慶長五年十一月十二日、この日は家康から如水に停戦命令が出た日…とのことでした。

 しかし、黒田如水に関しては、やはり秀吉の軍師として天下統一に貢献した話をなくして語れませんので、番組でもまず、如水の若い頃の話から始められていました。播磨平定、中国大変えし、九州平定、そして、その才気ゆえに秀吉からうとまれ、自ら隠居する話など、私も、うんうんとうなずきながら観ていました。

 やがて秀吉が薨去し、天下は再び乱れ始めます。大名たちは、石田三成を中心とする派閥と、徳川家康を中心とする派閥に分かれて対立するようになります。そんな中、如水は大いなる野望を抱くことになるのです。如水は今まで、自分の才能を他人のために使って「きました。でも、三成と家康が対立するこの時期に及んで、「今まで他人のために使ってきた才能を自分のために使ってみよう。」つまり、「三成と家康が争っている間に謀略を用いて天下を取ってしまおう」と考えたわけです。

 このことについては当ブログ内の「こちら」の記事でも触れましたので詳しいことは省略しますが、結果的には失敗に終わります。如水は、三成と家康の合戦は半年以上続く…と思っていたようですが、その意に反し、関ヶ原合戦は一日で終結してしまいます。

 ところで、私は今まで、「如水は関ヶ原合戦での家康勝利の知らせを受け取った時点で軍を解散し、天下を取ることをあきらめた」と思っていました。でも、今回の番組を観たところ、そうではなかったようですね。
 如水は関ヶ原合戦のあとも、「家康に味方する」という名目で、九州の石田方の城を攻略していたのだそうです。如水の息子、長政は家康軍に従って出陣していましたので、「家康に味方して石田方の城を攻略する」という、如水の名目は成り立つわけですよね。如水はわずか2ヶ月足らずで九州の大半を切り取り、残るは島津だけとなります。そして、島津攻略に出発しようとしたとき届いたのが、最初の方で書いた、家康からの停戦命令だったのでした。そこで、如水は仕方なく軍を解散したのでした。

 つまり家康は、如水の計画に気がついていたと言えそうです。しかし如水は、家康に「野心のない」ことを示したため、黒田家は筑前五十二万石をもらうことができたのでした。

 それにしてもわずか2ヶ月で九州の大半を切り取ってしまった如水はやっぱりすごい。もし、三成と家康の戦いが半年以上続いていたら、如水は大軍を率いて山陽道を上り、本当に天下を取ってしまったかもしれません。でも実際はそのようにならず、小早川秀秋の裏切りによって、関ヶ原合戦はあっけなく決着がついてしまいました。しかも秀秋を諜略したのは如水の息子の長政だったというのですから皮肉なものです。

 番組でも、「家康殿から握手をしてもらった」と喜んで話す長政に向かい、如水は「その時家康殿と握手した手は右手か、左手か」と聞き、「右手でした」と答えた長政に対して、
「その時、そちの左手は何をしていたのじゃ。」
と言ったという、有名なエピソードも紹介されていました。天下はきっぱりとあきらめて隠居に戻った如水でしたが、絶好のチャンスを逃してしまったことは、やはり悔しかったのでしょうね。

 その他、色々なエピソードが紹介されていましたが、「さすが如水」と思ったのはラストの方で紹介されていた次のエピソードです。

 最晩年、病の床についた如水は家臣たちのことを口汚くののしるようになります。「そんなにののしらなくても…」と言う長政に対し如水は、
「早くそちの時代になるよう、わしは嫌われた方がよいのじゃ」
と、こっそり言ったそうです。自分が死んだあとの次の代の黒田家のことをしっかり考えているあたり、やっぱりすごい。

 というわけで、番組を観て、如水のことがもっと好きになりました。「播磨灘物語(司馬遼太郎)」「小説 黒田如水(童門冬二)」などの如水の生涯を描いた小説、それから番組のゲストで出演されていた安部龍太郎さんの、関ヶ原前後の如水を描いた「風の如く 水の如く」もまた読み返してみたいです。

 ところで、「いつか如水を大河ドラマで取り上げて欲しいなあ。」と言う私に対してだんなさんは、
「黒田如水は有名ではないし、戦国時代に中心になって活躍していたわけではないから無理だ。」
と言いました。それで私は、
「そんなことを言ったら山本勘助だって同じじゃないかな。あの人だって武田家の軍師だから、天下の表に出て活躍はしていないでしょう?それなのに大河ドラマになったじゃないの。」
「勘助は武田家と一体だ。だから信玄というとすぐに勘助が連想される。でも、秀吉と言って黒田如水を連想する人はあまりいないんじゃないかな。それに、最後に天下を取ろうとしたようだけど結局は失敗している。こういう武将はドラマの主人公としてはあまり魅力がないな。

 言われてみればそうかも…。でも、如水を主人公にした小説はわりと多いし、何よりも彼が生きた戦国時代後期は人気のある時代だし…。平安大河よりは可能性があるかもしれません。気長に待っていようと思います。

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