平安夢柔話

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大河ドラマ「篤姫」のこと

2008-12-17 11:47:15 | 歴史雑記帳
 今年の大河ドラマ「篤姫」が14日に最終回を迎えましたが、平均視聴率が24%を超えたそうで、過去10年間の大河ドラマでは最高視聴率だったそうです。幕末を舞台にした大河ドラマはあまり視聴率が良くないということを聞いたことがあったので、なぜこれほどの視聴率を記録できたのか、私なりにちょっと考えてみました。

 まず第一に、幕末の複雑な歴史事項にあまり触れなかったことが一般受けしたのだと思います。
 実は私、日本史好きを自称していますが、幕末の歴史にはとっても弱いです。だいたい、桂小五郎と木戸孝允が同一人物だったことさえ知らなかったのですから…。あと、佐幕派とか勤王派という言葉の意味がよくわからなくて、拒否反応を起こしてしまうのです。最もあとでも触れますが、このことは幕末ファンにとってはかなり不満だったと思うのですが…。

 第二に、あくまでも篤姫を中心とした大奥の女性たちの視点から描いたというところ、つまりホームドラマ大河だったということがわかりやすかったのだと思います。第三には、これは家定に嫁ぐまでの篤姫が現代的だったということが親しみやすかったのでしょうね。

 以上、三つの理由から、幕末にはうとい私もある程度楽しむことができたドラマでした。…というか、途中からドラマの見方を変えたので、楽しむことができたのかもしれません。

 実は私、20年ほど前にこのドラマの原作本、「天璋院篤姫(宮尾登美子著 講談社)」を読んだことがあるのです。多分、幕末をあつかった歴史小説の中で読んだことのある唯一の作品だと思います。ただ、内容は所々しか覚えていなかったので再読しようかとも思ったのですが、「やはりここは原作は読まないでドラマを楽しもう」と思い、再読するのをやめてしまいました。

 それで歴史ドラマとして「篤姫」を見始めたところ、確かにわかりやすくて面白いと思ったのですが、篤姫があまりにも現代的ではちゃめちゃな姫様なので呆気にとられてしまいました。だいたい身分制度が厳しく、「男女は7歳になったら席を同じくせず」という時代に、分家とはいうものの島津の姫様が、家老の息子とあれほど仲良く歩き回っているわけがない…と思ったのです。
 最もこのドラマは、篤姫と小松帯刀の友情がキーポイントになるとも聞いていたので、それを言ったらおしまいなのかもしれない、それならこのドラマは歴史ドラマではなく、フィクションだと思って見て見ようと決心したのでした。
 それで、幕末の歴史にうといことも幸いし、ある程度楽しめたのかもしれません。篤姫と家定の心の交流についても、「こんな事はあり得ない」「描き方が原作と違う」とも思いつつ、結構感情移入して見ていました。特に家定の優しさにはちょっとときめいてしまいました。そのため、家定が亡くなった回は寂しかったです。

 しかし、そんな風にフィクションだと思って見ていても、やはり所々気になることはありました。例えば徳川慶喜の描き方がその一つです。島津斉彬の一派があれほど強く将軍に推した慶喜を、あれほど情けない人物に描く必要があったのでしょうか。
 確かに実際の篤姫も、慶喜をものすごく嫌っていたのだそうです。これは原作本に書いてあったのですが、篤姫は「家茂は慶喜に毒殺された」と思いこんでいたのだそうです。これは作者の宮尾さんが小説の執筆当時、まだ生存されていた家達の娘さんから取材した話だそ、うなので確かだと思います。そんな篤姫が、慶喜の助命嘆願なんてしたのかしら?と、疑問に思いますし…。
 つまり、ドラマでは篤姫の都合の良いように慶喜のキャラクターを描いているように思えるのです。
 ちなみに、原作を読んだのが大昔なのでうろ覚えなのですが、原作の慶喜は篤姫に嫌われていながら、読者から見ると何となく魅力的な人物に描かれていたように思えます。

 それと、幕府軍と政府軍の戦いが江戸城の無血開城で終わったように描かれていたのも疑問です。会津や函館ではまだ戦いが続いていて、たくさんの方が戦死しました。このあたりにナレーションでも全く触れていないことに、幕末好きの方はかなり怒っていると思いますよ、N○Kさん…。
 あと、重要な歴史事項もたくさんカットされていたようです。ナレーションでも全く触れなかったとか。これでは肝心の幕末好きの方々は全く満足していないのではないでしょうか。そうです、私が2005年の大河ドラマ「義経」に満足できなかったように…。もし紫式部が大河ドラマになったとして、中関白家の悲劇が丸ごとカットされたり、紫式部と清少納言が同じ時期に彰子と定子に使えていたりしたら怒ります。

 確かに一般受けして視聴率は良かったかもしれませんが、やはり「篤姫」を一番楽しみにしていたのは幕末が好きな方々だったと思うのです。なので、もうちょっとそのあたりを考えて欲しかったですね。それと、NHKの大河ドラマは影響が大きいので、知らない人はドラマが全部史実だと思ってしまいます。私も、「篤姫」に描かれたことが全部史実だと誤解しそうになりましたし。

 …と、色々勝手なことをとりとめもなく書いてしまいましたが、そろそろまとめといきますね。

 私は、ホームドラマ大河やフィクション、わかりやすいストーリーが悪いとは決して思いません。「篤姫」はフィクションのドラマとしてはかなりよくできていたと個人的に思っていますので…。
 でも、重要な歴史事項はナレーションでもいいので説明して欲しいですよね。それができなくて、史実を無視したり、主人公に都合の良いように他の人物の行動やキャラクターを変えたりするのであれば、「このドラマはフィクションです」というテロップを流して欲しいなあ…と、これは「義経」の時も感じたのですが、そんなことをふと思ってしまいました。

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