アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

アクロイド殺し

2011-08-11 10:06:47 | 
『アクロイド殺し』 アガサ・クリスティー   ☆☆☆☆  最近、クリスティーやクイーンの、いわゆる黄金時代の海外本格ミステリを無性に読みたくなって鋭意再読中である。一時期この手の小説にはまったく興味を失っていたが、あらためて読み返してみるとやっぱり独特の愉しさがあっていい。最近の日本のミステリとも違う愉しさである。この『アクロイド殺し』は言わずと知れたクリスティーの代表作の一つであり、「意外な犯 . . . 本文を読む

越前竹人形

2011-08-09 10:12:15 | 映画
『越前竹人形』 吉村公三郎監督   ☆☆☆☆★  美しいDVDパッケージに惹かれて購入。モノクロ映画である。山の中の寒村が舞台。夫婦愛の話かと思ったら、かなり残酷なおとぎ話だった。音楽など、ところどころホラー調といっていいくらいだ。DVDにポスターが同梱されているが、そこに「異常な純愛」というキャッチフレーズが書かれている。「異常な純愛」ってなんだべ? と思ったら、確かに異常だった。  竹細工 . . . 本文を読む

Yの悲劇

2011-08-07 21:17:24 | 
『Yの悲劇』 エラリー・クイーン   ☆☆☆☆☆  『Xの悲劇』に続き『Yの悲劇』を再読。昔はこれが海外ミステリの最高傑作と言われ、その種のランキングでは大抵1位だったものだ。私もランキング1位の『Yの悲劇』を読んでみようと思ったのが推理小説を読み始めるきっかけだった。が、最近ではその神通力にも陰りが出てきたらしく「実は大したことない」「過大評価されてた」という意見もあるらしい。しかし今回ものす . . . 本文を読む

Xの悲劇

2011-08-05 22:09:18 | 
『Xの悲劇』 エラリイ・クイーン   ☆☆☆☆★  再読。これは私が中学生の頃本格ミステリにどっぷりハマるきっかけとなった作品で、ものすごくなつかしい。エラリー・クイーンがもともとバーナビー・ロスという別名で書いた「悲劇」四部作の第一作目である。このあと「Yの悲劇」「Zの悲劇」「レーン最後の事件」と続く。当時ういういしい中学生だった私は本格ミステリの傑作と言われるものを一つだけ読んでみようと突然 . . . 本文を読む

妖精の森

2011-08-03 14:42:01 | 音楽
『妖精の森』 アイン・ソフ   ☆☆☆☆  これは日本のプレグレッシヴ・ロック・バンド、アイン・ソフが1980年に出したデビュー・アルバムである。全曲インストルメンタル。最初に聴いたのは大学生の頃だったが、その頃はイエスやクリムゾンあたりのプログレにどっぷりハマッっていて、ジャズ・ロックにはあまり興味がなく「なんだか品が良すぎて印象薄いなー」としか思わなかった。その割にはたまーに引っ張り出して聴 . . . 本文を読む

愛国殺人

2011-08-01 00:03:00 | 
『愛国殺人』 アガサ・クリスティー   ☆☆☆  クリスティーのミステリを再読。今回の趣向は、歯医者と患者たち。つまり、ある日ロンドンの歯医者を色んな人々が患者として訪れる。政治的な要人、突然歯が痛くなった中年婦人、謎のギリシャ人、凶暴な顔をした青年、そして世界的な名探偵エルキュール・ポアロも。その直後、歯医者が死ぬ。自殺か、他殺か。犯人は患者の中にいるのか、それとも…。  歯医者というアイデ . . . 本文を読む