『男はつらいよ 純情篇』 山田洋次監督 ☆☆☆★
シリーズ第6作目。マドンナは若尾文子である。小説家の妻だけれども夫とうまくいかず家を飛び出してとらやに下宿し、従業員となる。そこに寅が帰って来て、例のごとく騒動となる。
若尾文子は文句なく美しいが、あまりに堂々としていてちょっと付け入る隙がない感じだ。この超然とした感じは第一作のマドンナ・冬子を思わせる。寅はふられるべくしてふられる。た . . . 本文を読む
『ロボットと帝国』 アイザック・アシモフ ☆☆☆☆
『夜明けのロボット』に続くロボット・シリーズ第五弾、『ロボットと帝国』。再読。
これまでロボット・シリーズの主人公だった地球人イライジャ・ベイリがついに主人公の座から退き、本作ではダニールとジスカルドが堂々の主役となった。イライジャはすでに亡くなり、前作『夜明けのロボット』の結果として地球人たちが宇宙に進出しつつある時代の話だ。とはい . . . 本文を読む
『ペドロ・パラモ』 フアン・ルルフォ ☆☆☆☆☆
再読。作者のルルフォはメキシコ人で、その生涯において長編小説を一つと短篇集を一冊しか書かなかったが、そのいずれもがラテンアメリカ文学、いや世界文学の歴史において真の偉業と呼ぶべき高みに達している。驚くべき作家である。あとがきに書かれているが、本書はマルケスの『百年の孤独』と並んで「ラテンアメリカ文学の最良の作品」に選ばれた。重厚長大な『百年 . . . 本文を読む
『稲妻』 成瀬巳喜男監督 ☆☆☆☆☆
最近、成瀬映画にはまっている。気分の問題なのか季節のせいなのかはたまた歳のせいなのか、黒澤より溝口より、成瀬が心地よいのである。このじんわりと来る感じがたまらない。『めし』なんてもう何度観ても飽きない。で、これも傑作という評判の『稲妻』を観た。
これは基本的に腹が立つ映画である。主人公の清子(高峰秀子)を取り巻く人間模様を描いたホームドラマなのだが . . . 本文を読む