『乾いた花』 篠田正浩監督 ☆☆☆☆
1964年のモノクロ映画。日本版のフィルム・ノワールである。クライテリオン版のブルーレイで鑑賞。
主演は池部良と加賀まりこ。人を殺して刑務所に入っていたヤクザ・村木(池部良)は三年ぶりに出所し、賭場で虚無的な娘・冴子(加賀まりこ)と出会う。生きることは退屈だという冴子はその賭場に飽き足らず、もっと大金を賭けられる賭場はないかと村木に尋ねる。村木は冴 . . . 本文を読む
『座頭市』 北野武監督 ☆☆☆☆
最近、『アウトレイジ最終章』の公開に合わせてたけしの映画が軒並みブルーレイで再発されているようなので、手持ちのDVDのうちお気に入りのものをいくつか買い替えつつある。これもその一つ。たけし映画としてはかなりエンタメ寄りで、一説によれば本人はあまりやる気がなくお仕事として受けた企画だというが、私は結構好きである。
座頭市といえば勝新太郎だが、本作は勝新の . . . 本文を読む
『パターソン』 ジム・ジャームッシュ監督 ☆☆☆☆☆
iTunesのレンタルで鑑賞。最近観た映画の中では文句なく最高であるとともに、最近観た映画と限定しなくてもほぼ完璧な美しさを備えた、オールタイムベスト級の映画である。ジム・ジャームッシュ監督作品中では『ストレンジャー・ザン・パラダイス』に並ぶか、あるいはそれ以上の出来だ。
主人公はアメリカのニュージャージー州パターソンに住む、パター . . . 本文を読む
『八甲田山』 森谷司郎監督 ☆☆☆★
新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』がとても面白かったため、これはやはり映画も観なくてはと思い日本版ブルーレイを購入。それなりに面白かったが、やはり原作の面白さにはかなわない。これはブルーレイを購入するまでもなかったかも知れない。
良いところは、まず何と言っても名優がゾロゾロ出てくる。豪華きわまりない。男優陣は高倉健、北大路欣也、三國連太郎、小林桂樹 . . . 本文を読む
『今度は愛妻家』 行定勲監督 ☆☆☆
日本版DVDを購入して鑑賞。泣けると聞いて観てみたが、確かに泣けた。ほとんど反則技と言っていいぐらい泣けた。要するに夫婦愛の話で、豊川悦司と薬師丸ひろ子が夫婦を演じているが、特に奥さんと悲しい別れを経験している男性は要注意である。滂沱の涙で前が見えなくなる可能性がある。もしくは号泣。それぐらいキます。
と同時に、この映画は叙述トリックものでもある。 . . . 本文を読む
『おとうと』 市川崑監督 ☆☆☆★
名作と名高い『おとうと』を日本版DVDを購入して鑑賞。このところ私はなぜか市川崑づいていて、『鍵』や『ぼんち』や『細雪』を再見して以前見た時より感動を深めたため、とりわけ評判が高いこの作品に手を伸ばしたのである。1960年のキネマ旬報ベストテンで第一位となっている。ちなみに、同監督の『鍵』は前年のキネマ旬報ベストテンで第九位。
結論から言うと、『鍵』 . . . 本文を読む
『ディア・ハンター』 マイケル・チミノ監督 ☆☆☆☆☆
マイケル・チミノ監督の出世作にして第51回アカデミー賞受賞作品。ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞も獲っている。映画史に残る傑作であると同時に、約3時間の大作である。従って、あまり気軽には観れない。私は今回日本版ブルーレイを購入したのを機に、十数年ぶりに鑑賞した。
題材はベトナム戦争である。アメリカの田舎、ペンシルヴァニアの鉄工場 . . . 本文を読む
『花様年華』 ウォン・カーウァイ監督 ☆☆☆☆
要するに絢爛豪華なメロドラマなのだろうと思って観たら、結構ユニークな方法論を持つ映画だった。個人的にはかなり愉しめた。舞台は1960年代の香港。本作の雰囲気をキーワードで並べてみると、レトロ、アジアン、アダルト、官能的、チャイナドレス、というところだ。映像も実に美しい。
主人公は新聞社勤務のチャウ(トニー・レオン)、ヒロインは商社の社長秘 . . . 本文を読む
(前回からの続き)
さて、草笛光子はやはり芸妓だが、古風でいじらしい女の役である。まだ若くて、目がちょっと垂れ目気味なのが愛らしい。後の「おかみさん」的な草笛光子のイメージからはちょっと想像が難しいが、私はこの役柄で初めて草笛光子に女の可愛らしさを感じた。はっきり言って、この映画に登場する女たちの中で一番好みだったのはこの草笛光子だ。ちょっと引っ張ると簡単にほどける帯をつけて、「何やこれ?」 . . . 本文を読む
『ぼんち』 市川崑監督 ☆☆☆☆☆
日本版DVDで再見。市川雷蔵主演。市川雷蔵は眠狂四郎シリーズで有名な二枚目俳優だけれども、私は眠狂四郎シリーズを観たことがないせいか顔立ちがよく分からない。で、この映画を観たわけだが、二枚目半的な役柄のせいか取り立ててイケメンという感じはしなかった。確かに整った顔立ちではあるが、昔のわりと育ちがいい日本人男性の顔立ちという印象で、今でいうところのイケメン . . . 本文を読む