『愛ゆえに』 10cc ☆☆☆★
『How Dare You!』に続く10cc5枚目のアルバムである。前作を最後にゴドレー&クレームが抜け、エリックとグレアムの二人10ccとなったわけだが、その影響はサウンド面に如実に現れており、デビューアルバムから前作まで10ccを10ccたらしめていた過剰な実験精神がぐっと後退している。そのかわりに前面に出てきたのがメロディアスなラブソング路線である。 . . . 本文を読む
『BOAS FESTAS』 小野リサ ☆☆☆☆☆
そして達郎に続いてもう一枚のお気に入りクリスマス・アルバム、小野リサの『BOAS FESTAS』。
ボサノヴァである。クリスマスにボサノヴァは似合わないという人もいるかも知れないが、これが結構オツなもので、そこに小野リサの美しいウィスパー・ヴォイスが乗るとなればもうぐうの音も出ない。嘘だと思ったらこのアルバムを聴いて欲しい。大体において . . . 本文を読む
『Season's Greetings』 山下達郎 ☆☆☆☆☆
メリークリスマス。
というわけで、クリスマス・アルバムを紹介したいと思う。私のお気に入りのクリスマス・アルバムは二枚あって、一枚は山下達郎の『Season's Greetings』、もう一枚は小野リサの『Boas Festas』である。二枚とも日本人アーティストの作品だが、この二枚の優美さ、深遠さに比肩できるクリスマス・ア . . . 本文を読む
『Avalon』 Roxy Music ☆☆☆☆☆
ロキシー・ミュージック最後のアルバム。ブライアン・フェリーのダンディズムとヨーロッパ的美意識が極限に達したような桃源郷サウンドが詰まっており、ロック史上名盤の一枚に数えられている。
坂本龍一が渡辺香津美のアルバムをプロデュースした時、ジャズ的な方法論を打ち破り「少ない音数の中にある豊穣さ」を示唆するためにロキシーの曲をやらせた(そして . . . 本文を読む
『Earthbound』 King Crimson ☆☆☆☆
キング・クリムゾン中期のライブ盤。カセット録音ということで非常に音質が悪く、長いことCD化もされていなかった。最近リマスターされて発売され、音質も多少は改善されたようだがもともと海賊盤みたいなものなので、クリムゾン初心者にはお薦めできない。ラインナップは『アイランズ』期クリムゾンで、ヴォーカルとベースがボズ、ドラムがイアン・ウォ . . . 本文を読む
『LIFE』 小沢健二 ☆☆☆☆☆
これもまたJ-POP史において欠かせない名盤である。J-POPと言っても小沢健二はソウル・ミュージックをはじめとする色んな洋楽を咀嚼し、完全に自分のものにしているので、決まったコード進行とはやりのサウンドで似たような曲を量産するいわゆるJ-POPの線の細さとは無縁だ。このアルバムを聴いても、それぞれの曲の背後に広がる豊穣なルーツ音楽の匂いがぷんぷんにおっ . . . 本文を読む
『Reflections』 寺尾聰 ☆☆☆☆☆
ご存知、寺尾聰のファースト・アルバム。名盤である。一曲たりとも捨て曲がないのは当然で、聴き込めば聴き込むほどに凄さが分かってくる。なんといっても曲がいい。『ルビーの指輪』が大ヒットしたようにどの曲もキャッチーで親しみやすく、それでいながらどことなくヨーロピアンな、洗練されたロマンチシズムを漂わせている。曲のタイトルや歌詞もそれを意識してか、映 . . . 本文を読む
『サンヒローのオリアス』 ジョン・アンダーソン ☆☆☆☆
イエスのヴォーカリスト、ジョン・アンダーソンが1976年に発表した初ソロ作。当時イエスは『リレイヤー』を発表し大作主義の真っ只中にいた頃で、このジョンのソロもイエスのリーダーにふさわしく実に壮大なファンタジー絵巻になっている。トールキンのファンというジョンの趣味全開で、アルバム・ジャケットからもそれは伺える。なんでもこれはサンヒロー . . . 本文を読む
『A Song for You』 Carpenters ☆☆☆☆☆
カーペンターズといえば昔ヒット曲を連発したポップス・デュオ、というイメージでなんとなくベスト盤を持っていれば充分と思われがちなアーチストであり、また実際似たようなベスト盤がこれでもかと大量発売されているが、優秀なコンポーザー兼アレンジャーであるリチャードを擁するこの職人的ユニットの真価は、やはりオリジナル・アルバムを聴かな . . . 本文を読む
『Hejira』 Joni Mitchell ☆☆☆☆☆
邦題『逃避行』。傑作である。モノクロのジャケットがとても美しいが、中に詰まっているのもこのジャケットから想像されるまさにそういう音楽だ。一曲目のイントロが流れ出した瞬間、ギターとパーカッションが溶け合った涼しげかつ甘やかな響きにはっと目が覚めた気分になる。自在にハーモニクスを操るフレットレス・ベースはジャコ・パストリアス。ジョニ・ミ . . . 本文を読む