江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

芸を奉納する

2015-03-20 00:32:14 | 日本の文化について
「遊動論」と言う本によると、
神道の基本は土地神なのだと、柳田國男は考えていた。
だから、明治政府が国家神道に統一することに、反対していた。
統一することによって神道そのものが乱れるだろうと予想していた。
実際、土地神を祭っていた神社が、数千と言う単位で潰されたのだそうだ。
そして徴兵制で第1次産業の大事な担い手を兵隊にすることで
農村は崩壊していくと、彼は考えた。
現在全国に広がる限界集落や、消滅危機都市は
実は明治政府の政策に、端を発しているのかもしれない
と、私は思ったりする。

我が家の周りを見ると、
畑はどんどん潰され、住宅が新しく建てられていっている。
そしてその周りは、ゴミの投げ捨てが目立ってくる。
土地に根差した生活があるわけでないから、
その心が表れてくるのかなと、思っている。
もちろん祭りはない。
祭りの必要性なんて、誰も考えないだろう。

神道が土地神を祭るのだから、個人の拠り所にはならない。
だから仏教は神道の隙間を埋めたので、
一気に広まっていったという説がある。
日本人にとって神道も仏教も、必要不可欠なものだったと言えるのだろう。

私は江戸の芸を継承している。
けれども私は、江戸っ子ではない。
そこになんとも落ち着かない気持ちがあった。
そんなところに、芸能上達の神様の被官稲荷に奉納しないかと
浅草の土地神様を祭る浅草神社からお声を掛けて頂いたときは、嬉しかった。
少し”江戸”に近づけるかと期待したからだが、
2度目の今年も、まだぎこちない。
奉納の経験は被官稲荷だけではないのだが、
目に見えない神様に向かって遣うというのは、
妙に緊張するものである。
これも、続けることが大切なのかもしれない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 異質な組み合わせ | トップ | 芽吹くとき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本の文化について」カテゴリの最新記事