江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

3人の彫刻家 そして

2022-11-07 01:33:06 | 日本の文化について
今はアイヌがブームなのだという。
トンコリ奏者のOKIさんも言っていた。
ゴールデンカムイの大ヒットのお陰もあるだろう。
ブームは、いずれ忘れられるだろう。
でもアイヌは、ブームで終わってはいけない。

私は旭川の出身だ。
学校の近くにアイヌコタンがあったはずなのに、
私はアイヌのことを何も知らなかった。
30年ほど前から私の中でアイヌがテーマとして持ち上がり
知人の協力もあって資料を集め、こつこつ読んでいたのだが、
ウポポイができるときのドキュメンタリーや
藤戸竹喜の展覧会に行ったことが引き金になって
先週実家の冬支度に帰った時、
思い切って阿寒湖を尋ねた。これが良かった。



藤戸が小熊と戯れている写真がある。
アイヌコタンに、何かその雰囲気、何か感じられないかと
しかももしかしたら藤戸の作品に出会えるかもしれない
そんな期待を持って向かい、途中木彫をしている人がいたから尋ねると
店を教えてくれた。
入ると目の前に展覧会で出会った作品がある。
つい私は興奮してお店の人に話しかけたら
その方は藤戸の奥さんだった。
以前は一般に公開していたけれども
いたずらされたので、今は止めているのだという。
でも私の興奮が伝わったのであろうか、
あなたたちならと、見せてもらえた。




ああ、展覧会で出会った木彫たち、
展覧会場は距離を置かなければならないのに、
ここでは好きな距離で見られる!
益々テンションは上がる。
するとそこからほど近いところの鶴雅ホテルでも展示されていると
教えてくれた。
行くと結構の数が展示されている。
そしてそこに、彼が最も得意としていた熊が数点展示されていた。
展覧会では、木彫にもかかわらず毛並みの感じがリアルで
触ってみたい欲望を押さえるのに苦労したが、
このホテルには、さえぎるものは何もない!
思わず熊の背中に手を置いていた。



藤戸が彫り進めていくときの感触が伝わってくればと思ったのだが、
凡人の悲しさか、それは何もなかった。
ただただ充足感に満たされていた。

その展示場に行く手前に、滝口政満の作品があった。
彼は3歳の時に聴覚を失い、聾学校で木彫と出会い
阿寒湖に移り住んでいる。
彼は風をテーマに多数作品を残している。
見ていると、彼が皮膚で感じる風を描写したような作品だ。
写真に撮ると、どうもちんけになってしまう。



藤戸と同時期に砂澤ビッキという彫刻家がいた。
旭川の出身で、カナダに留学し、先住民族から刺激を受け
帰国後あちらこちらにトーテムポールを作る。



何の施しもしていないから、朽ちていく。
彼はそういうことを尊重し、今では残っていない作品も多いと聞く。
見てみたいと思っていた。
それが旭川の川村カ子トアイヌ記念館を訪ね
僅かだが展示されているのに気付いた。
面白い。

3人の作家それぞれに特徴があり、
それぞれが生きているのである。
大満足した。

そして
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 11月のスケジュール | トップ | そして »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本の文化について」カテゴリの最新記事