江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

子どもたち

2024-01-11 01:51:08 | 大道芸
今回のさいたま大道芸フェスタは、子供たちが多かった。
しかもよく見ていた。
そしてとりわけ4回目が面白かった。

舞台になるシートを敷くとすぐに、一直線に座る。
ちょっと舞台に近いので少し離れてもらう。
中に一人、ちょうど真ん中に座った子が、
少しだけ前に出ている。
同じジャンバーを着ているので弟と思しき子が
盛んに下がるように言うけれども、動かない。
「かっぽれ」を遣い始める。
飛び出た子の隣の子が、食い入るように見ている。
「解説」になると、糸が手板のどこに付ついているのか見ようと
身を乗り出して、飛び出している子と並んだ。
これは面白いと思い
人形の遣い方を言うところでこの二人の子に絡んだ。
すると私の背後で見ていた子や客席奥で見ていた子らが
一斉に前に詰めてきて、ちょっとした人数になった。
そのまま「酔いどれ」に入ったのだが、
子どもたちはひしめき合いながら前へ前へと迫ってきて
ついに膝がシートに乗るくらいまで迫ってきてしまった。
かみさんが前に出てきて離れるように促しても
動きゃしない。
私は笑ってしまった。
そしてパレスチナを回ってオリーブ山に行った時を
思い出していた。



この時は600人もの子供たちが来て、
見づらくて押し合いへし合いが始まって
子どもたちが舞台に乗ってしまった。



人数に大きな違いはあるけれど、
私には同じに感じてしまうのだ。

子どもたちは、生まれたところの環境や文化・宗教、
言語や肌の色がどう違おうと、
生まれたときの感覚や感性は同じなのではないかと思っている。
それがそれぞれ成長していくうちに別れていくのだ。

そして今のパレスチナを思う。
「ガザに平和を」
そう言って、祈りを込めて「獅子」を舞わす。

人はどうしてこんなにも残虐になれるのだろう。
ホモサピエンスがグレートジャーニーで世界に散っていき
各地でネアンデルタール人や原人らと交わるのだが、
発掘された骨を見ると、戦った傷跡がないのだそうだ。

「獅子」を遣い終わった時の拍手、
獅子で頭を噛んで回った時の笑顔、
とても掛け替えのない時を過ごしていると感謝しかない。

被災地や紛争地に一日も早く平安な日が来ますことを。
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大道芸

2023-11-16 22:04:32 | 大道芸
海外での大道芸の経験は、結構あるのだけれども、
体当たりで行なったのはウィーンの2か所だけ。
シュテファン通りとシュテファン寺院前の広場。
驚いたことに人形を遣っている間、
ずっと小銭がざるに投げ込まれる音が続いていた。
ブラジルでは受け入れ団体にお願いして
大道芸の場所を探してもらった。
どうやら使用許可が必要だったようだ。
サンパウロ、リオデジャネイロ、ベレンなど
ボリビアはサンタクルス、ペルーはリマで。
どこもとても印象深くて、
一つ一つが一つの記事になるくらいだ。

大須大道町人祭にはコマタンという
22歳になる曲独楽の芸人が出演しているが、
彼は16歳から海外に出て、独楽一筋で渡り歩いてきたという。
だから技術はしっかりしているうえにリズムが良く、
スキがない。感心してしまう。
世の中にはすごい人がいるもんだと思った。

するとイタリアで一緒だった岩崎圭一というマジシャンの記事を見つけた。
残念ながら彼のステージを見ることはできなかったが、
その後イタリアのテレビ番組でマジシャンコンクールがあって
彼が優勝したと知り、感心した。
ちょっと猫背、いつもにこにこしていて、人の好さが前面に出ている。
その彼が『無一文「人力」世界一周の旅』という本を出した。



路上でマジックを披露しながら、
自転車や手漕ぎボートなど「人力」で世界一周を目指して旅を続ける姿を
描いたノンフィクション
と記事にある。
写真はインドのコルカタでの様子。

海外では
ラジカセをかけながら踊っていたら、
そのラジカセを取られてしまったとか、
私の場合一演目終わるたび一番前で見ていた靴磨きの子どもが
投げ銭用のざるの中を覗きに来たりしていた。
彼はどんな経験をしてきたのだろうか。
興味のある方はどうぞ本を読んでみてください。
幻冬舎刊 1980円
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韓国・チョンジュ 大道芸

2023-11-03 00:49:14 | 大道芸
韓国での1週間は、幸せなことにすべて天候に恵まれた。
そして日曜日は大道芸。
会場はレストランの前の駐車スペース。
こんなに人が集まるとは思いもしなかった。



本来なら通訳付きで人形の解説も行い
最後に獅子で頭を噛んで回り30分に収めるのだが、
ある出演者が、どうしても15分オーバーするというので
私の方で詰めることになった。
私の後はグレゴ氏
ますます人は増えて、
レストランの入り口を完全に塞いでしまっている。



予定通り進み2回目の準備を行っていると、
なんと2回目は中止という。
レストランの店主が、客が入らないからやめてくれと
怒っていたのだという。
えーっ、私たちのせいですか?
関係者一同、異口同音に口にしていた。

プログラムを見てやってくる人もいるだろうからと、
写真撮影に応じることになったのだが、
どうもそれだけではつまらない。
グレゴ氏の演奏に合わせて人形が踊るのはどうかと
提案し、Swing,swing,swing をやることにした。

人形を持って会場に戻ると、
まだ時間があるからとベンチに座っていた責任者が
譲ってくれた。
そこで人形を座らせると、ちょっと良い感じ。



写真は責任者とグレゴ氏で、記念にと撮ったものだが、
人形だけだと自然と人が集まり
なんか良い雰囲気になる。
何故かは、わからない。

1回目の会場に近いところで写真撮影に応じていたグレゴ氏と合流。
適当なところでコラボを始めるが、
これがまた楽しい。
観客も盛り上がる。
ところが残念なことに、私のネタ不足で
3分も踊っていると振りが出尽くしてしまい、
後は同じ振りの繰り返し・・・
でも良かったのか、
1曲でやめようと思ったら、主催者がもっとやれと、あおる。

その後人形に通りを歩かせる。
いろんな人が写真を求める。
並ぶだけでなく、いろんなポーズをとる。
時には背中に乗って・・・
遊びに来た人たちにとっては、予期せぬハプニング。

楽しかった。
でも、疲れた~


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「操っているのは誰だ?」

2023-10-20 01:36:08 | 大道芸
10月15日14時から大須演芸場で公演してきた。
大須大道町人祭の中での公演なので
前後に番組が組まれていて
ともかく時間内に仕込み、公演し、バラさなければならなくて
舞台のセットをどう単純化するか
相当頭を悩ませた。
お陰で、打ち上げでちょっとお酒が入っただけで
もうヘロヘロになってしまった。

三重県からわざわざ見に来てくれた友人からメールをもらった。



こちらこそ本当に良いものを見せていただきありがとうございました。 

寄席(演芸場)の雰囲気が好きで、上條さんの糸あやつりも大好きなので、
大道町人祭に行ったらどうしても、シルヴプレさんとのコラボの作品を
見たいと思っておりました。展開が意表をつく形で進んでいき、最後も
一筋縄に行かずどんでん返しもあり、じっと見入ってしまいました。

〇✕子(娘さん 13歳)は初めて演芸場に足を踏み入れて、
演芸場の雰囲気・・・というか
名古屋の人の多さに圧倒されていましたが、コラボが始まったらどんどんと
前のめりになり、のめり込んでいるようでした。
終わってからは饒舌になっていたので、すごく楽しんでくれたのだと
思います。

見る前までは気にしていなかったのですが、後でよくよくプログラムを見て
みると「あやつりコラボ」と書いてあって、なるほど!と納得しました。
確かに、二組ともあやつり、あやつられてたと!すべてが「あやつり」で
本当に楽しかったです。


嬉しいメールだ。

緞帳が降り始めると
観客席の皆さん、手を振って送ってくれた。
名残惜しい!
でも余韻に浸る間もなく
全員バタバタとバラシに走り、
時間を押すこともなく次の人に手渡すことができた。
なんとも言えない満足感・・・?

そこかい!
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奉納

2023-03-30 01:22:04 | 大道芸
私が初めて芸を奉納したのは、ある町の諏訪神社だった。
境内の池で禊をした氏子が、
鏡の前を開けて上下(かみしも)に分かれて座る中
その空いたスペースで、神様に向かって人形を遣う。
勝手があまりにも違いすぎて、
私はこれ以上ないほど緊張した。
神様の前だと、神様に見透かされているような気がして
好い加減なことができない、
そんな気が私を縛った。

それからしばらくして浅草神社の隣の被官稲荷から
声がかかった。
もう一度挑戦してみたいと思い快く引き受けたのだが
見えないものに見せる、見られているという気持ちが
どうしても緊張させてしまうのだ。
それから1年も欠けることのなく9回、
ずうっと緊張が解けずに来たのが、
今年はなぜか違っていた。
いつもの「酔いどれ」と「獅子舞」なのだが、
遣っている人形を見ていると
何か神様に向かって話しかけているような、
酒を酌み交わしているような気になってきて、
初めて楽しいという気持ちになった。

今年は例年になく風雨が強く、
濡れないようにするのに気を遣ったが、
こんなことが緊張を和らげてくれたのであろうか。
不思議である。
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