昨年ニューヨークに行ったとき、
メトロ美術館とグッゲンハイム美術館には行きたいと思っていた。
なぜグッゲンハイムかというと、
30年程前、グッゲンハイム所蔵のシュールレアリズム展が東京であって、
とても興奮したのでもう一度見たいと思ったからだ。
当日はシュールの作品にはほとんど出会えなかったが、
なんと「具体展」が開催されていて、これがよかった。
60年代関西を中心に展開された前衛美術運動。
シュールを期待していた私にとって
正直「なんで今、『具体』なの?」と思ってしまった。
私は「具体」を知らなかった。
美術館の形状も面白いのだが、
展示がそれにうまく合わせられていたし、
作品や映像を見ていて、つい「今」と比較してしまった。
彼らの持っているエネルギーは、
今も褪せることなく作品から伝わってくる。
制作の様子を撮った映像も、面白かった。
既成の価値観や概念を壊すことは、
決して楽なことではない。
既成のものは、
歴史や社会という周りが作り上げたものが多いと思いがちだが、
実は自分が作り上げたものに捉われていることのほうが
多いのではないだろうか。
だからその呪縛から解き放たれるには
己の中の強い思いと、そこから生まれるエネルギー、
そこを支える強いエネルギーがなければ
なかなかやり遂げることはできまい。
今の世の中を見て、もちろん私も含まれるのだが、
そのエネルギーが欠如しているように思えるのだ。
さて私自身、これからどうなるか…・