毎年愛知県豊田市で開催される橋の下世界音楽祭
そのスタッフたちは、震災のあった1月から炊き出しなどで
毎月能登に入っていた。
音楽祭主催者の永山愛樹さんから
炊き出しはそろそろ間に合ってきたので
文化的なものを持って行きたい、と声を掛けられた。
27日、富山から向かう。
穴水を過ぎたあたりから全壊した家がポツポツ現われる。
道路も海岸沿いは、マンホールが浮き上がっていたり、
橋が隆起していて、スピードに気を付けながら走らなければならない。
山間部は、路肩が崩落していたり、山崩れがまだ残っていたりと、
これまたスピードの出せないところも多い。
珠洲市まで走りながら、能登の発展は海の道によるものと思った。
会場の乗光寺の本堂は、震災で後ろに傾いてしまった。
無理という声もあったそうだが、引き起こす方法を選択。
日々変わっていくという話だが、
舞台としてパンチカーペットを敷いた後
ひと作業があったようで、いつの間にか段差ができていた。
お寺には蚊が多い。
本堂の上の段を舞台にしたので、
コンサートが始まってしまうと、外に出られない。
虫よけスプレーをたっぷりと振りかけ、
ゆっくりタテさんの歌を楽しむ。
観客も生ビールを飲みながらたこ焼きをほおばり
楽しんでいる様子。
コンサートの様子は、永山愛樹さんのFBから拝借。
お天気に恵まれた。
28日は昼から能登町の松波仮設住宅の集会場で公演。
タテさんのサウンドチェックが始まると、
ポツポツと人が集まってくる。
ここには別の団体も入っていて、
お昼ご飯に讃岐うどんがふるまわれていた。美味しかった。
私たちのチームは、
絞っただけの濃厚のミカンジュースとコーヒー。
客席はいっぱいにはならなかったが、
どうも遠慮していたようで、
ポツポツ雨が降り出したが、入り口の軒下で立ったまま聞き入る人も。
次の会場は、能登町宮地地区のこぶし宿泊所。
まっすぐ行くのかと思いきや、
能登中学で知人が応援コンサートをしているという。
行ってみると、そのメンバーに私たちの知っている
チンドン芸能社のミカさんもいるではないか。
挨拶だけと思っていたが、つい長話になってしまった。
こぶし宿泊所。
ここは避難所としてとてもうまくいったところとのこと。
その話はまた別の機会にすることにして、
その日を閉所式にすると聞いたが、
もちろんそんな固い話しではなく、区長さんがちょっと話しただけ。
ここは閉校した小学校を宿泊所にしたところで、
会場はそこで一番大きな部屋、
ところが区長さんの予想をはるかに上回る人が集まったものだから
入りきらない。
しかも舞台があるわけでないから
床に座っている4列目辺りになると人形が見えない。
でも食い入るように人形を見て下さったし、
コンサートでは、後ろから見ると、
観客の背中が、音楽に溶け込んでいるような、
その雰囲気からもとても素敵なコンサートになったと分かった。
打ち上げの席で区長さんは、
こういう文化的なものの時期になったと確信していた。
もちろん潰れた家が方々に残ってあるところで、
まだまだ食事も含めて様々な支援を必要としているところもあるだろう。
でも3か所を回って、こういう機会を待っていたという気持ちが
ひしひしと伝わってきた。
乗光寺のある町では、秋祭りを行うと言っている。
祭を担う人たちはみな、もうワクワクしているのではないか
と話題になった。祭は良い。
こぶし宿泊所での片付けが終わるころには晴れ上がり、
銀河が見えた。お天気に恵まれた4日間だった。
また機会があれば行きたいと思う。